BPOの最前線コラム

NPSをめぐる冒険

  • 品質向上
  • 顧客獲得

NPSを導入しても事業成長が約束されるわけではない

最近、NPS(ネット・プロモーター・スコア)の導入・活用について相談をうけることが多い。そもそもNPSが注目されたのは、同指標と事業成長に関わる数値との相関性が高いことが 『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」』(フレッド・ライクヘルド著/ランダムハウス講談社)の中で語られたことが発端なのかもしれない。しかし、“事業成長との相関性が高い”という部分だけがひとり歩きしてしまい、“NPSを指標に使えば事業成長に貢献できる”というような錯覚をしているのでは?と感じるケースも少なくない。そこで今回は、少し立ち止まってNPS導入を検討する際に留意したいポイントを考えてみたい。

NPSの「向き・不向き」

NPS(ネット・プロモーター・スコア)は0~10点で他者への推奨意向を評価し、推奨(9~10点)者の割合から批判(0~6点)者の割合を引いたものである。 つまり、スコアは推奨意向のレベルを測定しているため、測定結果に基づいた改善活動のフォーカスはいかに “推奨(口コミ)” を増やしていくか?になるのが自然だ。

しかし、そもそも“クチコミが効くカテゴリーと効かないカテゴリー”がある!ということを慶應大学の山本先生が著書の中でおっしゃっている。(『キーパーソン・マーケティング なぜ、あの人のクチコミは影響力があるのか』(山本晶著/東洋経済新報社))クチコミをしたいか/聞きたいかは、一般的には商品やサービスカテゴリーによって濃淡があるようである。言い換えれば、NPSの導入がフィットする業界とそうでない業界があるはずであり、また改善活動として“推奨(口コミ)”を増やしていくような直接的な活動が出来るかどうか(その部門の活動すべき範囲かどうか)?を見極める必要がありそうである。

「究極の質問」と設問数

NPS導入後にクライアントから相談を受けることも少なくない。そのような相談を通してみてみると、NPSのとり方も様々であることが分かる。他者への推奨意向とその理由だけシンプルに聴取している場合もあれば、推奨意向に影響を与えそうな要因について評価を聴取している場合もある。前者のケースでは推奨意向の理由の整理・分析が、後者のケースは設問数が多いこと/多くすることがあまり良くないのではないか?が課題になっていることが多い。いずれにしても、お客さまの好意で提供頂いた情報なので、型にこだわり過ぎず、有効かつタイムリーに活用することがむしろ重要だと思われる。

電話チャネルは今「旬」だ

ところで、最近別のところでもよく「NPS」を目にする。マス媒体を中心として消費者にメッセージを伝える仕事をしてきた方々の著書である。世の中に発信される情報量が天文学的に膨張してしまったので、これまでのようなやり方では顧客を獲得・維持することが出来なくなってきているという危機感を彼らは強く持っている。その危機に対して彼らは、一部の優良顧客やファンをベースにコミュニケーションすることで顧客基盤の強化と活性化をしていくことを提唱している。その一部の優良顧客やファンを探す手段としてNPSが登場するのである。

言い換えれば、顧客との接点をNPSに求めているということになる。このようなアプローチをわざわざしなければならないことに比べ、顧客との接点が毎日相当数発生している電話チャネルを保有している我々はむしろ恵まれているようにも感じる。以前、弊社のセミナーに青山学院大学の小野譲司先生にご登壇頂いた時に電話チャネルのことを「Customer Initiated Contact Channel」とおっしゃっていたのを改めて思い出す。顧客が能動的にコンタクトしてくるチャネルなのだから上手く活かしなさい、と。

NPS測定後のアクションは赤本の第7章以降を参考に

こんな風にNPSを振り返りながら改めて『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」』という書籍(赤いカバーで覆われている)を開いてみると、その後半7章以降に改善アクションのヒントが豊富に紹介されていることに改めて気づく。シンプルで分かりやすいスコアとは異なり、きめ細かい継続的な活動ばかりである。

現在のパフォーマンスを測定する指標は様々存在する。しかし、測定するよりも、その後の改善アクションが継続的に実施されている状態をつくることが重要である、ということに改めて留意していきたい。

川野 克俊

事業基盤本部 事業企画部 商品・事業企画室 室長

顧客満足度(CS)調査や各種調査・分析を通して、顧客期待と行動を可視化、顧客接点における施策の企画・実践を提供する部隊を率いる。徹底した顧客目線とVOCの活用により「あるべき姿」を導くアプローチには定評があり、クライアント社内のプロジェクトにも深く関与。カスタマーエクスペリエンスの構築・実践、共創マーケティングなど新しいカタチの顧客接点づくりにも取り組んでいる。 筆者へのご意見・ご質問は kkawano@tmj.jp まで。

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