BPOの最前線コラム

コールセンターに集まるビッグデータ
~お客様の声を届けるための人工知能活用~

2016.06.06

  • 品質向上
  • 業務効率化
  • 顧客獲得

囲碁のトップ棋士に勝利するなど人工知能は我々の想像以上の速度で進化しています。身近なところでもSNS上で人と自然に会話をするボットや、ロボットに搭載されて受付や案内を行ってくれる人工知能が現れてきています。このように、様々な場面で人間と同等の能力を見せて活躍の場を増やしている人工知能ですが、コールセンターでも活躍の場が現れ始めています。その一つがVOCの活用です。

コールセンターにおける VOC活用の現状

コールセンターに集まるお客様の声(VOC)は商品やサービスに対する顧客からの重要なフィードバックであり、そこには改善につながる情報が多く含まれています。しかし、多様な情報が含まれているからこそ、目的に応じてその内容を分類していく必要があります。例えば、現状のサービスの課題についての意見だけを拾い上げたり、製品評価を良い/悪いで分類したりすることなどが一般的です。しかし、そのためには人がひとつひとつのVOCを読んでいくか、テキストマイニングによって地道な分析をして分類のためのルールを作成してやる必要がありました。当然人間が読めるVOCの量には限りがありますし、テキストマイニングによる分析をしようにも語句の揺らぎや省略形などを網羅した辞書を整備して適切な分類ルールを見つけるためには時間と手間がかかります。

人工知能にVOCを処理させるメリット

こうした状況を変えてくれると考えられているのが人工知能による文章分類技術です。現在の人工知能技術は人間と遜色のないレベルで文章の内容を読み取り、適切なカテゴリへと分類することができます。

実際に我々がある業務で人が行っていたVOCの分類を人工知能にやらせてみたところ、平均して90%以上、カテゴリによっては98%以上を人間と同じ様に分類できたという事例もあります。この時、人と分類結果が異なっているVOCの中身をみると適当な分類カテゴリが存在しなかったり、複数の分類カテゴリに跨る内容であったりして、人間であっても一人ひとり分類の仕方が変わる可能性があるようなものがほとんどでした。実際にこうしたテキスト分類作業は担当者のスキルや経験に依存していることが多く、担当者が変わってしまうと、途端に分類結果がそれまでと大きくかわってしまうようなことがあります。これではVOCの継続的な分析は難しくなってしまいます。それに対して人工知能では複雑な分類ルールを学習することで常に一定の基準に従った分類を行ってくれます。

コンピュータが文章を理解するということ

人工知能は過去の分類結果から、人間では見逃してしまうような些細な情報も考慮して複雑な分類ルールを学習することができます。例えば、PC関連の問い合わせであれば、“無線”、“繋がらない”といった語句からそれが“ネットワークルーター”についての問い合わせであると推測することができます。さらに、“橙”、“点滅”といった語句が含まれればインターネット接続の問題であると推測するなど、直接的なキーワードが含まれていなくても文章中の語句から最も可能性の高いカテゴリを推測することができます。このように文章の内容を語句の組み合わせから推測するアルゴリズムはメールのスパムフィルターとして既に一般的に使われています。一般的なスパムフィルターは比較的単純な語句の出現頻度をもとに分類を行いますが、より細かく文章の内容を見て分類をするには人間が一見しても気づかないような語句間の関連性や、助詞のように一見文章内容には関係しなさそうな情報まで扱うことが必要でした。近年のビッグデータ処理技術や関連技術の発展によりそれができるようになったことで、今の人工知能はまるで人間のように文章の内容を考慮した分類を行えるようになってきています。

人工知能活用のこれから

こうして、人工知能が人間のかわりに大量のVOCを読むことができるようになると、単純な文章分類以外にも様々な使い方が考えられるようになります。例えば、文章から顧客の購入意欲を推測したり、逆に退会理由を推測したりできるかもしれません。また、人工知能は人間が見逃してしまうような些細な情報も見逃すことはありません。そのため、ひとつひとつのVOCから顧客の状況を推測して、より適切なサービスを提案するようなことにも活用できる可能性があるでしょう。

TMJでは、人工知能を単に人の仕事を代替するものではなく、これまでにないサービスを生み出すための技術として捉えています。これまでの業務に奪われていた人的リソースを活用し、より顧客の価値に繋がるサービスに注力できる。そんな人工知能の活用を目指した開発・研究を進めていきたいと思います。

小泉 敬寛

事業基盤本部 コンサルティング部 Data Science推進室

京都大学で人の行動やコミュニケーションに興味を持ち、映像記録を記憶として活用するための検索技術やテレビ電話を用いたコミュニケーション分析などの研究を行ってきた。TMJ入社後はそれまでの知見や技術を活かし社内外のデータ分析プロジェクトへ参画する一方、人工知能をはじめとする最先端技術の研究開発をおこない、それらを活かした仕組みや価値創出のためのソリューション開発などを担当する。

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