BPOの最前線コラム

『デザイン力』でコンタクトセンターのプレゼンスを向上させる

2016.08.19

  • 品質向上

最近、“デザイン”というキーワードが含まれるビジネス書が目に留まることが多くないでしょうか? 米国のビジネススクールでも「デザイン」の授業に人気があるそうです。これまでの延長線上で物事を考えていてもイノベーションを実現しにくくなっていることが背景にあるようです。

先日、ある大学で「仕事とデザイン」という公開講座を受講しました。数名のゲストスピーカーの方々が登壇されましたが、お話しされた内容は「プロダクト・デザイン」とか「グラフィック・デザイン」とか所謂「デザイン」の話ではなかったのです。この公開講座のメッセージは「デザイン力」=「企画」×「表現」であるということだったのです。つまり、ゲストスピーカーの講話は、何を企画し、どのように表現したか?の結果としてのストーリーだったのです。 

この講座を受けながら、「デザイン力」を「コンタクトセンターのプレゼンス向上」と置き換えてみると、我々が取り組むべきことが見えてくる気がしました。

コンタクトセンターのプレゼンス向上=企画×表現

しかし、我々は「企画力」も「表現力」ももっと磨きをかける必要があると感じています。 効率を重視してきた我々コンタクトセンターとしては当然のこととも言えるかもしれません。しかし、人工知能の発達やSNS活用の広がりなど顧客接点のあり方が大きく変わろうとしている今、現在保有する顧客接点という資産を「企画力」と「表現力」をもって有効活用しなければなりません。

3Aで企画力を向上させる

この内、「企画力」については発想力などの要素も含まれると思いますが、これを実践するためには少し普段からの心掛けが必要になってくると思います。その心掛けのヒントは「アナロジカル・シンキング」に見出すことが出来るのではないかと感じています。 

「アナロジカル・シンキング」については、あるセミナーの中で編集工学研究所の松岡正剛所長がおっしゃっていたことを引用させて頂きます。具体的には「アフォーダンス(情報の感じや「らしさ」を掴む)」「アナロジー(情報のイメージや連想から可能性を広げる)」「アブダクション(次々に仮説を立てつつ最適解を見出す)」という3Aでの思考フレームです。何だか難しい感じがしますが、次に示すように、コンタクトセンター運営の中で実践が可能です。

アフォーダンス:情報の感じや、らしさを掴む

お問い合わせという断片情報からお客さまの期待を推察してみて下さい。
これを実践する最も簡単な方法は以前このコラムでも紹介した、VOE(Voice Of Employee)
オペレータの暗黙知の活用です。「お客さんは何を期待しているか?」をオペレータにインタビューしてみて下さい。普段履歴に残されていないお客さまの情報を掴んでいるはずです。

アナロジー:情報のイメージや連想から可能性を広げる

顧客に対して何が提供出来るか?顧客接点横断的に考えてみて下さい。
ここで重要な着眼点は、新規顧客の獲得や既存顧客の活性につなげるために何が出来そうか?をコンタクトセンターという接点以外にも目を向けて考えることだと思います。具体的には、各種広告コミュニケーション、ウェブサイト、パッケージ、取扱い説明書、各種申込書などがそれに当たると思います。 さらには、お客さま同士のコミュニティをどう形成し、活かすかなども視野にいれる必要があるかもしれません。

アブダクション:次々に仮説を立てつつ最適解を見出す

コンタクトセンターにおいては小さいPDCAサイクルをまわすことをイメージしてみて下さい。
広告コミュニケーションや営業、マーケティング機能を担っている部門では、お客さまとの接点をどのように発生させるか?から手掛けなければなりません。一方で、コンタクトセンターでは毎日相当数のお客さまとの接点が発生しています。つまり、テストマーケティングの機会がそこにあると捉えるべきだと考えています。アフォーダンス~アナロジーを通して「仮説」を立て、小さくPDCAをまわしながらより良い方法を模索・確立して展開するというサイクルが構築出来るのではないかと思います。


繰り返しになりますが、人工知能の発達やSNS活用の広がりなど顧客接点のあり方が大きく変わろうとしています。コンタクトセンターという顧客接点運営を担っている私達は、普段から3Aを意識・心掛けることで、この変化に能動的に関わっていかなければならないと思います。

川野 克俊

事業基盤本部 事業企画部 商品・事業企画室 室長

顧客満足度(CS)調査や各種調査・分析を通して、顧客期待と行動を可視化、顧客接点における施策の企画・実践を提供する部隊を率いる。徹底した顧客目線とVOCの活用により「あるべき姿」を導くアプローチには定評があり、クライアント社内のプロジェクトにも深く関与。カスタマーエクスペリエンスの構築・実践、共創マーケティングなど新しいカタチの顧客接点づくりにも取り組んでいる。 筆者へのご意見・ご質問は kkawano@tmj.jp まで。

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