BPOの最前線コラム

入電削減を実現するFAQ改善とは?
きめ細かい改善活動で効果を高めた、ある金融系企業の事例

2017.09.29

FAQのアクセス数が倍増。でも電話が減らない!

今回は、わたしたちがFAQマネジメントを支援する、ある金融系企業での事例をご紹介します。
この企業ではコールセンター部門がFAQサイトも管理しています。昨年、上層部からの「FAQを整備して入電を削減せよ」との指示を受け、FAQシステムを導入して600を超える「よくある質問」を全面リニューアルしました。
リニューアル以降、それまでと比べてFAQ閲覧数は倍増して月間30万件を超え、FAQ導入推進ご担当者もほっとひと安心・・・したのもつかの間。電話の件数がいっこうに減っていないのです。そんな折に上層部から「リニューアル半年経過後のFAQ整備の効果を、定量的に報告せよ」と急ぎの指示があり、困り果てたご担当者様から、ご相談をいただきました。

FAQアセスメントを実施。そこで分かった事実とは・・・

そこでわたしたちは、FAQサイトの健康診断とも言える「FAQアセスメント」を実施しました。FAQアセスメントは、FAQを見に来るお客様が、探している情報を見つけられるかどうか、見つけたFAQで問題が解決するかどうかを様々な観点で評価・分析するサービスです。
FAQアセスメントの結果、わたしたちが改善を支援する同業他社様と比べてKPI項目の数値がいずれも低いことが分かりました。特に、検索結果からFAQがクリックされたことを示す「検索閲覧率」、FAQを見て問題が解決したことを示す「FAQ解決率」に問題があり、それぞれ同業他社様より10~20パーセント低い状態でした。つまり「欲しい情報になかなかたどり着けず、お客様にとってストレスが大きい」FAQサイトになってしまっていたといえます。

FAQ閲覧数が大幅に増えたことは、FAQそのもののニーズが高いことを示しているともいえます。しかし、この企業様のケースでは電話の件数が減っていないことから、なかなか問題が解決しないために、お客様に無駄に多くのFAQを見させてしまっている状態だったと考えるのが適切です。

FAQが良くなると、入電は減るのか?

多くの企業様がこの質問をされますが、結論を書いてしまえば「はい、減ります」が答えです。
ただしここでまず重視したいのは、
 ①「電話が減ったら減ったと分かるようにしておく」こと
 ②「減らしたい電話だけを減らす」こと

この二つです。

 ①「電話が減ったら減ったと分かるようにしておく」こと
FAQご担当者様の多くは、入電削減について「今より1,000件減らしたい」のように件数で表現されるのですが、そもそも入電件数(総数)は毎月山谷があります。たとえば総数が前月比500件減ったとしても、「誤差の範囲でしょ」と言われることもあるかと思います。そこで、削減効果を明確にする必要があります。

 ②「減らしたい電話だけを減らす」こと
たとえば入会につながる電話は減らしたくない、単純な住所変更手続きの電話は減らしたい、とメリハリをつけ、減らしたい電話だけを減らすことを考える必要があります。

入電削減のため、そして削減効果を明確にするために「紐付け」をしよう

前述の通り、減らしたい電話を減らすためには、「ターゲットカテゴリ」を決めるのが近道です。その準備として、FAQと入電の「紐付け」を行いましょう。
今回の金融系企業の事例では、Webサイトの会員ページで手続き可能な「諸変更手続き(住所変更、引き落とし口座変更など)」にターゲットを決めました。その際に、FAQカテゴリの「変更手続き」に該当するカテゴリと、入電履歴の区分情報(コンタクト区分、用件コードなど表現は様々です)を突合せして、「そのFAQに該当する入電はこれである」ということが可視化できるようにします。

※下段、事例図表①を参照

一般的には入電履歴の区分の方が多くの種類が存在するケースがほとんどですが、入電区分の「諸変更その他」のようなものもできるだけ抜け漏れがないように紐付けしましょう。この作業が完了すると、あるカテゴリにおける「FAQ閲覧数:入電数」が割合で見えるようになります。このコラムをお読みいただいている人にはおなじみ?の「FAQ率」あるいは「コンタクトチャネル比率」ですね。

※下段、事例図表②を参照

わたしたちがお勧めするのは、削減のターゲットにしたカテゴリの「FAQ率の変化」を目標にすることです。ターゲットカテゴリのFAQ解決率が高まると、結果としてそのカテゴリの入電が減り、それが割合に現れます。月々の自然的な入電の山谷があっても、割合は大きくは左右されないことが多いため、KPI目標値も設定しやすくなります。また、収益につながる区分は逆に入電促進をFAQから行うなど、メリハリをつけることも有効です。

入電削減はお客様満足の結果であると考えよう

このように紐付けをしたら、FAQの解決性を高めるための改善活動を進めていきます。
FAQの解決性評価は、アクセスログで見る方法や、「このFAQは役に立ちましたか?」のようなFAQアンケートの数値で行う方法など様々ありますが、入電削減を目的とした改善活動においては、お客様の行動(アクセスログ)とお客様の声(FAQアンケート)の両方を組み合わせて行うのが良いでしょう。解決性の数値が上がり、結果として入電削減が割合で把握できると、改善活動との相関性も分析しやすくなります。また、入電削減によりお客様満足度が下がっていないことも数値で現すことができるため、上層部や関連部門への情報伝達も説得力を増します。

このように、入電削減はそれそのものをどうするかというよりも、お客様にとって使いやすく分かりやすい解決につながるFAQへと改善を進めることで「ついてくる」成果です。FAQの管理運用とコールセンター運営が別部門で行われている企業では、そのステップを進めていく上で密な連携が必要です。数値で双方の改善効果が見えるようになるメリットを共有して、協調関係を作っていただきたいと思います。

TMJの「FAQインテグレーションサービス」は、FAQそのものの現状分析や改善にとどまらず、コンタクトチャネルの全体最適化を目指す企業様の現状やご要望に応じてサポートさせていただく、コンサルティング型のサービスです。
わたしたちが支援する企業様においても、改善活動計画の立案や、複数の部門をまたいだ改善活動の「コミュニケーションハブ」となってプロジェクトを推進するようなケースも多くなってきています。Web部門、コールセンター部門でこうした状況でお悩みのご担当者様は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

伊藤 哲彌

事業基盤本部 コンサルティング部 Non-Voice推進室 室長

単にツールやシステムの導入にとどまらず、電話窓口を含めたマルチコンタクトチャネル全体の最適化を実現するべく、システムの導入、運用やデータマネジメント設計、ナレッジ活用まで幅広くサポートする部門「Non-Voice推進室」の室長として、自ら多くの案件でコンサルティングとプロジェクトマネジメントを担当する。多数案件の改善に関わっている経験を踏まえ、新たなコミュニケーション手法やコミュニケーション技術要素の研究開発にも携わっている。

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