BPOの最前線コラム

CX向上の“扇の要”である「コンタクトセンターナレッジ」の改善でチャネル最適化を実現しよう

2019.03.06

  • 品質向上
  • 業務効率化

CCナレッジ改善のニーズは急増している

昨今、弊社のサービスである「FAQインテグレーションサービス」に対するお問い合わせで、「コンタクトセンターのFAQやナレッジを改善・整備したい」というご相談が急増しています。この一年に限定すれば、外部公開サイトのFAQ改善に関するお問い合わせよりも、「コンタクトセンターナレッジ:内部向けナレッジ(以下、CCナレッジ)」の改善に関するご相談の方が多く、また、公開FAQとCCナレッジを同時に改善したいというようなご相談もいただくようになりました。クライアント企業様から実際に聞かれるニーズは「ナレッジ整備・改善により応対品質と応対効率を高めたい」といったものですが、具体的にそれをどのように実現し、どのような指標で評価すれば良いかという点がなかなか明確にできず、ご相談に至っているようです。


CCナレッジとは何か、あらためて考える
「コンタクトセンターのFAQやナレッジ」と一口に言っても、その内容は多岐に渡ります。多くの企業様では、
・想定問答集・Q&A
・業務マニュアル・業務フロー・ルール
・商品・サービス資料・取扱説明書
・キャンペーンなど販促資料
・販売店・代理店一覧
・トークスクリプト・メールやチャットのテンプレート
・社内通達・技術資料・規約や関連法規
・応対履歴・過去事例
などなど、膨大な量と種々のフォーマットの情報が含まれており、それが紙であったり電子ファイルであったりサブツールであったりと、正直改善とか整備、最適化と言ってもどこからどうやったら・・というのが実際のところではないでしょうか。

今回は、CX向上という切り口で、応対に関するナレッジを改善・最適化している取り組みをご紹介します。

あるCCナレッジ改善の取り組み事例~Before

今回ご紹介する事例は、ある金融系サービスの企業様での取り組みです。この企業様では多くの企業様と同様に、膨大な紙の資料を用いてお客様対応を行っていました。コンタクトセンターを視察した際に目にしたのは、オペレータ一人ひとりのデスクに積み上げられたファイルの山、そしてファイルにはカラフルな付箋が草原のように・・・。視察の中で、ベテランと新人オペレータの応対を見させていただきましたが、ベテランは対話しながらトークスクリプトのファイルを繰ってマニュアルのファイルの付箋の色を確認しながらさっとそれを開き、淀みなく応対ができています。
一方、新人は「少々お待ちください」と電話を保留して、まずトークスクリプトを探し、また保留して今度はマニュアルをあちこち開いては閉じてはしていました。最後には探すのをあきらめて手上げしてリーダーの指示を仰ぎ、リーダーから指示を受けてマニュアルを探し当て、応対が終わった後にその場所になにやら書き込んだ付箋を貼る、そんな繰り返しでした。新人オペレータにインタビューしたところ、「覚えることが多すぎて、正直一つひとつの知識が頭に入っていない」「マニュアルも量が多すぎて探せないので、お客様をお待たせしながら探している。お待たせすることで怒られることも時々あり、ストレスがたまる」といった声が挙がっていました。ベテランオペレータにもインタビューしたところ、「もう何年もやっているのでだいたいのことは頭に入っている」「自分も新人の時は苦労したが、もう一回新人からやり直せと言われたら絶対イヤだ」とのこと。
お客様の目線で言えば、誰が応対するかによってスムーズさが全然違うので、受ける印象やかかる時間が大幅にブレますね。実際にこのコンタクトセンターの「Before」では、同じカテゴリの応対におけるベテランと新人の応対生産性には20%もの違いがありました。

CCナレッジ改善の取り組み~1件の応対をナレッジ観点で分解する

私たちがこの企業様とまず取り組んだことは、1件の応対をナレッジ観点で分解・整理することでした。
多くの応対をモニタリングして、上記のような各ナレッジを紐付けてみたところ、この企業様では、応対に使用するCCナレッジは大きく以下のように分解することができました。

①お客様の用件を「仕分け」するための情報
トークスクリプトやお客様情報、お客様の「状態」の確認など、「何を案内すれば良いのか」を特定するための情報です。多くの企業様は基本の応対フローやニーズ切り分けのための質問といった情報は存在しているかと思います。
②お客様の知りたいことに対して「1:1」の一次回答を行うための情報
FAQやマニュアルなど、①で特定されたお客様ニーズに対して、直接的な回答を行うための情報です。外部公開FAQに近い情報と言えます。
③一次回答に加えて、さらに詳細な案内、プラスアルファの案内を行うための情報
②で回答した内容についてのさらに深い情報(技術資料等)や、「それはなぜなのか」と聞かれた場合にその商品のより詳細な案内を行うための情報といった、一次回答ではお客様のニーズを満たせない場合の情報です。また、お客様の状況に応じて、新たな商品の案内や、再度問い合わせしなくてすむようにするためのプラスアルファの情報もここに含まれます。
④個別事象・共通ナレッジでは対処できない場合の情報
たとえば故障診断を全て試しても解決しない場合などの対処方法や、返金対応を行う場合に過去事例ではどのように判断したか、といった二次対応用の情報がこれに当たります。

こうした整理から、ベテラン新人を問わず必要な情報にアクセスしやすい状態を、ナレッジの構造や検索方法などを含めて検討し、多種多フォーマットの情報をいかに管理し、検索するかという要件定義を行いました。最終的には、ナレッジベースに当たるツールと、検索性を高めるためのFAQシステムを導入し、その「使い方」まで定義してオペレータと管理者全員にトレーニングを実施、新しい応対方法へと数ヶ月をかけて切り替えを行いました。特に「使い方」においては業務知識やナレッジ検索力が低い新人オペレータをペルソナとした使いやすさを念頭に置いた操作マニュアルを作成し、自らトレーニングやフォローなども実施しました。

あるCCナレッジ改善の取り組み事例~After、そしてこの取り組みから得たもの

こうした取り組みにより、この企業様のコンタクトセンターではベテラン新人の応対生産性の差は5%以下に縮小し、また、副次的な効果として、新人オペレータの離職率が低下し、新たに収集するようにした「ナレッジ満足度調査」でも特に新人オペレータの満足度が高く、「ナレッジがしっかりしているので応対しやすい」と評価されるまでになっています。また、お客様満足度調査においても、コンタクトセンターの応対に対する特に「不満足」の評価が減り、応対品質の均質化が進む結果となりました。
この取り組みを担当した私自身も、新人オペレータの離職率低下や新人のデビュー後初期段階の生産性が高くなったことに驚きつつ、電話してこられるお客様にとって「より良いコンタクトセンター」に進化したことを実感しています。

CX目線でCCナレッジを考える

この事例を踏まえて「CX目線」を改めて考えてみましょう。この企業様に限らず、多くの企業様において、お客様が最初にアクセスするコンタクトポイントは、コンタクトセンターではなくWebサイトであると言えるでしょう。つまりコンタクトセンターへ問い合わせしてこられるお客様は、Webサイト(FAQやマイページなど)で解決・完結できないからこそコンタクトセンターへアクセスしてくると言えます。
その場合、コンタクトセンターではどういった案内をすべきでしょうか?そこに必要な視点は「お客様がWebサイトを見た上で電話してきていることを前提とした案内」です。つまり前段でお伝えしたCCナレッジの整備・改善においても、CX目線を取り入れると、Webサイトでは伝わりづらいこと、Webサイトに載っていない情報といった視点を取り入れていくことが望ましいと言えます。電話、メール、チャットなど、コンタクトセンターでも複数のコンタクトチャネルを用意しているケースも増えており、Webサイトからどのコンタクトチャネルに誘導すべきかといった面でも、お客様ニーズやコンタクトセンターが伝えるべきことによって適切な使い分けを考えていくと良いと言えるでしょう。

CX向上は多くの企業様で取り組みが始まっていますが、その要と言えるナレッジ活用においては、Webサイト、コンタクトセンターそれぞれの「個別最適」を図りつつ、最終的にはお客様の行動という目線で、その取り組みを連携させ、マルチコンタクトチャネルの特性を活用した「1件の応対」の品質向上を目指していただきたいと思います。
弊社では、今回ご紹介したCCナレッジの改善という取り組みを支援するサービスや、多くの企業様で実績のある「FAQ改善支援サービス」、そしてそれらを活用してCX向上を目指すロードマップの策定支援など、これからの企業様とお客様の接点をより良いものにしていくための様々な支援をさせていただいています。
CX向上やCCナレッジの改善といった取り組みのご担当者、また、これから考えていきたいとお考えのご担当者様は、ぜひご相談いただければと思います。

関連サービス:FAQインテグレーションサービス

伊藤 哲彌

事業変革本部 コンサルティング部 Non Voice推進室 室長

単にツールやシステムの導入にとどまらず、電話窓口を含めたマルチコンタクトチャネル全体の最適化を実現するべく、システムの導入、運用やデータマネジメント設計、ナレッジ活用まで幅広くサポートする部門「Non-Voice推進室」の室長として、自ら多くの案件でコンサルティングとプロジェクトマネジメントを担当する。多数案件の改善に関わっている経験を踏まえ、新たなコミュニケーション手法やコミュニケーション技術要素の研究開発にも携わっている。

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