可視化・標準化が生産性・品質向上のカギ
科学的アプローチでサービスの価値向上を目指す「サービスサイエンス」とは?
いわゆるサービス業だけでなく、製造業においても、サービスの優劣がCSを左右し、業績に影響を与えるほど、その重要性が高まっています。しかし、形がないサービスの生産性や品質向上は非常に難しく、個人や企業の経験や勘、努力に依存しているのが現状です。今回は、そうしたサービスの生産性・品質向上や、イノベーションを促進する研究として、近年にわかに注目を集めている「サービスサイエンス」の考え方についてご紹介します。
サービスサイエンスとは?
「生産と同時に消費される」「人が提供するため品質が一定ではない」「形がなく在庫することができない」といった特性から、経験や勘に頼ることが多かったサービスの分野に科学的アプローチを導入し、生産性を上げ、サービスイノベーションを促進する新たな考え方。IBMが1993年に研究部門として創始し、現在では、国内外のいくつかの大学をはじめ、産官学の連携による共同研究が進められている。まだ発展途上の学際的領域で、その定義や方法論は確立されていないが、実用的な見地から独自の科学的なアプローチによりサービス改善に取り組む企業が増えてきており、サービスの生産性・品質の飛躍的な改善、顧客満足度向上のための今後注目の研究である。
サービスを最適化する科学的アプローチ

科学的アプローチでは、上記①~⑦が可視化・標準化のステップとして定義されます。
今回は可視化のステップについてご紹介します。
1.価値を高めるポイントを知る「サービスの分類」
分類軸の使用例
まず、2つの軸を選択し、4象限に分けます。そこに対象とするサービスを配置し、各象限における価値のポイントを見つけていきます。

自社のサービスを分類してみると、価値を高めるポイントが見えてきます。まず、分類するためには分類軸が必要です。例えば、「手順型と気づき型」と「ロースキル型とハイスキル型」という分類軸を用いると右図のようになり、手順型・ロースキルのサービスには、マニュアル化やチェックリストがサービス品質の向上に寄与し、気づき型・ハイスキル型のサービスは、マニュアル化やチェックリストではなく、ビジョンの共有や現場への権限委譲が必要だということが見えてきます。
2.他社との差別化や、評価を高めるポイントを知る「サービスの分解」
カスタマーサービスセンターの
「コアサービス」と「付帯サービス」の分解例

サービスを分解する方法の1つとして、サービスメニューの中心となるコアサービスと、お客様への情報提供のような付帯サービスに分解する方法があります。ポイントは、企業間の競争を考えるとコアサービスでライバルに差をつけることは難しく、付帯サービスで創造的な工夫をすべきだということです。
カスタマーセンターの基本サービスは「問い合わせに正確に答えること」ですが、それだけでは顧客を満足させるのは難しく、付帯サービスである「迅速さ」「丁寧さ」「臨機応変さ」などが、実はCS向上のカギを握っているということが、「サービスの分解」から見えてきます。
3.顧客の事前期待を知る「サービスと顧客との関係性の明確化」
顧客満足は、事前期待と実績評価の相対関係で決まる。

お客様には、事前に期待されている何らかの期待値があって、それに対して実績評価が大きいと満足し、「リピート化」していきます。
反対に、事前期待値が大きくて実績評価が低いとがっかりして、「離脱」ということになります。
例えば、同じ「宿泊」という行動であっても、ビジネスホテルと高級旅館では、お客様がそのサービスに期待する内容は大きく異なり、事前期待次第では満足にも不満足にも繋がるということです。
出典)顧客満足度向上の鍵を握る事前期待のマネジメント「顧客はサービスを買っている」
/諏訪良武(著)北城恪太郎(監修)/ダイヤモンド社

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