顧客を理解し、顧客に新たな価値を提案するインバウンドセールス
インターネットサービスプロバイダー業界においては会員獲得競争が激化しており、収益をあげるためには接続サービスにとどまらない高付加価値サービスを提供していくことが不可欠となっています。そこで、今回紹介する入会申込受付センターでも、お客様からの問い合わせの機会を活かして能動的にサービスを提案するインバウンドセールスを展開することになりました。従来のインバウンド業務しか行っていなかったセンターにセールススキルをどのように持たせていったのか。目標設定、育成体制の構築のほか、ソーシャルスタイルの活用がカギとなりました。
プロフィール
大手通信教育会社における受付業務のSVから、通信会社・カード会社・銀行(ネットバンキング)、大手家電メーカーの窓口など様々な業界でのインバウンド運営実績を有し、現在、同センターのセンター長を務める。
新規会員の獲得が困難になる中、付加価値サービスのセールスが必須
インターネットサービスプロバイダー業界の市況と熊本センターの概要を教えてください。
ここ熊本センターでは、インターネットサービスプロバイダーの入会申込受付を担う、インバウンドコンタクトセンターを運営しています。
開設当初は、インターネット接続サービスの入会申込受付業務のみ行っていました。しかし、一般家庭でのインターネット利用が当たり前のことのように浸透してきた今日、インターネット接続サービスの市場は飽和に近づきつつあり、競合との価格競争が激化して新規会員の獲得が難しくなってきています。これに加えて、インターネット関連技術の進展に伴いさまざまなオプションサービスが登場してきたことから、クライアント企業からオプションサービスのクロスセルも求められるようになってきました。
そこで、現在ではインバウンドコンタクトセンターでありながらも、お客様から入会のお申込みや、引越手続きでご連絡いただく機会を活かして、セールスを展開するようになりました。現在では、インターネット接続サービスのほかに、セキュリティやテクニカルサポートなど5種類の付加価値サービスのセールスを展開し、クライアント企業のさらなる収益に貢献できるよう頑張っています。
目標を定めることでモチベーションを高め、きめ細かなフィードバックで中だるみを防止
一般的に、インバウンドコールセンターでセールスを展開するのは難しいと言われています。
すぐにセールスができるようになったのですか?
今でこそ、お電話をいただいたすべてのお客様にアップセルを展開できるようになりましたが、もともとはインバウンドコールセンターですから、セールス開始当初はTSRたちの反発もありました。そのような状況の中では、お客様にオプションサービスをお勧めしようとするモチベーションが高まりません。その上、オプションサービスに関する知識はあってもセールススキルが十分にありませんから、同じセールストークを展開しているにもかかわらずTSRごとに成果にバラツキが生じていました。
こうした課題の解決に向けてまず行ったのが、「目標設定」と「育成体制の構築」です。
「目標設定」については、すべての入電に対してセールスを行うことは決めていましたが、TSR一人当りの獲得目標は定めていなかったため、TSRたちはセールスをする意識が薄れていたようだったのです。目標を設定して、TSRたちにセールスを行う意味をより強く意識付けることで、モチベーションアップを図りました。
「育成体制の構築」については、スーパーバイザー(SV)からTSRへのフィードバックを月1回から2回に増やし、月初と中間に行うようにしました。月初のフィードバックでは目標を確認し、中間のフィードバックでは目標を再確認することで中だるみを防ぐとともに、目標の達成度合いを見て、獲得件数が少なければなぜ獲得できないのか、どうしたら獲得できるようになるかを話し合っています。
TSRたちは対応を終えたあと、その内容を振り返る間もなく次のコールに対応するということを繰り返しています。そのため、フィードバックの回数を増やしたことは、これまでできなかった振り返りを可能とし、自身の弱みを知り、克服するための方法を知る建設的な時間となっているようです。そのためか、今では多くのTSRがフィードバックを楽しみにするようになりました。















