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【開催レポート】「コンタクトセンター・アワード2015」において
 最優秀ヘルプデスク/アウトソース部門賞を受賞

コンタクトセンター・アワードは、コンタクトセンターの現場における業務改善の取り組みや個人の専門性を相互に称えあい、知識・経験を共有すること、さらには、参加社資料の閲覧、ワークショップや交流会での意見交換、申請内容の発表会、最終審査会、懇親会などの場を通じて、より実践に即した活動を知ることを目的に開催されています。

このたびTMJは、「コンタクトセンター・アワード2015」において、アウトソーサーならではの知恵と工夫で、運営能力の向上へ寄与した企業・センターへ贈られる「最優秀ヘルプデスク/アウトソース部門賞」を受賞しました。

「超高齢社会におけるコンタクトセンターのあり方」を研究

迫る超高齢社会とコンタクトセンターにおける課題

日本は国民の4人に1人は65歳以上となり、世界に先駆け超高齢社会を迎えています。この高齢化の傾向は、年々高まり、2030年には30%を越えるとも言われています。
コンタクトセンタ―では、オペレータから「なかなか話が通じない」「会話が長引く」などの悩みを聞く機会も増え、高齢者対応への対策に課題を感じている企業も増えているのではない
でしょうか。

TMJの高齢者対応の取り組み

TMJでは、クライアント事業に貢献していくため、 2011年から「超高齢社会におけるコンタクトセンターのあり方」の研究を開始しました。
東京大学の産学ネットワーク「ジェロントロジー(老年学といわれる)」に参画し、本社サービス部門を中心とした部門横断のPJを立ち上げ、活動を推進するとともに、コンタクトセンターにおける高齢者対応に関する研究を開始、加齢による変化を踏まえた「応対方法」「人材育成」「品質管理方法」等の研究を進めてきました。
2012年からは聴覚心理の専門家(株)オトデザイナーズ社と「高齢者の聞こえ」に関する共同研究を開始しました。2013年に、自分の声が「加齢により聞こえが衰えた高齢のお客様」にどのように聞こえるか模擬変換し、体感できるシミュレーションツール『ジェロトーク』を開発しました。
2014年、コールコントロール研修、ジェロワード(スクリプト診断ツール)等を開発、受託センターでこれら高齢者対応の取り組みを本格展開しました。

高齢者対応の取り組みをセンターで実証

「高齢のお客様」の入電は本当に増えていて、
 通話時間が長くなっているか


今回の取り組みは、家電メーカーのAV機器、アプリケーションストアを総合的にサポートしている少人数のセンターで行いました。このセンターの課題は、1件の通話が長びくと、センター全体へのパフォーマンスに大きく影響されることです。そこで、お客様の課題をいかに早く解決し、顧客満足を上げつつも1件の通話を短くするかを改善テーマに設定しました。
まずオペレータへのヒアリングから、「高齢者からの入電が増えて通話時間が長くなっている」という仮説を立てました。その仮説の正当性を確認するため、通話時間の内訳を年代別に集計したところ、60代以上の方の入電件数が全体の43%であることが判明。年代別の平均通話時間も60代以上が最も長く、総通話時間における占有率では62%を占めることが分かりました。
それでは、なぜ高齢者との対話は長くなるのか。その理由を、音声モニタリング、オペレータからの意見収集、本社サービス開発部門とのディスカッションを通じて原因を探り、整理していくと、大きく3つの課題が見えてきました。

真因と対策検討

1つ目の課題は、高齢者特性への理解が薄かったこと。そもそも高齢の方は、なぜ耳が遠く、説明が理解されないのかを意識できておらず、高齢者へ寄り添う姿勢は、オペレータ個人の意識に依存していることが判明しました。対策として、高齢のお客様の特性への理解を促すマインドセットを目的に、研修を実施することとしました。
2つ目の課題は、高齢者との対話で「聞き返し」が多く発生し、会話が重複していること。モニタリング結果から、聞き返しは60代以上の対応で70%以上、1コールで約1.5回発生していることが判明しました。また、対応はオペレータ個人の力量次第で、属人的な要素が強い傾向があることも見られました。対策として、伝わりやすい対応を「標準化」「仕組み化」をするためのオペレーションツールの整備をすることとしました。
3つ目の課題は、話の脱線に付き合い、通話時間が長くなること。「気分を害さないよう会話に付き合うが、本題に戻りづらく、生産性と満足度のどちらを優先するか迷う」という意見が多くみられました。しかし、お客様が問い合わせする目的は、課題の解決のためです。なるべく早くお客様の課題を解決することが生産性とCSを両立させるという理念を元に、「研修とOJT」を実践しました。

真因から導いた対策を実施

対策①高齢のお客様の特性を理解
高齢のお客様の特性への理解を高めるため、「高齢者応対スキル研修」を行いました。この研修では、電話応対との関連性の高い「聴力」に注目し、耳の構造と音の聞こえ方を学習。高齢者の聞こえない、理解できない理由を身体面で把握し、心理面を推察するポイントを学びました。

対策② 伝わりやすい応対を実現するツール整備
属人化からの脱却と標準化を目指し、ツール整備を行いました。(株)オトデザイナーズと共同開発した模擬音声変換ツール『ジェロトーク』を用いて、高齢のお客様にオペレータ自身の声がどのように聞こえるかを体感しました。さらに、聞き取りづらい言葉・発音を音声とグラフで確認することで、直すべきポイントを具体的に把握しながら、継続してトレーニングをできる環境を整えました。
さらに、オペレータの知見を元に、ジェロワードによる分析を行い、伝わりやすい言葉を整理した「言い換え集」を作成。本当に聞き取りやすいかをジェロトークで科学的に検証・ブラッシュアップし、センター内に展開しました。

対策③生産性とCSを両立した応対の研修・OJT
「なるべく早くお客様の課題を解決することが、CSと生産性の向上につながる」という理念をもとに、高齢のお客様への応対時間の短縮を目指します。
話が脱線する、本題になかなか戻れない等、対話の課題を解決するため、『コールコントロール研修』で①言い換え、要約、質問を駆使した、早い段階での要件確定、②共感、切り返しを活用したリードする方法、③情報の引き出しを中心にした対話の進行を、ロールプレイ中心の実践形式で学習します。これらのポイントを意識して、オペレーションの流れを意識し、コールコントロールの概念を習得しました。

真因から導いた対策を実施

①~③の対策が終わり、効果の確認です。
60代の平均通話時間は、研修前(4~6月)の1096秒が、研修後(12月)には785秒まで短縮。さらにコールコントロール研修の効果で、全年代の平均通話時間も短縮できました。
続いて生産性とCS向上の効果です。8月に高齢者の理解
をしたことで、丁寧に話す傾向が強まり平均通話時間が上昇しましたが、9~10月で伝わりやすい話し方・言葉の言い換えを学習したことで、平均通話時間が減少しました。11月以降は対話のコントロール研修により、話の脱線などを大幅に減らすことに成功。 60代のお客様の平均通話時間は、最終的に研修前より26.7%短縮でき、全体的な平均通話時間短縮にも繋がり、生産性が向上しました。また、大変満足、満足の割合が、研修前7月では8.3ptであったのに対し、研修後から徐々にポイントを上げ、1月には77.2ptまでになり、CSも向上できました。

他業種へ展開し、クライアント貢献を

この取り組みを水平展開し、大手金融会社では、平均通話時間が前年比8~10%短縮、話し方・言葉遣いの項目で評価が3.1%向上しています。また、大手通販会社では、研修前と比べQAスコアが13.2%向上、平均通話時間も5.1%短縮されています。

今後さらに高齢化は進み、高齢者像も変化してくると想定できます。変化に対応し、最先端であり続けるために、常にお客様の状況を捉え、感覚ではなく、可視化・定量化しながら改善サイクルを継続的にまわしていく。その活動が、コンタクトセンターの品質を高め、クライアント事業への貢献へ繋がっていくものと考えています。TMJは今後も、科学的、工学的アプローチで高齢者対応の研究を進めると共に、Client Valueを実現してまいります。

プログラム

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概要

開催日時

2015年9月16日(水)

会場

コクヨホール(東京・品川)

開催者

主催
株式会社リックテレコム コンピューターテレフォニー編集部

共催
イー・パートナーズ有限会社

後援
JBMコンサルタント

備考

「コンタクトセンター・アワード2015」について詳細はこちらをご覧ください。
http://www.cc-award.com/