イベント・セミナー

【開催レポート】TMJビジネス交流会(2016年7月開催)
プロセス改善で経営貢献するセンターへ
入電抑制からコンタクトの最適化

~ナレッジマネジメントのあり方を模索する~

東京会場の様子

7月22日、東京・TMJ本社(住友不動産西新宿ビル20F)にて、コンタクトセンター/バックオフィスの運営・企画管理に携わる皆様にご参加いただき、「共に成長し、共に高める」を目的としたビジネス交流会を開催しました。
本年度は「4つの視点で考える 経営貢献できるコンタクトセンターのあり方を考える」を通年コンセプトに年3回の開催を予定しています。第2回目となる今回は「プロセスの視点によるコンタクトセンター高度化」をテーマに、事例講演とパネルディスカッションを行いました。コンタクトセンター高度化の切り口としてFAQサイトの改善・活用に着目。TMJにて実践されたFAQ改善事例の紹介と、その活動から見えてきたコンタクトセンター運用プロセスのあり方をヒントに、コンタクトセンタープロセスの向上による経営貢献を目指した話し合いが行われました。
 

「入電削減」から「顧客行動の可視化」への進化とは・・・

はじめに

TMJ 営業本部 営業支援部 泉 重年より、コンタクトセンターが経営貢献する指標として、バランスト・スコアカードのフレームを用いた4つの視点「財務の視点」「顧客の視点」「プロセスの視点」「組織・成長の視点」を通年コンセプトに据え、経営貢献に寄与するアウトプットと打ち手を参加者と共に考察していくと説明しました。全3回を通じてコンタクトセンターのビジョン/中期計画に昇華することを最終目的としており、今回はその第2回として「『プロセスの視点』で考える」をテーマに事例講演とワークショップを行うと述べました。
 
※バランスト・スコアカード(BSC)/ ロバート・S・キャプラン(ハーバード・ビジネス・スクール教授)とデビッド・ノートン(コンサルタント会社社長)が1992年に「Harvard Business Review」誌上に発表した業績評価システム。
 

第一部 事例講演

TMJ Non-Voice Lab 伊藤 哲彌

まず講演の前半は「FAQサイト改善でコンタクトセンター運営を高度化する」と題し、TMJ競争力開発部 Non-Voice Lab 伊藤 哲彌が登壇。TMJで実際にクライアントと取り組んだFAQサイトの改善活動におけるポイントなどを具体的に紹介しました。
前提として「FAQサイトは電話窓口と同じ。コンタクトチャネルのひとつ」としたうえで、電話窓口と同様に顧客の知りたいことが見つかり、問題解決することが当たり前であるべきにも関わらず、一般的にFAQサイトによる解決率は27%でしかない現状を共有しました。そこで「FAQ改善に必要なたった3つのこと」として以下のポイントを挙げ、それぞれについて解説しました。

①FAQもひとつのチャネルと位置づける
共通要素が多いにも関わらず、FAQ運用部門がコンタクトセンター以外であるケースが多いうえ、ミッションの違いから運用・役割が隔てられていることのデメリットを示し、双方で連携して顧客目線によるFAQ改善に取り組むことの重要性を説明しました。

②シンプルなKPIで「良い状態」を可視化する
顧客目線でFAQ改善を実践するには「視認性」「検索性」「解決性」の3つの軸で取り組むことが効果的であるとし、各軸における具体的な改善手法を紹介しました。また、分析から仮KPIの導き方のほか、報告時は「効果をパーセントではなく人数で示すと効果的である」というTIPSや、自社KPIにカスタマイズする際のヒントも披露されました。

③改善活動を継続し『成功の引き出し』を増やす
FAQ改善をコンタクトセンター運営に包括している企業の事例を紹介。コンタクトセンターとFAQ改善が同期される推進体制の顧客目線からの必要性と、PDCAサイクルによりトライアンドエラーを繰り返し、成功体験を標準化していく活動の有効性を発表しました。

最後に、FAQ改善の先にある「顧客行動の可視化」へ向けて、対象とするユーザー像を想定し、そのユーザーにとって使いやすいサイトとは何かを分析し、効果検証していくことが重要であると説明されました。また、「コンタクトチャネルの最適化」に向けて、①電話でもWebでも同様に悩みが解決できる状態、②FAQサイトからスムーズに電話へ誘導できる状態(電話でしか解決できない場合)、③画像や文面を見せた方が理解できる場合は積極的にWebへ誘導できる状態、と3つのSTEPを順に追うことで、入電削減や、解決までの時間短縮が図れるとまとめ、FAQ活用によるコンタクトセンタープロセスの改善の有効性を改めて強調しました。
 
 

TMJ Data Science推進室 小泉 敬寛

後半は、コンタクトセンタープロセス改善の近未来の姿として「AI(人工知能)/機械学習による効率化・高精度化」と題し、TMJ 競争力開発部 Data Science推進室 小泉 敬寛が講演しました。
昨今注目されているAIには、人間と同様に自ら考え判断できる「強いAI」と、人間の知的作業を一部担える「弱いAI」が存在します。実用化が進んでいるのは「弱いAI」であり、活用するためには、事前に知的作業を任せる範囲の設計と、その学習のためにデータの用意が必要になることが説明されました。「弱いAI」の実用化によるコンタクトセンター効率化・高度化には、機械学習によるデータの蓄積に早期に着手することが重要であり、コンタクトセンターに集まるデータを“どのように理解し何に活かすのか”を設計することが、今後コンタクトセンターの重要ミッションになることが示唆されました。また、既にAIが活用されているコンタクトセンター業務の事例として、問い合わせ内容を自動で判断・分類する作業や、顧客とのやりとりから最適な回答を即座に抽出する等の例が挙げられ、VOC活用をより効率的に行うコンタクトセンター体制が標準化する日が近づいていることが紹介されました。
 

第二部 パネルディスカッション

講演後のパネルディスカッションでは、TMJ 競争力開発部 Client Value推進室 川野 克俊をモデレーターに、前述の伊藤、小泉と、東日本事業本部 第2BU 第4センター 渡久地 敦史、澤田 由紀子がパネラーとして登壇しました。FAQ改善の深堀り、実際に取り組んでいる中での苦労やポイントを、設計側と運営側それぞれの立場からディスカッションしました。

TMJ Client Value推進室 川野 克俊

まず川野からは、講演で触れられていた「FAQ運用部門がコンタクトセンター以外であるケースが多い」現状について伊藤へ現場での困りごとを質問。伊藤からは、50社以上のクライアントと接した実感として、「部門を跨ぐことによる更新のタイムリー性喪失や、更新すべき情報の定義が定められていないことが課題となっている」としたうえで、「部門間共有の目標を他部門にも見える・理解できる形で定めること、そのためにも自ら連携が必要な部門に出向き、しっかりとメリットを示す」ことが重要であると述べました。

続いて、「FAQシステムが巷に溢れているが、システムを導入すれば即効果が出るのか」と川野からの問いには、「システム導入に加えて、FAQを正しく設計・運用するノウハウが必要」と伊藤が回答。「システムの活用方針を、現状課題を分析したうえで効果目標を設定することにより、入電削減等の課題解決に効果が出る」と説明しました。
その回答を受け、現場センター責任者の渡久地からは、「当初は現状把握、効果検証に向けデータを集めても、その数字をどのように理解していいか大変苦労した」との本音があり、伊藤からは「そのデータの意味を理解するためにも、データを早期から蓄積して把握することが必要。その蓄積したデータを活かすために、専任担当者(以下、ナレッジマネージャー)によるノウハウ集約が大事」と返答がありました。

現場ならではの本音を受け、川野より実際のセンター現場での苦労や取り組みを問いかけ、渡久地からは「オペレータは、基本的には“入電した質問にいかに対応するか”という“受身”のスタンス。ところがナレッジマネージャーという仕事は“顧客がどんなことに悩みを感じるか”を問い合わせされる前に考える“能動的”なスタンス。そのスタンスの違いから、当初は両者間で心理的な壁があった。ナレッジマネージャーのスタンス・考え方をセンター全体に理解浸透させるのに苦心した」と回答し、「そのためにSV会を定期的に開催し、ナレッジマネージャーの取り組みや成果を必ず共有し、電話応対する側のメリットを知ってもらうことを丁寧に説明した」と浸透の取り組みを振り返りました。会場の参加者も、現場のリアルな課題と取り組みを聞き、共感する姿が多く見られました。
ナレッジマネージャーを担当する澤田からは、ナレッジマネージャーが実際にどのような業務を行っているかを説明。「前日までのアクセスデータを検証し、変化や傾向、それに対する打ち手をまとめ、対応や関係者への展開指示を行う他、クライアントへの報告/提案、生じている課題の根本解決に向けた対策検討などの業務」と、勤務時間中びっしりと多くのタスクをこなしている事実に、参加者の驚く様子がうかがえました。これら現場の取り組みを受け、伊藤からは「TMJではナレッジマネージャーのノウハウ標準化に取り組んでいる。FAQ運用によるプロセス改善を最短時間・最少労力で適えるためにも、このようなアウトソーサーの知見を上手く使って欲しい」とメッセージを述べました。

最後に、AIの活用を中心に川野から小泉へ質問。小泉は「オペレータの仕事がいきなりAIに置き換わることはない」としたうえで、「AIが人の経験に頼っていた判断基準を機械学習により自己判断できるようになり、業務の効率化や平準化に大きく寄与することは既に疑いようがない」と説明。「AIは多くの経験を積み、機械学習させることで精度が高くなるため、学習期間を多く取れるほどベター。AIを活用できて当たり前の時代に向け、準備を始めて欲しい」とコメント。また今後のコンタクトセンターに求められるものとして「未来を予測する活動が大事になる」と述べ、コンタクトセンターのあり方の変化が示唆されました。

  • TMJ 東日本事業本部 渡久地敦史(左)と澤田由紀子(右)

第三部

少人数のグループに分かれ、ワークショップを実施しました。各グループにTMJ営業本部よりファシリテーターが付き、「FAQ運用の現状と課題」「課題に対してコンタクトセンターでできることは何か」という2つの設問について、グループでディスカッションし、活発な意見交換が行われました。
 

参加者の声

「社外FAQ所管部とコンタクトセンターの連携強化を図ろうとしていた時でしたので、非常に参考となる会でした」
「初めて参加させていただきましたが、時間があっという間でした」
「Web部門に参加させたいと思いました」
「他業種・他社の現状を知り、当社との差を確認できてよかったです」
「入電抑制は今まさに課題。FAQを作る部隊、電話チャットの部隊で連携を密にして、目的を達成する大切さがわかりました」

第3回予告

人材育成で経営貢献するセンターへ
今求められる人材育成のあり方とは?(仮)

▼開催日程(予定)
名古屋 10月20日(木)
大阪  10月21日(金)
東京  10月26日(水)

プログラム

2016年度 TMJビジネス交流会

4つの視点で考える経営貢献できる コンタクトセンターのあり方【第2回】

『プロセス改善で経営貢献するセンターへ 入電抑制からコンタクトの最適化へ

 ~ナレッジマネジメントのあり方を模索する~』

 

1. はじめに

2. 講演・パネルディスカッション

3. 交流ワークショップ

4. 懇親会

 

【講演・パネラー】
  株式会社TMJ
  事業推進本部 競争力開発部 Non-Voice Lab   伊藤 哲彌
  事業推進本部 競争力開発部 Data Science推進室 小泉 敬寛
  東日本事業本部 第2BU 第4センター        渡久地 敦史
  東日本事業本部 第2BU 第4センター        澤田 由紀子
【モデレーター】
  株式会社TMJ
  事業推進本部 競争力開発部 Client Value推進室   川野 克俊

概要

開催日時

東京 2016年7月22日(金)15:00~19:00
※大阪は同月20日、名古屋は同月21日に開催