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【開催レポート】TMJビジネス交流会(2016年10月開催)
経営貢献につなげる!
コンタクトセンターにおける人材育成の再構築を目指して

東京会場の様子

10月26日、東京・TMJ本社(住友不動産西新宿ビル20F)にて、コンタクトセンター/バックオフィスの運営・企画管理に携わる皆様にご参加いただき、TMJビジネス交流会を開催しました。
本年度は「4つの視点で考える 経営貢献できるコンタクトセンター(以下、CC)のあり方」を通年コンセプトに年3回開催。第3回目となる今回は「学習と成長の視点によるCC人材育成」をテーマに、事例講演とパネルディスカッションを行いました。採用難の状況が続く中、多くのCCで課題となっている人材育成に焦点を当て、TMJにて実践された育成システムの事例紹介と、その取り組みから見えてきたCCにおける人材育成のあり方をヒントに、人材輩出による経営貢献を目指した話し合いが行われました。

コンタクトセンターにおける人材育成の要諦とは・・・

はじめに

TMJ 営業本部 営業支援部 泉 重年より、CCが経営貢献する指標として、バランスト・スコアカードのフレームを用いた4つの視点「財務の視点」「顧客の視点」「プロセスの視点」「学習と成長の視点」を通年コンセプトに据え、経営貢献に寄与するアウトプットと打ち手を参加者と共に考察していくと説明。全3回を通じてCCのビジョン/中期計画に昇華することを最終目的とし、今回はその第3回として「『学習と成長の視点』で考える」をテーマに事例講演とワークショップを行うと述べました。
 
※バランスト・スコアカード(BSC)/ ロバート・S・キャプラン(ハーバード・ビジネス・スクール教授)とデビッド・ノートン(コンサルタント会社社長)が1992年に「Harvard Business Review」誌上に発表した業績評価システム。
 

第一部 事例講演

講演では「ワークプレイスラーニングの観点で取り組む人材育成」と題し、TMJ人事戦略部 岸川 茂が登壇。昨年よりTMJでトライアル実施しているLSV・SV(以下、管理者)育成を促進する仕組み構築の内容とその活動の中で得た人材育成の気づきなどを具体的に紹介しました。
 まず施策の背景に、全社的な管理者候補の不足が課題としてあり、対策として「管理者の育成強化」と業界未経験である「ポテンシャル人材の採用」を検討。その推進に向けて次の3つの施策を実施しました。

【1】管理者に求める人物像の明確化
 多岐にわたる職務を分類し、階級ごとに求める人物像、求められるスキルを定義
【2】人材の見える化
 スキルや育成状況を可視化し、人材をデータベースで一元管理
3】育成プログラムの開発
 座学、OJT、振り返りのサイクルを現場と連携しながら効果的に回すサイクルを構築

図1

これらの施策に同時進行で取り組み、育成スキームのプロトタイプを構築しました。その後、トライアル運用で見えてきた「OJT」の課題に対応・強化した管理者育成プログラム「PLATOS(プラトス)」を開発、2016年より全社展開しています。
PLATOSは【研修×OJT×評価】を連動したプログラムが特徴。現状のスキル評価から、研修・OJTへの紐付け、評価軸の明確化を連動させ、組織による持続的成長の促進を実現しています(図1参照)

講演の中で岸川は、PLATOS開発の前提となった『70:20:10の法則』を紹介。この法則は米国調査会社が提唱した「人の成長を決める要素の70%は『直接経験』である」というもの。今回、管理者育成を効果的に推進するために、直接経験の促進として経験学習を重視し、OJT強化を図っています。また、研修メニュー・内容も全面改訂。「人物像の明確化、見える化」と合わせて、より実践的で納得感の高いプログラムへ昇華させています。結果、管理者登用後の離職率改善やEラーニング受講率の向上、スキル向上などに顕著な成果が表れています。

一方、全社展開したことで「遠隔地の研修参加の負荷軽減」「評価基準の属人化防止」など新たな課題も発生。今後は、施策の全体への浸透と、さらなる改善を目指して取り組みを継続することが説明されました。
最後に「人材育成で経営貢献をするためには『経営のコミットメント』が重要」とし、経営の重要事項として人材育成をぶれずに継続する必要性を、経営層に説き続けることが大事だと強調しました。また、CCにおける「コーチング」の必要性の高まりにも触れ、マネージャー向けコーチング導入のすすめと効果について紹介しました。

第二部 パネルディスカッション

(写真上から)TMJ人事戦略部 岸川 茂、東日本事業本部 遠嶋 圭彦

講演後のパネルディスカッションでは、TMJ 競争力開発部 Client Value推進室 川野 克俊をモデレーターに、第一部講演の岸川と、東日本事業本部 第2BU 第3センター 遠嶋 圭彦がパネラーとして登壇。人材育成を実際に取り組む中で実感するポイントや苦労などを、推進側と実践側それぞれの立場からディスカッションしました。

ディスカッションの主要テーマ
①CCの現場で求められる能力・スキルの動向
②PLATOSにおける「評価」「研修」「OJT」
③経営貢献への見せ方


まずテーマ①CCの現場で求められる能力・スキルの動向について、昔と今ではどのように変わったかについて、岸川は変化を感じることとして「求められることが幅広くなり、個人ごとの対応が必要となっている。この対応ができる人材育成を進める必要を強く感じている」とコメント。変わらないこととして「リーダーとしての行動、組織推進」と述べました。続いて遠嶋からは「サービス・商品が複合的になる中、オペレータレベルでは1つを知っているだけでは対応できなくなっている。一方、管理者はクライアントが何を求めているのかを考え、同じ視点でビジネスゴールを理解できることが必要」とし、求められる傾向の変化と、それを意識した育成を心がけていると回答しました。

続いてテーマ②PLATOSにおける「評価」「研修」「OJT」では、参加者から質問を受ける形で進行。「教育育成の時間確保をどう確保するか」の質問では、岸川より「余剰時間ではなく予め育成の時間を確保する。そのために育成効果を見える化し、経営コミットを得ることが必要」と回答。加えて「PLATOSでは座学よりOJTを重視。普段の業務振り返りの場に、5~10分でよいので育成や自身の成長に関するコミュニケーションを含めることで内省=リフレクションする機会を定期的に持つことが経験学習の向上につながり有効である」ことが説明されました。遠嶋からも「確かにOJTと内省の時間を改めて確保するのは実際に難しい。日々の定期的なコミュケーションの中で内包して対応している」と説明がありました。

そのほか「業務特有の知識・スキルはどのように行うのか」「業務ごとに求められるスキルに幅があるがどのように対応するのか」「スキル評価は何を見て行うのか、バラツキはないか」「顧客評価や売上との相関は見るのか」「昇給昇格と紐づけるのか」など具体的な質問を多くいただきました。
岸川・遠嶋からは、「業務特有スキルはPLATOSのプログラムに現場ごとに付加し、PLATOSそのものは汎用性を重視している」こと、「PLATOSは何ができるようになり、それによりどのような行動変容があったかを重視し継続的に計測していくことを目的に設定。直接の業績評価にはつながる設計はしていないが、結果として仕事の領域が広がり昇給昇格につながっている」「誰がやっても同じ評価をできるようにするのが今後の課題。事前のカリブレーションでの目線合わせ、普段接している現場管理者への権限委譲など対策を講じていく。継続することで目線が合っていくことが重要と考えている」と回答しました。また、遠嶋からは「遠方のスタッフも多く試行錯誤もあるものの、同一のスキルシートを用いることで他センターと同じ物差しでスキルを語れるようになったのは大きなメリット」とのコメントもありました。

モデレータ・TMJ 競争力開発部 川野 克俊

最後にテーマ③経営貢献への見せ方では、遠嶋は「自センターから優秀な人材を多く輩出すれば会社全体の人材強化、ひいては経営貢献につながる」とコメント。岸川は「育成成果は、研修だけでなくOJTの質をいかに上げるかにかかっている。成果をどんどん高めて、クライアントにどのように貢献しているのか変化を追い、効果とメリットをより具体化し経営コミット強めていきたい」とコメントし、パネルディスカッションを締めくくりました。

第三部 ワークショップ

第三部では少人数グループによるワークショップを実施しました。各グループにTMJのファシリテーターがつき、「自センターにおける人材育成の現状と課題」「課題に対する打ち手をアドバイス」という2つの設問について、グループでディスカッションし、活発な意見交換が行われました。

参加者の声

「大変よい機会をいただきました。どの企業も同じ悩みをお持ちであることが分かると同時に、すぐに取り組める施策も知ることができました」
「ワークショップでは他社さんの現状を知ることができ、有意義な時間でした」
「人材教育(コスト投下)と業績向上の相関を見出したい」
「当社でも人材育成は最重要課題であり、本日の研修は大変参考になりました。スキル要件シートを使用してのスキルの可視化が特によかったです」

プログラム

2016年度 TMJビジネス交流会

4つの視点で考える経営貢献できる コンタクトセンターのあり方【第3回】

『プロセス改善で経営貢献するセンターへ 入電抑制からコンタクトの最適化へ』

 

1. はじめに

2. 講演・パネルディスカッション

3. 交流ワークショップ

4. 懇親会

 

【講演・パネラー】
  株式会社TMJ
  管理本部 人事戦略部   岸川 茂
  東日本事業本部 第2BU 第3センター 遠嶋 圭彦
【モデレーター】
  株式会社TMJ
  事業推進本部 競争力開発部 Client Value推進室   川野 克俊
 

概要

開催日時

東京 2016年10月26日(水)15:00~19:00
※名古屋は同月20日、大阪は同月21日に開催

登壇者プロフィール

株式会社TMJ
管理本部 人事戦略部
岸川 茂
センター運営の責任者・拠点長などを歴任し、本年より全社採用・育成を管轄する部門長として着任。センター当時より体系的育成を全国に先駆けトライアル実施。自身もコーチングを学習し、人と組織の成長に深く関わっている。

株式会社TMJ
東日本事業本部 第2BU 第3センター
遠嶋 圭彦
長年センター運営に従事し、現在は東日本エリアの複数センターを統括するセンターマネージャー。TMJでも先進的なトライアルを多く実施し、コンタクトセンター・アワード2015では高齢者対応の取り組みで最優秀賞を受賞。人材育成についても組織全体でQAやES向上施策を行うなど、メンバーを巻き込みながら、きめ細かい対応を推進している。