プロジェクト
Design for
the future
業界初、MaaS/
モビリティ専門センター
構築ストーリー
カーシェアやシェアサイクルなど、近年、「移動」に関する新しいサービスが生まれてきている。ITを通じて「移動」そのものをサービスとして提供する「MaaS(Mobility as a Service)」は、今後さらに発展していくと予測されている。また、自動運転が実現すれば社会のあり方は大きく変わり、MaaSの領域はきわめて広大なものになるであろう。そのような未来を見据え、TMJは2021年にモビリティ分野に特化した専門センター「Mobilish(モビリッシュ)」を新設。専門センター立ち上げの背景と、その先の展望とは。
近年、発展が目覚ましいカーシェアやシェアサイクルなどのMaaS/モビリティサービス分野。TMJが最初に同分野のサポート業務を受託したのは2012年のことだった。当初は少数のメンバーでモビリティサービスの業務に携わっていたが、徐々に同種のサービスの受託が増えていく中で、モビリティ分野に特化したコンタクトセンターの構想が立ち上がった。そして2021年、TMJにとってもBPO業界にとっても初となる、MaaS/モビリティビジネスの専門センター「Mobilish(モビリッシュ)」が誕生することになった。
「Mobilish」の設立以前は、TMJのモビリティ関連業務は各センターで個別に運営しており、各拠点にノウハウが蓄積していた。「Mobilish」を展開する狙いは、業務を集約することで運営のノウハウを共有可能な形で蓄積し、今後のさらなる発展が見込まれるモビリティ業界において、クライアントに高い付加価値を提供することにあった。また、TMJではその時期、2021年に開設する札幌第5センターをTMJのモデルセンターとして社内外に発信する構想も進行しており、TMJの新たな価値を提示する意味合いにおいても、この場所にモビリティ専門センターを立ち上げることとなった。
センターを新設する場合、クライアントのビジネス規模と成長を見越した設備計画をはじめ検討要件は多々あるが、とりわけ「Mobilish」において必要とされたのが、 オペレータの育成方法の確立、そして、モビリティ専門センター自体の社内外への印象付けだった。
まず、「Mobilish」に限らずコンタクトセンターを成功させるにあたって、そのカギとなるのはオペレータの品質であることはいうまでもない。しかし「Mobilish」に関しては特有の壁があった。一つは、オペレータを育成しようにもMaas業界自体が新しく、育成の指針やベストエフォートが存在していないこと。そしてもう一つは、「Mobilish」のオペレータには、目で確認できないお客様の状況をとらえて対応するという、このサービス特有の難易度が求められること。実際、札幌のセンターにいながら、関東圏や関西圏のカーシェア利用客に向けて「車の操作ガイド」や「サービス拠点への道案内」を行うため、オペレータたちには相当の理解力とコミュニケーション力が求められる。
やはり人材育成には苦心した。しかし、数々の研修内容をトライした結果、TMJはカスタマージャーニーマップを用いた人材育成にたどり着く。通常のオペレータ教育ではまず取り入れないが、お客様の行動や心理を把握するためのこの手法が功を奏した。オペレータにとって負荷の高い業務でありながら、応対品質の評価スコアに高い数値が現れるようになり、早い段階からクレーム発生率の大幅な減少、オペレータの離職率の低下という成果につながった。
さて、他方の社内外へのアピールについて、こちらも新しい分野ならではの難しさがあった。もちろん、先発でMaas/モビリティ事業を展開している企業にも、これから新規参入しようとする事業者にも「Mobilish」を知ってもらいたい。しかし、発展途上のビジネス領域だけに、営業しようにも各社どの部門で管轄しているのか見当がつかず、通常の営業活動は極めて困難と予測された。そこでTMJは発想を一変、広範にアプローチできる方法として、同名のオウンドメディア「Mobilish」をローンチした。センター立ち上げから約半年後の素早いアクションだった。
同メディアでは、MaaS/モビリティ事業者向けの情報サイトとして、サービスの体験取材や各企業の取り組み紹介といった記事を掲載している。自らの手で情報発信に取り組んだ結果、今まで接点がなかったクライアントから問い合わせをいただくなど、成果が生まれてきている。それだけクライアントのニーズや関心が高い領域であること、そして、サイトを通してTMJの確かなサービス品質を感じていただけた証といえるだろう。
こうして順調な滑り出しとなった「Mobilish」だが、MaaS/モビリティ分野は比較的若い業界であり、サービスも発展途上にある。クライアントとしても新たに参入する企業も多く、業界全般としてノウハウが確立されているわけではない。そのため、どういうサービス設計にすべきか、ユーザーに対してどのような説明があるべきか、TMJからクライアントに対してコンサルティングのような形で情報提供することも多々ある。そこからクライアント側のサービスや運用方法自体が変わっていった事例も少なくない。つまり、クライアントと協働でサービスをつくり上げている側面もあり、見方を変えれば、TMJが持つ「対話」と「改善」の文化が、上手く発揮されている分野ともいえる。
MaaS/モビリティ業界は、今後さらに大きく発展していくに違いない。TMJは経済産業省と国土交通省が立ち上げた「スマートモビリティチャレンジ推進協議会」に参加し、新たなモビリティサービスの社会実装を通じた移動課題の解決と地域活性化を目指しているところだ。TMJは単に業務を請け負うだけでなく、プラスアルファの価値を提供できる唯一無二のBPOベンダーとして、MaaS/モビリティ分野の発展に貢献していきたいと考えている。
プロジェクト担当者
事業統括本部 北海道拠点 第3BU T.Y.
営業統括本部 情通サービス営業本部 第 1 営業部 K.K