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©2022“犬も食わねどチャーリーは笑う”FILM PARTNERS

過日、2022年9月23日公開の映画、『犬も食わねどチャーリーは笑う』の撮影がTMJの新宿本社で行われました。本映画の監督・脚本を手掛ける市井昌秀さんは、自分は何がしたいのかわからない人生のモラトリアルな時期から、延べ3年間にわたってTMJでオペレータとして働いていらっしゃいました。担当していた業務は、アウトバウンド・セールスです。
市井さんは当時を振り返り、コールセンターではさまざまな背景を持つ人たちがいて、互いに肯定し合いながら働いていたと語っていらっしゃいます。
そんな市井さんをTMJに迎え、現TMJ執行役員の鹿野と、当時のTMJのこと、コールセンターのこと、そして今回の映画のことなど様々なテーマで対談いただきました。

今も昔も多様性を受け入れる土壌を有し
さまざまな背景を持つ人材が活躍

夢を持つ者同士、肯定し合う空気があった

市井監督がTMJのコールセンターでお仕事をされていたのはいつ頃ですか?

2002年のはじめからです。

私は2001年に入社したので、ちょうど同じ時期ですね。どこのセンターで、どのような業務を担当していたのですか?

笹塚のセンターで、アウトバウンド・セールスを担当していました。

笹塚センターですか! TMJのアウトバウンド創世期に市井監督が携わっていらしたとは驚きました。2002年と言えば、インバウンド業務を中心としていたTMJがアウトバウンド業務に力を入れ始めて事業拡大を目指していた時期なのですが、市井監督にとって2002年はどのようなステージだったのでしょうか。

劇団「東京乾電池」の研究生だったのですが本劇団員には残念ながら残れなくて、これから何をやろうかと迷っていたモラトリアルな時期でした。

そうだったのですね。いろいろな仕事がある中で、当時はあまり知られていなかったコールセンターの仕事を選んだのはなぜですか?

時間の自由度が高い。服装が自由。それから、京王線の仙川に住んでいたので、笹塚は近くて便利だったんです。

仙川にお住まいでしたら、笹塚は通いやすいですね。
今日のように多様性が注目される以前からコールセンターにはさまざまな人たちを受け入れる土壌があったと思っているのですが、当時のコールセンターの様子はいかがでしたか?

夢に向かって頑張っている方、主婦など、性別や年齢を問わずさまざまな背景を持った人たちがいました。夢を叶えた方がいるのではなく、みんなが夢を目指している段階だから、正しいとか正しくないとか判断する以前に、みんながみんなを肯定している空気があったと思います。

夢に向かっている者同士、互いに認め合っていたということですね。

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映画監督・市井 昌秀さん
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執行役員・鹿野 伸治

業務を通じて相手を慮る気持ちや
社会人としてのマナーを学ぶ

アウトバウンド・セールスに苦手意識を持っている方もいらっしゃいますが、市井監督はアウトバウンド・セールスで楽しかった記憶はありますか?

業務内容が1~3カ月単位で変わっていたので、飽きることがなくおもしろかったです。研修がたくさんあったことを覚えています。そのころは今ほどインターネットが普及していなかったので、自分から率先して知識を取りに行く術が限られていましたから、業務が変わるたびに新しい知識を得られることがとても新鮮でした。それから、きれいごとに聞こえるかもしれませんが、お客様に本当に満足していただけた瞬間というのは嬉しかったですね。

お客様にご満足いただけるということは、コールセンターの仕事の醍醐味と言えると思います。市井監督はさまざまなアウトバウンド・セールスをご経験されたと思いますが、思い出に残っている業務はありますか?

真っ先に思い浮かぶのは、保険をお勧めする仕事ですね。しかもその保険というのが後遺障害で……。実は、ちょっと苦手でした(笑)

普段、後遺障害を持つなんてことは考えませんから、そういう意味でお勧めするのは難易度が高かったと思います。苦手だから印象に残っているのでしょうか? それとも、難しいからこそのやりがいや、得られた何かがあったとか?

後遺障害の掛け金は月にするとわずかな金額ですが、後遺障害を持つ確率は低いので、お客様には誠実に商品の説明をしたいと思っていました。だから、言葉選びや間の取り方、声色、電話の向こうのお客様を想像したり、空気を読み取ったり、あれこれ考えながら話さなければいけない。恥ずかしながら、僕は今まで一度も正社員になったことはないので、社会人としてのマナーみたいなものは、コールセンターの仕事を通じて学べたと思っています。
特に、言葉選びは、のちに自分が人前で話すようになってからも役立っています。映画制作を始めてから10年くらいは食べていけなくて、他の会社で営業をしていたんですけど、営業職を選んだのはTMJでアウトバウンド・セールスの経験があったからかもしれません。

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映画の設定にコールセンターが
必要だった理由とは

市井監督の最新作、『犬も食わねどチャーリーは笑う』に登場する夫婦の妻は、コールセンターでオペレータとして働いているという設定です。登場人物の職業にコールセンターを選んだ背景にはどのようなお考えがあったのでしょうか。

コールセンターにはさまざまな背景を持つ人たちがいて、服装がルパン三世のような人もいたりしますが、見た目がどうであれ、みんな仕事は同じスクリプトに沿ってきっちりやっているんです。多様性がある中で、同じ仕事に向き合っている職場ってなかなかない。 映画の中で「自分たちは自分たちでいいんだ」というセリフが出てくるんですけど、それは夫婦に限ったことではなくて、多様性を肯定するからこそ、他の人を肯定することから自分も肯定できる、といったことを描きたかった。だから、内容的にもビジュアル的にも、コールセンターがいいなと思ったんです。

年齢も、経験も、考え方も、働く目的もさまざまな人がいらっしゃる中で、ひとつの目標に向かって一所懸命な職場というイメージを持ってくださっているのですね。

それに加えて、コールセンターの負のイメージも必要でした。僕がコールセンターで働いていたときも、結婚や子育てで一度、仕事を辞めて家庭に入った方が、結婚生活が落ち着いたり、お子さんが独立したりしたタイミングでセカンドキャリアとして働いていました。 こうした人たちの中には何となく不満をため込んでいる人もいるわけで、その不満をうまく発散できている人もいれば、溜め込んだままの人もいる。仕事でも、同じスクリプトを繰り返さなければいけないことや、決まった回答をしなければならないことにストレスを感じることもあったでしょうし。そういったところが、夫に不満を持つ妻のキャラクターを作り込む上でぴったりだったんです。 映画の中で若干、コールセンターをディスるセリフがあるのですが、そんなシナリオでも撮影を受け入れてくださって、本当にありがとうございます。

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映画づくりもコールセンターも大切なのは“人”

ところで、市井監督は何年くらい、TMJにお勤めだったのですか?

累積で2~3年です。なぜ累積かというと、一度、TMJを辞めて映画の自主制作を始めたのですが、映画を撮るために自分でお金を工面しなければならなくて、出戻りさせてもらったんです。なので累積なんです。

どうしてTMJに戻ろうと思ったのですか?

一番は今お話した経済的な理由なのですが、もうひとつ挙げるなら、友達がいたからです。映像系の仲間とは別で、仕事抜きで月に1回食事をする友達が4~5人いるのですが、みんな当時のTMJの人たちなんです。

そんなに仲の良い友達がTMJでできたんですね。仕事抜きの友達付き合いがいまだに続いているのは、お互いを尊重するフェアな環境で生まれた絆だからなのかもしれませんね。
今回、映画の撮影で久々にTMJにいらしてどのような印象を受けましたか?

広々とした空間にPCが整列していることと、オペレータたちの服装がさまざまなことのギャップが創作意欲を刺激しますよね。ヘッドセットとか電話機とか、懐かしいなと思いました。今もMOSAIX(モザイクス)って使っているんですか?
※モザイクス:主にコンタクトセンターで使用されるデジタル交換機の一種。顧客リストに対して自動的に発信を行い、つながったコールのみをオペレータに回すことでアウトバウンド業務を効率化するシステム。

名前は変わっているけど、使っています。まさかモザイクスという名前が出てくるとは思いませんでした(笑)

今でも懇意にしているTMJのメンバーが、当時組んでいたテクノバンドの名前がモザイクスでした(笑)

そうでしたか。私も当時の懐かしい記憶がよみがえってきました。当時のアウトバウンド・セールスの管理者と、どんなセンターを作りたいかという話をしたことがありまして、そのとき彼はテーマパークのようにみんなが楽しい、毎日来たいと思えるようなコールセンターにしたいと話していました。 オペレータ経験のある管理者の彼は、オペレータファーストでセンターを管理・運用していました。

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実は、映画制作の都合上、TMJを辞めた後に就いた営業職が続けられなくなって、自宅から自転車で通える距離にあるコールセンターに勤めたことがあるんです。業務内容が督促ということが影響していたのかもしれませんが、そこはものすごく殺伐とした空気の職場で、淡々と仕事をして、誰とも交流することなく帰宅していました。 コールセンターによって随分と雰囲気が違うものだと思った記憶があります。

そうだったんですか。業務内容の違いで、そんなにコールセンターの雰囲気が変わるとは……。

そう考えると、TMJのあの空気感は、管理者の方々の配慮によるところが大きかったのかもしれないですね。映画では、役者さんが演じやすいように、衣装やメイク、小物などをあれこれ想像しながらスタッフと一緒に決めていくのですが、配慮や気遣といったことはコールセンターの仕事にも映画づくりにも共通していると思いました。

TMJでは「たゆまぬ対話と改善で誰もが暮らしやすい社会を創る」というコーポレートアイデンティティ(CI)を掲げています。さまざまなスタッフと話し合いながら役者さんが演じやすい環境をつくり、ひとつの作品を仕上げるという市井監督の映画づくりに対する姿勢と共通しているように思いました。

映画もコールセンターも人が大切ということかもしれませんね。

そうですね。では最後に、今回の映画に込めた思いをお聞かせいただけますでしょうか。

夫婦という言葉自体が古いのかもしれません。既存のかたちにこだわらず、新しいコミュニケーションのかたちを考えながら作りました。夫婦の形に答えなんてないので、本当にもがいて作りました。

人と人とのつながりを考え直すということでしょうか。

そうです。夫婦とか、男女とか、男女でなくても、人と人がつながっていくって何だろうと考えました。深く関われば誤解も生まれるし、人間って面倒くさいなということを感じながら作りました。映画って答えを出すものではないと思っているので、とにかくもがいた結果がこの映画ですので、「皆さん、どうですか?」と問いたいです。 シリアスな部分もありますが、基本はコメディで楽しい映画になっていますので、難しいことは考えずに観ていただきたいです。

映画を観るのが楽しみになってまいりました。夫婦で観に行こうと思います。(終)

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『犬も食わねどチャーリーは笑う』作品紹介

この物語の主人公、裕次郎と日和は結婚4年目を迎える仲良し夫婦?というのは(もちろん)表向き。鈍感夫にイライラする日和は、積もりに積もった鬱憤を吐き出さなきゃやってらんないわー!と、出会ってしまったのはSNSの<旦那デスノート>。 そこには妻たちの恐ろしい本音、旦那たちがみたらゾッとするようなエグ~イ投稿がびっしり書き込まれていた。そしてある日、裕次郎もその存在を知ってしまう!「これって俺のことか?」気になる投稿のペンネームはチャーリー。 日和と一緒に飼っているフクロウの名前もチャーリー…ってことは!夫婦喧嘩のゴングの鐘が、いま鳴り響く!!
(監督・脚本:市井昌秀 / 出演:香取慎吾、岸井ゆきの / 2022年9月23日全国ロードショー)

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