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導入事例

株式会社ベネッセコーポレーション 様

エフォートレス、VOC活用、ナレッジ活用でお客様窓口のサービスを向上。リテンションで事業成果にも貢献

「こどもちゃれんじ」や「進研ゼミ」といった通信教育で知られる株式会社ベネッセコーポレーション様。同社の通信教育事業を支えるお客様窓口では、カスタマーエクスペリエンス(CX)を高める取り組みを多角的に推進されています。これまでの取り組み状況と今後の展開についてお話をうかがいました。

株式会社ベネッセコーポレーション
株式会社ベネッセコーポレーション
「Benesse=よく生きる」を企業理念に掲げ、お客様の向上意欲と課題解決を一生涯にわたって支援するベネッセホールディングスグループの一員のとして、主に教育・生活事業を展開しています。教育事業においては「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」などの通信教育講座、学習塾、学校向け事業を中心に、乳幼児から高校生まで、お子さまの学齢に合わせたサービスを提供しています。

お客様の声

株式会社ベネッセコーポレーション
東京本部 営業開発本部 副本部長 境 和輝 様
東京本部 顧客サービス部 サービス戦略課 萱場成樹 様
東京本部 顧客サービス部 お客様本部課 川上道子 様
東京本部 顧客サービス部 カスタマーオペレーション開発課 栗原 幹 様

繁閑差2.5倍の中で、応対品質の安定と顧客価値の最大化を考える

東京本部 営業開発本部
副本部長 境 和輝 様

──はじめに、「こどもちゃれんじ」や「進研ゼミ」のビジネスの概況と、お客様窓口を担うコンタクトセンターの概要を教えてください。

東京本部 営業開発本部 副本部長 境 和輝 様(以下、境様):弊社が手掛ける通信教育事業では、乳幼児から高校生までを対象に、学習教材を毎月提供しています。商品数は「こどもちゃれんじ」と「進研ゼミ」を合わせて学齢別に18ラインアップ、会員数は250万人に及びます。
この「こどもちゃれんじ」と「進研ゼミ」への入会に関するお問い合わせや、会員を対象としたヘルプデスク業務などにあたるのがお客様窓口です。
お客様窓口拠点は札幌、岡山、北九州、博多、福津と全国に5か所あり、合計で1,000席を超えるブースを設けています。これらの運営業務はすべてTMJに委託しています。このほか、東京に小規模のインソースセンターを開設しています。インソースセンターはパイロットセンターと位置付け、顧客サービスの開発およびサービス基準の策定を主な役割としています。

──「こどもちゃれんじ」や「進研ゼミ」のお客様窓口ではCXに取り組んでいらっしゃるとのことですが、取り組みをはじめたきっかけはどのようなところにあったのでしょうか。

境様:お客様窓口には年間約330万件の入電があるのですが、教育教材という商品の特性上、年度替わりの前後となる2月から4月に受電が集中します。繁閑差が激しく、ピークに達する3月は、年間で最も受電が少ない9月と比較すると2.5倍もの問い合わせが寄せられます。また、この時期は学齢の変わり目、受験シーズン、受講講座が切り替わるタイミングでもあり、問い合わせ内容や手続きが複雑になります。このように、入電のピークと業務の複雑化が重なることから、年間を通して応対品質を安定せることと、顧客価値の最大化をどのように考えるべきかが課題となっていました。

お客様のコンタクトの内容を分類すると、

① お客様の自己解決が可能な対応(簡単な手続き、単純な問い合わせ)
② 業務プロセス改善により防げる対応(不満、わかりにくい)
③ 関係性を深める仕組み・人でやるべき対応(相談、要望)
④ トラブル・障害対応

に分けられます。
④はどうしてもゼロにはできない部分ですが、①と②は発生しないこと、つまりお客様に問い合わせをするという労力・手間をかけさせないことがお客様にとってのベストなサービスであるという考えに至りました。そこで、労力や手間を無くすエフォートレスエクスペリエンスを重視すべきCXの前提として掲げ、①と④は減らし、有人対応の効果を発揮することのできる③は増やすというサービス戦略を打ち出したのです。

具体的には、①についてはチャットボットなどを活用した「顧客フロントの利便性向上」、②についてはVOC(お客様の声)を活かした「事業プロセスの横断的な課題解決の促進」、③についてはナレッジに基づく「電話窓口のサービス提供力アップ」という3つの取り組みを行っています。

お客様の利便性が第一。FAQとAIボットのチューニングを繰り返し<役立った>の評価が65%に向上

東京本部 顧客サービス部
サービス戦略課 萱場成樹 様

──「顧客フロントの利便性向上」については、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか。

顧客サービス部 サービス戦略課 萱場成樹 様(以下、萱場様):私は「顧客フロントの利便性向上」の取り組みにあたるセルフサービスの領域を担当しています。具体的には、よくある問い合わせ(FAQ)、Webサイトのお客様サポートページ、チャットボット(FAQ検索支援)、LINEカスタマーコネクト(ボット・人)、ビジュアルIVR(Webスキル振り分け)です。

LINEによるチャットサポート(チャットボット・有人チャット)は2017年、「進研ゼミ小学講座」のお客様を対象にスタートしました。パソコンやスマートフォンからテキストベースで寄せられる1日あたりの問い合わせ件数は約1,000件を超えます。これらへの対応は、既に構築済みのFAQの中から最適なものを選んで回答しています。
その中で、FAQ作成やAIボットのチューニング業務は社内で行っていましたが、2019年4月よりその業務もTMJさんに委託しました。委託当初、回答が役に立ったかどうかのYes/NoアンケートでYesをクリックしてくださる方は45%程だったのですが、現在では65%まで上昇しています。業界ではYesが5割程度と言われる中、非常に高いレベルでお客様が必要とする情報を提供できていると捉えています。

また、お客様窓口の電話対応もTMJさんにお願いしていることから、電話で増えている問い合わせ内容をFAQに仕込むといった具合に先回りのチューニングができるようになり、TMJさんには本当に助けられています。
LINEを導入した当初は、「進研ゼミ小学講座」のお客様のみに窓口を開放していましたが、2019年10月から「こどもちゃれんじ」のお客様まで対応領域を拡大しました。また、最初はチャットボットによる自動応答のみの対応でしたが、3月の繁忙期を見据えて2019年12月からは、人によるチャット対応も段階的にスタートしています。

境様:単に呼量の削減やコスト削減を目的としてシステムを導入すると将来、行き詰まります。なぜなら、新しいツールを導入すると顧客接点が増えてコンタクトも増えるからです。
当然、ツールを使用するコストもかかりますから、システム導入前と後とのコストを比較するとたいてい、同等もしくは少し増しくらいになります。するとお客様にとって便利なツールでもコストがかかるからやめようという経営判断が下る場合があるのです。そうならないためにも、お客様にとっての利便性を第一に考え、労力や手間を省くことを目的としてシステムを導入することが大切だと考えています。

VOCは現場の気づきや改善提案もあわせて吸い上げる

東京本部 顧客サービス部
お客様本部課 川上道子 様

──VOCを活かした「事業プロセスの横断的な課題解決の促進」における具体的な取り組み内容をお聞かせください。

顧客サービス部 お客様本部課 川上道子 様(以下、川上様):私の部署では日々、各センターからあがってくるVOCを事業へ還流させる役割を担っています。お客様窓口で毎日集まるVOCの中から1日4件を社長・役員を含む社員1,000名に毎日配信することで、顧客不満の元を最小化する事業改善に貢献することが狙いです。

各センターからVOCをあげてもらう際、VOCそのものだけでなくVOE(オペレータの気づきや改善提案)もあわせて提出していただいています。オペレータの気づきの中には、商品やサービスに関する問題点だけでなく、このようにした方がお客様にとってより良いのではないかという改善提案や、教育事情や環境によるお客様の変化の兆しも見つけることができ、私たちの強みになっていると思っています。お客様に近い接点に蓄積された知見や想いが込められたVOEによって、VOCの価値が高まっていると言えるでしょう。

また、事業改善への貢献度をより高めるために、オペレータやSVによる座談会を開催し、効果的な社内への提案に努めています。座談会は学齢別ラインアップごとに月1回、毎回テーマを設けて行っているのですが、オペレータたちはテーマに沿って適切な提案をしてくれます。一緒に仕事をしていて感じるのは、ベネッセ愛のあるオペレータが多いことです。オペレータたちは我々が主催する座談会への積極的な参加だけでなく、教育に関する情報を自主的に収集するなどしてより良いお客様対応を実現しようと努力してくださっています。こうした意欲的な姿勢にとても好感を持っています。

──2020年1月に、音声認識によるVOCテキスト化のPoC(Proof of Concept:概念実証)を行う予定ですね。

川上様:はい、まず2020年1月に、退会連絡時のVOCに限定してPoCを行う予定です。定性情報を定量化することで、退会理由の量的可視化、および対応オペレーション別に反応を見ることが目的です。
今後は、現在行っているVOC活用とAIテキスト分類との2つを軸に、VOCを活用した事業改善への貢献を推進していきたいと考えているところです。

──蓄積したVOCをAIで自動分類する「AIテキスト分類」に期待されていることはありますか。

境様:ビッグデータ解析ということで、量的可視化を期待しています。定性情報を機械化することで定量化することは、事業改善を加速させる重要なキーとなります。

川上様:オペレータたちは質の高いVOEをあげてくださるので、質的な不足は感じていません。ただ、VOCを改善に移す際に、同様のVOCが数多くあることを数字として見せることができれば説得力が増して改善スピードが加速することは確かです。
私たちは現在、300万件中1%のVOCをあげることを目標としているのですが、「1%の声で何がわかるの?」とストレートな意見を突き付けられたこともあります。量的把握が、事業改善のさらなるパワーとなることを期待しています。

子どもの状況を知り、保護者とのコミュニケーションを図って信頼を得る

東京本部 顧客サービス部
カスタマーオペレーション開発課
栗原 幹 様

──ナレッジに基づく「電話窓口のサービス提供力アップ」において、現状の取り組みについてお聞かせいただけますでしょうか。

顧客サービス部 カスタマーオペレーション開発課 栗原 幹 様(以下、栗原様):お客様窓口に入る年間330万件の入電に対して、これまでは数をこなす処理という部分もありましたが、今は有人対応を活かしたよりレベルの高いサービスを提供できる場へ変革しようと、TMJさんと一緒に取り組んでいるところです。
これまでセンターで閲覧することができなかったデジタル教材の活用状況、赤ペン先生の提出状況、特典申し込み状況などの情報閲覧を可能にし、会員の利用状況に基づいた個別のコミュニケーションができる環境を整え、退会のリテンションを行っています。

退会申し出の背景には、「子どもが勉強しない」「教材を上手く活用できない」といった親御さんのお悩みがあるわけですが、赤ペン先生の提出状況を見るとつい1か月前まで提出されていたというケースがあります。特に、高校生講座はスマホで勉強できるので、ゲームをしているのか勉強をしているのかがわかりづらく、親御さんがお子さんの状況を正確に把握できないケースも見受けられます。このような場合、親御さんの後ろにいるお子さんの状況(ナレッジ)を見ることでコミュニケーションが可能となります。
コミュニケーションによって、教材活用方法の提案やお悩みを解決することができると、オペレータが親御さんからお礼を言われる機会が増え、信頼を得られるようになります。さらに、リテンション率が上がり大きな事業成果が得られると、オペレータの自信につながり、より一層、お客様のお役に立とうとするモチベーションが高くなるのです。ナレッジを活かした個別対応はお客様へのサービス向上とともに、オペレータの意欲向上にも寄与していると言えます。

お客様窓口のサービスで、教育事業の満足度向上に貢献したい

──今後の取り組みについてお伺いいたします。

萱場様:効率性と利便性の両軸を追求するという姿勢は変えずに、保護者が使いやすいポータルを作り、保護者が主体的にアクセスツールを選択し、問題を解決したり、情報を収集したりすることができる環境を大切にしていきたいです。
また、現在LINEでは個人を特定せずに対応を行っているので、一歩踏み込んでチャットボットと有人チャットの両方でナレッジを活用した個別対応を実現できるよう検討しているところです。

川上様:個人情報とチャットボットの情報が紐づくのであれば、それも合わせて分析していきたいですね。

栗原様:今後は、電話接点という点を線にしていきたいですね。これは夢と言いますか、理想と言いますか、オペレータが個別対応によりリテンションに成功した後、一定期間をおいてアウトバウンドコールを実施して、チューターのように会員に寄り添える仕組みをTMJさんと一緒に作りたいと考えています。

──TMJに寄せる期待、ご要望などございましたらお聞かせいただけますでしょうか。

境様:TMJさんには長年にわたり電話窓口業務をお願いしていることもあり、親御さんへのホスピタリティに対するマインドセットができていますから、一緒に事業に取り組んでくれている感じがしています。我々とTMJさんがベクトルを同じくして、お客様窓口業務にあたれていることは、弊社の強みでもあります。「勉強するために進研ゼミを始めたけれど、お客様窓口の対応がすごく良かった」と思っていただけるくらい、教育事業のサービス満足度向上にお客様窓口のサービスが貢献できるようになりたいですね。

(左手前から)栗原様、川上様(右手前から)萱場様、境様

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