お客様の声
株式会社ベネッセコーポレーション
経理基盤部 部長 松澤 江里子 様
株式会社TMJ
事業統括本部 BenesseBPOBU 第1センター 1G
PM(プログラムマネージャー) 仲野 香里
LSV(リードスーバーバイザー) 小林 洋子
委託先の一元化によりコア業務に集中できる環境を整備
──御社は2001年より派遣による伝票処理業務の運用を開始され、その後、2010年に業務委託化、2016年からは経理部門の伝票処理業務を含む経理業務の大半をTMJに委託され、現在弊社で支援させていただいております。委託の背景にあった課題についてお聞かせください。
株式会社ベネッセコーポレーション 経理基盤部 部長 松澤 江里子 様(以下、松澤様):
ベネッセコーポレーションの経理業務の大半をTMJ様にアウトソーシングさせていただいています。
2001年といえば、ちょうど現行の経理システムが導入された年でした。20年前です。一人一台パソコンが定着し、社員一人ひとりが直接、経理システムに入力することで、伝票処理業務を効率化しようという思想で導入されたのですが、実際に使い始めてみると、経理システムに馴染みのない社員にとって、入力は大変な作業であることがわかりました。
経理システムへの入力と伝票提出までが各事業部門の担当範囲ですが、やはり事業部門にとってはメインではない伝票入力などの庶務業務に工数を割くことは、ハードルが高かったのです。現状もそうですが、全社員に経理システムへの正しい入力を浸透させることは一筋縄ではいきません。
事業部門側では、伝票処理は派遣社員がまとめて入力するなどの対応を行っていたのですが、入力ミスによる手戻りが多いことが課題となっていたことから、事業部門側で入力部隊(バックオフィス)を設置することとなりました。当時、派遣でお付き合いのあったTMJ様に相談したのがアウトソーシングのはじまりで、一次対応として、ミスの修正対応を委託したと聞いています。
その後、事業部門で伝票処理業務を派遣から業務委託に変更したのが、2010年頃だったと思います。
当時の経理部では、現行の経理システム導入時から、伝票検印・承認・ファイリングを他社にアウトソーシングしておりましたが、徐々に標準化できる業務が増えるにつれ、委託業務が増えていきました。すると今度は、別の課題が生まれました。当時は、TMJ様のほか、複数の会社に経理業務を委託していたのですが、その委託先の数が増えていき、複数の委託先間の調整や管理といった新たな業務が発生してしまったのです。
現在は、当時の組織・役割と異なっていますが、当時の経理部門の核となる業務は、適正な決算数字を開示し、適正に申告・納税すること、大小さまざまな事業部からの経理的な相談に対応すること、事業スキームの構築等に専門的な知見やノウハウでアドバイスすること、数字を分析して経営に報告すること、といったものでしたが、こういった本来の業務に、より力を注ぐことのできる環境の必要性を感じるようになりました。
そこで、2016年より、伝票処理業務、経理承認業務、決算業務から、新規配属社員への研修まで、経理業務を一気通貫でTMJ様にアウトソーシングすることにしたのです。メインの委託先をTMJ様へ一本化することで、先ほど申し上げた核となる業務に集中できる環境づくりを目指しました。
アウトソーシングの成功要因は、“丸投げ”にしない連携体制
──経理業務のアウトソーシングを成功させるための要因はどこにあるとお考えですか。
松澤様:アウトソーシングの失敗要因は“丸投げ”にあると思っています。成功させるためには委託先に任せきりにせず、業務を可視化して、継続的に密なコミュニケーションをとることにより連携体制を築くことが重要です。
TMJ小林:TMJではベネッセ様と経理業務の各プロセスや処理手順、判断および対応内容について日々共有し、一次処理、起票から承認という各プロセスにおいてダブルチェックを行っています。これにより、経理処理の精度を高めることに努めています。
また、クライアント社内のご事情や特有のプロセスなど、業務に間接的にかかわる情報などもチーム内で共有し、背景を理解した上で業務にあたることでスムーズな運営を心がけています。
松澤様:2016年と現在を比べると、知識と経験が蓄積された今の方が、確実に精度がアップしていますね。安心して業務をお任せしています。
もうひとつ、委託元としてフィードバックを繰り返すことも、アウトソーシングの成功要因であると考えています。お互いに普段から密なコミュニケーションを心掛け、私たちはお伝えしたつもりにならないよう、お伝えしたいことが正しく伝わっているかを確認しています。
TMJ小林:日々の業務の中で、TMJが対応していい案件なのか、それともエスカレーションすべき案件なのかを判断し、適切な切り分けができるよう、できること、できないことを日々、話し合っています。
松澤様:経理は、一見ルールが白黒はっきりしているように見えますが、実はグレーゾーンが多く、都度、状況に応じて判断することから、伝え方が難しい場面が多々あります。TMJ様からすると、白黒はっきりした回答がほしいところだと思うのですが、こちらの事情をくみ取っていただき、経験と日々の連携により、柔軟に対応していただいているので助かっています。
また、弊社の経理部門では、ベテラン社員は決算開示や税務申告などより専門性の高い業務にあたっていることから、伝票処理のベーシックな部分と経理システムの運用は、比較的、経理経験の浅い社員が担っています。そのため、その分野では経験の長いTMJ様から教えていただくこともあり、社員がTMJ様に鍛えられているという側面もあります。
こちらの事情をくみ取っていただけるのも、社員を鍛えていただけるということも、長いお付き合いの中で、弊社の事情に精通したメンバーがいらっしゃるTMJ様だからこそだと思います。
TMJ小林:ありがとうございます。そうおっしゃっていただけて嬉しいです。
私たちとしても、月次報告会や日々のやりとりを通してコミュニケーションを図り、ご要望をキャッチし、適切な手順や運用方法、改善策をご提案することに注力しています。
松澤様:日々のコミュニケーションから、弊社の求めていることに応えようというTMJ様の姿勢を強く感じますね。
コロナ禍で敷いた複数拠点での分散処理とバックアップ体制
──コロナ以降、経理業務にはどのような影響がありましたか。
松澤様:社内のコロナ対策本部からは全社に対して、緊急事態宣言下は出勤を30%以内に抑えるよう方針が発信されていますが、現行の経理システムへの入力・照会業務は「出勤して行う業務」に区分して各部で対応いただいています。
しかし、毎日出社しなくなることで、処理が遅れることを考慮し、購買部門、財務部門と共同で、入力依頼書の申請方法について、在宅勤務でもできる方法を検討しました。また、これを機に、経理システムの在宅での利用を開放することも検討したのですが、20年以上使用する古いシステムのため、柔軟に部分的な開放をすることができず、セキュリテイ上の要件がクリアできなかったため断念した、という経緯があります。
現在、経理基盤部は、「出勤して行う業務」である経理システムを利用することが多いため、繁忙期である月初めと4月、7月、10月、1月の決算期は特に、出勤率が30%に収まらないのが実態ですが、徐々に経理システムを使わない業務と使う業務の切り分けができるようになり、2021年8月は、リモートと組み合わせてはじめて20%台を達成しました。
TMJ仲野:弊社では昨年度、リスク管理の観点から、多摩エリア内の複数ビルにスタッフを分散して業務を実施してきました。また万が一、コロナ感染者が出て業務が継続できないケースに備えて、岡山(ベネッセコーポレーション様のシェアード業務を実施する第二拠点)と連携してバックアップ体制を整えています。
新経理システムへの移行に、これまでの経験・知見を反映
──コロナ対策で経理システムに課題があるという話がありましたが、2024年に新システムへの移行を予定されているそうですね。
松澤様:はい、新システムへの移行は、コロナ以前にスタートしたプロジェクトですが、新しい働き方に対応したシステムで、2022年、2024年の二段階リリースを目指しています。現在、TMJ様にはプロジェクトに参画いただき、新システムへの移行対応を共同で進めております。
どんなに優れたシステムを導入しても、社員の意識が変わらず恒常的に入力ミスが多く発生するようであれば、開発コスト・努力が無駄になってしまいます。「仏つくって魂入れず」にならないよう、システムリリースに先駆け、各部門に経理担当責任者を配置し、統制強化に着手しました。まずは、その月の状況を月次レポートでフィードバックを行い、実態を各部門が認識し、自分事として改善活動を実行することから取り組んでいます。TMJ様にはそのデータの集計にご協力いただいています。
TMJ仲野:経理システムの切り替えは、ビッグプロジェクトです。これまでの業務で培った知見を活かし、プロジェクトの成功を目指して仕組みづくりに注力しているところです。新システムリリースに向けて、しっかり気を引き締めてかかわっていきますので、よろしくお願いいたします。
経営ニーズをキャッチアップできる経理部門を目指す
──最後に今後の取り組みについてお聞かせください。
松澤様:弊社だけでなく、皆さんコロナで働き方が大きく変わったのではないでしょうか。それに加えて、顧客ニーズは多様化し、事業スピードは一層加速しています。事業や環境変化のスピードに乗り遅れることなく、経営のニーズをキャッチアップしていける経理部門でなければならないと思っています。
経理業務のアウトソーシングでコア業務に集中できる環境はある程度整っていますが、新システムの導入目的である<統制強化><生産性向上><事業変化に対応できる柔軟性の確保>の3つの柱を実現するためには、実際に運用できる業務フロー・体制の構築が必須です。TMJ様には、分析やデータ抽出のほか、運用業務の設計にもご尽力いただいています。これまでの知見を活かしながらご協力いただき、本当に助かっています。
TMJ仲野:ありがとうございます。これからもビジネスを支援するパートナーとしてベネッセ様の経理業務をサポートしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。