現場カイゼン
「AIで作業が速くなった」だけで満足していませんか。ECRSの原則を、閲覧実績や利用データで判定する定量チェックシートとして解説します。
誰も見ないグラフを5秒で作るAI
「今までオペレーターが通話後に15分かけて入力していた、10項目の詳細なチェックボックスと日報。これを生成AIが通話内容から判断して、一瞬で全自動でチェックを入れ、日報のグラフまで5秒で生成してくれるシステムを開発しました!」と大喜びするDX推進チーム。しかし、その自動生成された綺麗なグラフやチェックデータは、その後のマーケティング部も役員会も、誰も一度も開いて見ていませんでした。
無駄な業務をAIで高速化していませんか?
業務改善には、検討する順番を定めた「ECRS」という絶対的なフレームワークがあります。
E(Eliminate:排除):そもそもその作業を無くせないか?
C(Combine:結合):他の作業とまとめられないか?
R(Rearrange:交換):順序を入れ替えられないか?
S(Simplify:簡素化):もっとシンプルに(自動化)できないか?
最も効果が高いのは、一番最初の「E(排除)」です。今回の失敗は、プロセスの必要性を疑うことなく、一番最後の「S(AIで自動化・簡素化)」に飛びついたことです。不要な業務プロセスをAIで高速化しても、業務改善にはつながりません。
ECRS定量チェックシート
例えば、10項目のチェック項目があるとすると、まず「使われているか」を数値で判定します。
| チェック項目 | ありがちな定性的な判断 | 定量的な判断基準例 |
| 排除(E) | 「なんとなく必要な気がする」 | 過去3ヶ月、他部署が参照した回数が0件なら廃止候補 |
| 結合(C) | 「別々の項目でいいか」 | 同じ判断に使われる項目が2つ以上あれば統合を検討 |
| 交換(R) | 「入力順はこれまで通り」 | 入力に最も時間がかかる項目を先頭に動かせないか比較 |
| 簡素化(S) | 「とりあえずAIで自動化」 | E・C・Rを検討済みの残り項目だけを自動化対象にする |
ここで、10項目を1項目ずつチェックした結果、3項目が過去3ヶ月間、一度も経営判断に使われていなかったとします。この場合、その3項目は自動化するのではなく、まず廃止(E)を検討するのが適切です。
今日からの実践ワーク:ECRSシートで入力項目を棚卸しする
☐ CRMの入力項目一覧を書き出す
☐ 他部署に「このデータ、先月何回見ましたか?」と確認し、参照回数を数値で記録する
☐ 参照回数0件の項目から、廃止(E)を検討する
まとめ
誰も見ていない項目をAIで高速入力しても、無駄なデータが速く溜まるだけです。ECRSの原則に沿って、まず「E(排除)」を数値で判定してから自動化に着手する順番が欠かせません。
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