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現場カイゼン


初回投稿日 : 2022/09/30

ベネッセが描く、お問い合わせのエフォートレス化 :第二弾【前編】ベネッセ×TMJ×モビルスが取り組む「チャット対応の本人確認プロセスの取り組み」

顧客接点における「ノンボイス化」「自動化」「問い合わせ導線の改善」など、「問い合わせのエフォートレス化」プロジェクトに取り組む株式会社ベネッセコーポレーション、コンタクトセンターやバックオフィスの設計構築や運営などを行うセコムグループの株式会社TMJ、顧客サポート業務のソリューションの開発・提供を行うモビルス株式会社の3社による対談企画、第二弾です。
今回は、ベネッセコーポレーションの「チャット対応の本人確認プロセスの取り組み」について、株式会社ベネッセコーポレーション 校外学習カンパニー メディア開発部 アプリサービス開発課 課長 萱場成樹氏と、モビルス株式会社 代表取締役社長 石井 智宏氏、チャット対応のオペレーションを担う株式会社TMJ事業統括本部 Benesse事業企画部 第1セクションCX企画G西原由美の3者対談です。第二弾では、取り組みの具体的な内容や、運用方法、導入後の効果や課題、今後の展開などについて、ディスカッションを行いました。

対談メンバー

株式会社ベネッセコーポレーション
校外学習カンパニー メディア開発部 アプリサービス開発課長 萱場成樹氏
ベネッセの通信教育「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」のマーケティング部門で主に保護者向けのデジタルサービスの開発を担当。

モビルス株式会社
代表取締役社長 石井 智宏氏
ベネッセコーポレーション様の通信教育サービス「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」でのチャット対応における本人確認プロセスで導入されている「Secure Path(セキュアパス)」の導入支援を実施。

株式会社TMJ
事業統括本部 Benesse事業企画部 第1セクションCX企画G 西原由美
ベネッセコーポレーション様の通信教育サービス「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の保護者向けチャットボットの運用構築、管理をメインで担当。

よりエフォートレスなお客様体験を実現するために

石井氏
今回の「チャット対応の本人確認プロセス」のプロジェクトは、フェーズを区切って行っています。まずは昨年7月~9月に実施いただいたフェーズ1のメインの狙いをどこに定めていたのかをお伺いさせてください。

萱場氏
もともと2017年からLINEでのチャット対応を小学講座から始めていました。
幅広くお問い合わせいただく中で、どうしてもお客さまのご契約やお子さまの情報をお伺いしないと回答できないという領域があります。チャットではお客さまの個人情報をお伺いできなかったため、チャットでお問い合わせいただいているのにチャット内で完了できず、お電話をご案内していました。お手間をおかけしてしまっている、というのがずっと課題でした。
TMJ様と一緒に、この課題をどうにか解決できないかということを長く検討していました。そのような中でモビルス様から解決にむけた提案をいただき、お客さまの利便性を上げていくことを目的に取り組みたいと思い、実施しました。

石井氏
とくに第一段階でチェックされていたのが、お客さまが本当にこれで満足いただけるのか?ということかと思いますが、そのためにはまず何を最初に確認しないといけないと思いましたか?

モビルス株式会社 代表取締役社長 石井 智宏

萱場氏
お客さまをLINEで応対している中で、モビルス様の「Secure Path」というLINEとは別のUIでお客さまに個人情報を入力いただくフローとなり、お客さま体験を考えた時に「どれだけお客さまに違和感なく、安心してお手続きできるか」を重要な観点として見ていました。

石井氏
現場サイドのTMJ様としてはどのように考えて取り組まれましたか?

西原
今までお客さまからも、「チャットで手続きまで完了してほしい。個別対応してほしい。」というニーズはありました。現場のオペレータも、「せっかくお問い合わせいただいたのに、結局電話へのかけ直しのご依頼になってしまう。チャットで解決したい。」という思いがありましたし、何よりお客さまからのがっかりした声を長年ずっと聞いてきました。どうにかしてチャットでお客さまの対応を完結したいという思いはだんだん強くなっていきました。

石井氏
逆に個人情報を取り扱うことの怖さや、不安感みたいなものはありましたか?

西原
お客さまがどう感じられるのかという不安はありましたが、オペレータは普段から電話対応の中でお客さまの個人情報を扱っています。そのため、個人情報を扱うことに対しての不安はありませんでした。

図1  サービス利用状況・満足度変化
自動化後も高い利用率・顧客満足度を維持

KPIには窓口運営の指標を採用

石井氏
このプロジェクトをフェーズ1としてスタートさせて、我々モビルス側で驚かされたのが「ここまで緻密にやるのか」という点です。実施にあたり、どのような項目をKPIとしていたのでしょうか。また、どうしてそのKPIを選んだのかを教えてください。

株式会社ベネッセコーポレーション
校外学習カンパニー メディア開発部
アプリサービス開発課長 萱場 氏

萱場氏
今回の取り組みによってお客さまの利便性が高まることと、お客さまが「Secure Path」を使うことに不安を感じないかを重視しました。ですので、まずはお客さまにご利用いただいた際の定性のお声を注視しました。
お声以外では、「Secure Pathに入ったあとに手続きを完了してもらえるか?」に関する指標が大事だと考えました。お声に表れない部分で離脱してしまっているのは不安の表れだと考えているので、そこを数値として見ていきました。
また、ベネッセとしてもこのサービスを広く展開していきたいと考えていますので、今後スケールさせていくにために、運営効率の指標を取得しておりました。具体的には、窓口運営の指標であるAHT(平均対応時間)、CPC(1コンタクトあたり単価)、CPH(1時間あたりコンタクト件数)を見ていきました。

サービス利用率の推移

石井氏
「そもそもお客さまに受け入れてもらえるのか?」という満足度と、最初は少し苦戦した利用者数について、「苦労していたけどこのように改善していった」というポイントをお伺いさせてください。
まず利用者数をみると、目標値75%となっています。それほど選択してもらえなかった、という状況があったと思いますが、この部分についてのエピソードを教えてください。

萱場氏
目標の作り方については課題があったと思います。
また、お客さまとチャットの応対をしたうえで、最後の選択肢として当時Secure Pathという選択肢以外にも「電話」を案内していました。この点が逆にお客さまを迷わせてしまっていた、というのはあったと思います。
せっかくチャットでやり取りをしているのに、お客さまを迷わせることになってしまったのではないか、と振り返ってみて考えています。

石井氏
いただいたデータを見返してみたのですが、明確な変化がありますね。
利用率は当初44%でしたが途中で運用改善を行い、その後は当初より10%以上増加しています。
またCPCについては、このフェーズではお客さま満足度を優先して見られていたのでしょうか?

萱場氏
そうです。

石井氏
この時点では、最終的には「電話と比較した運用効率」は念頭にあったのでしょうか?

萱場氏
チャットと電話を比較した時、一人のお客さまに対してオペレータが一人と考えると、電話と違い、チャットはお客さま自身がリアルタイムにコミュニケーションしてくださる訳ではありません。またオペレータ自身も「話す」「文字の入力」の違いもあるので、単純なAHTの比較だけで考えてしまうと、チャットは電話に対して伸長すると考えていました。
ですのでAHTの結果よりも、お客さまの利便性として「チャットでお問い合わせいただいた方がどれだけ満足されるか」を見ていました。ご満足いただけているのであれば、生産性を上げていく、ということを社内で議論していました。

石井氏
フェーズ1実施時の結果として、CPCは電話と同程度という結果でいらっしゃったということでよいでしょうか?

萱場氏
はい、そうです。

途中離脱に対する打ち手

石井氏
また課題として、「Secure Path」内での「途中離脱」もありました。どのような施策を行うことで、これらを改善したのでしょうか?

萱場氏
「途中離脱」については、「お客さまに手続きをしていただく」ということについて、私たちがいかにして解像度を上げて、改善を行っていったかの成果の表れだと考えています。
お客さまの離脱理由について「おそらくここで離脱してしまっているのではないか」という箇所をデータから読み解き、手を打ったことが成果として表れたのだと思います。
当たり前のことなのですが、こういった改善結果を数値として提供いただきながら取り組むことができたのが、今回モビルス様との取り組みの意味として大きかったと思っています。

効率指標から見えた改善余地

石井氏
あくまで優先順位が高いのはお客さま満足度で、これが通用するかどうかを注視していたとのことでしたが、将来的には効率指標も見ていかなければいけない中で、フェーズ1時点での効率面における課題点は何であると捉えていましたか?

萱場氏
「お客さまに価値を出せていない部分で時間を使うことは良くない」と考えていました。そのため、お客さまとオペレータが応対している時間は「人の価値」を出せていると思います。一方でオペレータとの応対がなく、お客さまが体感として長く感じている部分には改善余地があると考えていました。これは、この後のフェーズ2に繋がる「本人確認」の部分となります。

石井氏
西原様としてはこのフェーズ1において、現場運営で苦労した部分はありますか?

株式会社TMJ
事業統括本部 Benesse事業企画部
第1セクションCX企画G 西原由美

西原
複数件同時対応は以前から行っておりました。しかし、そこに個人情報を取り扱うとなると「仕組みとしてミスや事故が起きない対策」が必要になります。そこで現場としては、最初に窓口のオペレータに複数台の端末を用意し慣れてもらうことに取り組みました。
フェーズ1が終了した段階で個人情報を取り扱いながらお客さまの課題解決ができ、かつ現場のオペレーションとしても実装できる、ということが見えてきたのは良かったと思います。
また、フェーズ1の段階で、拡大させていく可能性も見えてきました。

石井氏
なるほど。結果として2021年9月末には同時対応数1.1になりました。これこそ複数台端末の運用だからかと思いますが、もし端末が2台あってフルでとれれば、これは2に近づいていくと考えられると思いますが、1.1になったのは背景としては何があるのでしょうか?

西原
9月の段階では、どの程度生産性が低下するのかがみえておらず、お客さまへ影響を出さないためにも、ブース数が多くなっていました。 現在は1.1以上の対応数になっています。

石井氏
9月時点には安全策をとったということですね。

後半に続く

対談は後編につづきます。後半パートでは、2022年3月に実施した「チャット対応の本人確認プロセスの取り組み」プロジェクトの「フェーズ2.1」について、目的や施策内容、KPI設定や結果、運用の工夫や課題、今後の展開などについてお話いただきました。

対談後編は<こちら>。

執筆者紹介

約20社の顧客企業のCX関連活動の問題解決を図るプロジェクト型組織です。営業組織やセンターメンバー組織の知識スキル習得、提案活動、また業務設計とその標準化、施策の検証、内外への事例紹介などをワンストップで行っています。

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