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BPOの基礎知識


初回投稿日 : 2025/12/18

正しい説明をしているのに、なぜ相手はいら立ってしまうのか

会社案内から始めるプレゼンが、相手を遠ざける瞬間

営業の場で、こんな光景を見たことはないでしょうか。

商談が始まると同時に、「まず弊社のご紹介からさせてください」と言って会社案内のスライドを開く。
沿革、事業内容、拠点数、実績。
どれも正しい情報で、説明としては間違っていません。

しかし相手の反応は、

  • うなずいてはいるが、質問は出ない
  • 時計を気にしている
  • 「で、何の話でしたっけ?」という空気になる

という状態になることがあります。

会社案内が悪いわけではありません。
ただ、その場の相手にとって「今、一番知りたいこと」から話が始まっていないだけです。

FAQを上から読んでしまう応対は、これと同じ構図

この構図は、コンタクトセンターの応対でも頻繁に起きています。

たとえば、お客様から「料金プランを変更したいのですが」と問い合わせが入った場面。

FAQには次のような構成で情報が並んでいます。

  • 適用条件
  • 変更手続き
  • 注意事項
  • 例外ケース

オペレーターはFAQを開き、上から順に説明しようとします。

すると会話はこうなります。

オペレーター
「まず変更条件についてご説明しますね。ご契約から○か月以上経過している必要がありまして…」

お客様
「条件はいいので、いくら変わるのかだけ教えてもらえますか?」

ここでお客様はいら立っているわけではありません。
ただ、知りたい順番が合っていないのです。

正しい情報でも「順番」を間違えると聞いてもらえない

会社案内もFAQも、中身は正しく、必要な情報です。

問題になるのは、

  • 何から話し始めるか
  • 相手が今どこに関心を持っているか

この視点が抜けた瞬間です。

営業プレゼンで言えば、

  • 自社の話をしたい気持ち
  • 説明としては正しい構成

が先に立ち、相手の関心が後回しになります。

FAQ応対でも同じことが起きています。

  • FAQに書いてある順番
  • 抜け漏れなく説明しようとする意識

が先に立ち、お客様の関心が後回しになります。

「話の流れでFAQを組み立てる」とは何をすることか

ここで言う「話の流れでFAQを組み立てる」とは、
FAQを書き換えることではありません。

実際に現場で起きている良い例を見てみます。

具体例:同じFAQでも、応対の組み立て方が違う

同じ「料金プラン変更」の問い合わせ。

FAQの内容は変わりません。
変わるのは、使う順番です。

オペレーター
「料金ですね。現在のご契約内容ですと、月額は○円から○円に変わります。」

お客様
「それなら変更したいです。」

オペレーター
「ありがとうございます。変更条件として一点だけ確認させてください。ご契約期間が○か月以上経過している必要がありますが…」

お客様
「はい、大丈夫です。」

オペレーター
「ではお手続き方法をご案内しますね。」

この応対では、

  • FAQの条件説明
  • 手続き説明
  • 注意事項

すべて伝えています。
ただし、お客様の関心に合わせて順番を入れ替えているだけです。

FAQを「台本」として使うと、会話は詰まる

FAQをそのまま読もうとすると、

  • 会話のテンポが崩れる
  • 相手の反応に合わせづらい
  • 説明を遮られる

ということが起きます。

その結果、オペレーターはFAQを、

  • 一度読んで頭の中で並び替える
  • 自分の言葉に言い換える

という対応を取ります。

ここでFAQは、読む台本ではなく、材料になります。

説明とは、情報を並べることではない

説明とは、用意した情報を順番に話すことではありません。

相手が今どこで立ち止まっているのか。
何を知れば次に進めるのか。
その理解に合わせて、情報の出し方を組み立てる行為です。

FAQも、プレゼンも、マニュアルも同じです。
内容の正しさだけでなく、相手の理解が前に進む順番で情報を届けられているか。

そこまで設計されてはじめて、説明は「伝える行為」から「前に進める行為」に変わります。

執筆者紹介

ビジネスのデザイン力で、事業の一翼を担うBPOパートナーのTMJ。将来にわたる経営環境に最適なビジネスプロセスを設計し、事業を代替することで、クライアント企業の継続的な事業成長を総合的にサポートしています。

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