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BPOの基礎知識


初回投稿日 : 2025/12/26

設計思考で実現する「属人化しない応対品質管理 」

「オペレーターによって応対品質に差が出る」
これは多くのコンタクトセンター管理者が抱える共通の悩みです。クレームが発生すれば個別指導を行い、評価結果をもとに改善を促す。それでも、しばらくすると同じような問題が再発する。こうした状況が続くと、「やはり人の問題なのではないか」と考えてしまいがちです。しかし本当に、電話応対品質の課題は“人”にあるのでしょうか。

電話応対の品質問題を「個人」に帰着させる組織の落とし穴

電話応対は一見すると個人のスキルに依存しているように見えます。声のトーン、言葉選び、臨機応変な対応力。目に見える成果が個人に紐づくため、問題が起きた際も「誰がやったか」に焦点が当たりやすいのです。また、多忙な現場では、根本的な仕組みを見直すよりも、目の前のミスを個別指導で是正する方が早く見えます。その結果、「教育している」「評価している」という状態に安心してしまい、同じ課題が構造的に残り続けます。

応対品質のバラつきを生む3つの構造的問題

① 現場判断に委ねられた曖昧な基準

「状況を見て判断してほしい」という指示が生むバラつきは深刻です。顧客の声のトーンや要求内容によって対応を変える必要があることは理解できますが、その判断基準が明文化されていなければ、担当者の経験や感覚に委ねられてしまいます。特に、規定に明記されていないグレーゾーン対応で個人差が顕著に現れます。

② 使えないマニュアルという名の「知識の非応用」

書いてある内容は正確で充実していても、実際の応対場面で参照できない、判断につながらない情報は存在しないのと同じです。結果的に、担当者の記憶に頼った応対になり、重要案内の抜け漏れが発生してしまいます。

③ 事後対応に終始する品質管理の限界

問題が起きた後に振り返るだけの評価では、予防にはつながりません。録音を聞き返して「ここが不十分だった」と指摘することは重要ですが、それでは「チェック」ではなく「後処理」になってしまいます。

応対品質を「設計」で解決する 新しいアプローチ

電話応対を「判断プロセス」として再構築する

電話応対品質を安定させるためには、応対を“個人技”ではなく“プロセス”として捉え直す必要があります。

例えば、「本人確認必須説明注意喚起クロージング」といった判断の連続として分解します。各段階で何を確認し、何を説明すべきかを明確化することで、応対品質を「担当者の技量」ではなく「設計されたプロセスの実行度」として測定できるようになります。どの段階で品質低下が起きやすいかも特定でき、改善の優先順位を決めることが可能になります。

ヒューマンエラーを前提とした「失敗しない仕組み」

重要案内や必須説明は「気をつける」対象ではなく、「抜けない設計」への発想転換が必要です。記憶や注意力に依存した運用は、忙しい現場ほど破綻します。人間の注意力や記憶力の限界を前提に、重要案内や必須説明事項が担当者の意識に関わらず確実に実行される仕組みを構築します。

ベテランの技術を組織の「共通資産」に変える

ベテランが無意識に行っている技術を言語化・構造化します。顧客の状況を素早く把握する質問の仕方、説明の順序、クロージングのタイミングなど、上手な応対には必ず理由があります。暗黙知を誰でも再現できる「型」に変換して初めて、品質は個人から組織のものになります

AIが支える次世代の応対品質管理を実践する方法

監視ではなく「支援」としてのAI活用

AIは「人を監視するツール」ではなく、管理者の判断負荷を減らす補助装置として位置づけるべきです。担当者を査定したり処罰の根拠にしたりするのではなく、設計されたプロセスが適切に実行されているかを確認し、改善すべき箇所を発見します。人間の管理者では物理的に不可能な全件チェックを実現し、見逃されがちな品質低下の兆候を早期発見します。

全通話チェックで実現する「漏れのない品質管理」

従来のサンプリング方式では問題のある応対を見逃すリスクがあります。AIによる全件チェックで「誰が悪いか」ではなく「どこでプロセスがズレたのか」を客観的に把握し、個人を責める管理から仕組み改善へ転換できます。

統一基準による評価の公平性と客観性

AIが一定の基準で評価し続けることで、評価者や時間帯によるブレを防ぎます。管理者は全通話を聞く必要がなくなり、例外対応や改善検討に集中できます。

管理者が「モニタリング業務」から解放される働き方改革

AI活用により、管理者の日常業務は劇的に変化します。従来は全通話から抽出したサンプルを一つひとつ聞いていた時間が、AIが抽出した「真に改善が必要な数件」だけに集中できるようになります。残りの時間は、オペレーターとの対話や応対品質向上のための戦略策定、チーム運営の改善に使えるようになり、管理者が本来担うべき人材育成やチームマネジメントに注力できる環境が実現します。

設計思考 × AIがもたらす応対品質管理の新常識

この新しいアプローチは複数の効果をもたらします。応対品質の安定化により担当者や時期によるバラつきが削減され、明確化されたプロセスで新人教育期間も短縮できます。QA・SV業務の負荷軽減により、管理者はより戦略的な業務に集中でき、案内漏れリスクの低減で顧客満足度が向上します。最終的に、管理者が本来やるべき組織改善や人材育成に時間を使えるようになります

属人化からの脱却と持続可能な品質向上

電話応対品質は個人の努力だけでは守れません。どれだけ優秀な担当者であっても、不明確なプロセスや基準のもとでは安定した品質維持は困難です。品質を決めるのは「設計」であり、それを支えるのがAIです。人を責める管理から仕組みで守る管理への転換が必要な時代に入っています。

これからの品質管理は、人×設計×AIの組み合わせで考える時代です。技術の進歩を人材育成の障害として捉えるのではなく、より高い価値を提供するための手段として活用することが重要です。AIは人を監視する道具ではなく、より良い品質を実現するためのパートナーであり、この認識の転換が組織の競争力向上につながります。

TMJ Conversation Monitorは、本コラムで提案した「人に依存しない品質管理」を実現するAI音声解析サービスです。全通話の自動チェックにより、管理者をモニタリング業務から解放し、プロセス設計と継続的改善に集中していただけます。

統一された基準での客観的評価、重要案内の抜け漏れ検知、ベテランの応対技術の可視化など、「設計された品質管理」に必要な機能を包括的にサポート。サンプリングでは見逃されがちなリスクを全件で発見し、組織全体の応対品質向上を支援いたします。

詳細な機能や導入事例については、TMJまでお気軽にお問い合わせください。

執筆者紹介

ビジネスのデザイン力で、事業の一翼を担うBPOパートナーのTMJ。将来にわたる経営環境に最適なビジネスプロセスを設計し、事業を代替することで、クライアント企業の継続的な事業成長を総合的にサポートしています。

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