現場カイゼン
チャットボット導入後にクレームが増えた背景には、分岐ロジックの可視化不足があります。複雑な分岐図の代わりに使う「カスタマージャーニーマップ」の描き方を解説します。
無限ループで顧客が激怒するチャットボット
「受電数を減らすために、WebサイトにAIチャットボットを導入しました!」というセンター。しかし、導入後なぜか「ボットが分かりにくい!」と最初から激怒して電話をかけてくるお客様が増えてしまいました。お客様がボットの画面で「パスワードを忘れた」をクリックすると、「ログイン画面から再発行してください」と表示され、そこをクリックするとまたボットの最初の画面に戻ってしまうという、悪魔の無限ループにお客様が囚われていたのです。
「地図」なきボットでお客様を迷子にしない
システムエンジニアリングの世界において、プログラム(ボットの設定)をする前に、100%行うのが「業務フロー図(As-Is/To-Beチャート)」の作成です。お客様がどういうトラブルを抱え、ボットが提示する選択肢に対してAと答えたらどこへ遷移し、Bと答えたら有人チャットへどう繋ぐのか。この「分岐の地図」を描くことをサボり、AIの「いい感じの要約・対話能力」に甘えて適当に文脈を繋げた結果、お客様が迷子になってしまったのです。
複雑な分岐図の代わりにカスタマージャーニーマップを使う
すべての分岐を四角と矢印で網羅しようとすると複雑になり挫折します。代わりに、顧客の「行動」と「感情」を1本の線で追うジャーニーマップを描くと、有人対応に切り替えるべきポイントが一目で分かります。
| フェーズ | 顧客の行動 | 顧客の感情 | ボット/有人の切り分け |
| ①パスワードを忘れた | ボットで「パスワード忘れた」を選択 | 困っている | ボット:IDとPWどちらを忘れたか質問 |
| ②再発行URLに進む | URLをクリックする | 不安(うまくいくか) | ボット:手順を案内 |
| ③再発行しても解決しない | 「解決しましたか?」に「いいえ」と回答 | 苛立ち・怒り | 有人:即エスカレーション(ボットに戻さない) |
ポイントは「③解決しない」で顧客の感情が動いた瞬間、絶対にボットの最初の画面に戻さないこと。この1点を線引きするだけで、無限ループは防げます。
今日からの実践ワーク:自社のジャーニーマップを描いてみる
☐ 最も入電数が多い問い合わせ理由を1つ選ぶ
☐ 顧客の行動・感情を3〜4コマで書き出す(複雑な分岐図は不要)
☐ 顧客の感情が「苛立ち・怒り」に変わるポイントを特定し、必ず有人へエスカレーションするルールにする
まとめ
ボットの無限ループは、複雑な分岐をすべて設計しようとして挫折した結果です。顧客の行動と感情を1本の線で追うジャーニーマップに置き換え、感情が動く瞬間だけを有人につなぐ。これだけで顧客の”迷子”を防げます。
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