BPOの基礎知識
コンタクトセンターは「コスト部門」と見られがちでしたが、顧客接点の最前線としての価値が見直され、売上貢献への期待が高まっています。アップセル・クロスセルの機会創出から、解約阻止、顧客の声(VOC)の活用まで、打ち手はさまざまです。本コラムでは、コンタクトセンターを売上貢献できる組織に変えるための考え方を解説します。自社の状況に合ったアプローチを見つけるヒントとして、ぜひ参考にしてください。
売上を創出するセンター運営の考え方
センターによる売上貢献に効果的な施策や考え方を紹介します。
インバウンドを「攻め」に
問い合わせ対応は、顧客との貴重な接点です。用件を解決するだけで終わらせるのではなく、会話の流れのなかで顧客のニーズを引き出し、関連商品やサービスを案内するアップセル・クロスセルの設計を組み込むことで、センターは受け身の対応から売上を生む拠点へと変わります。
例えば、ECサイトのカスタマーセンターに顧客から商品の到着について問い合わせが入った場合を考えてみましょう。到着日時の回答だけで終わらせずに「今回ご購入の商品ですが、定期便にすると毎回5%割引でお届けできます。継続してご利用の方が多いのですが、ご興味ありますか?」と添えるだけで売上への影響が変わります。
重要なのは、押し売りではなく「この顧客に今必要なものは何か」を起点にした提案設計です。スクリプトの見直しや、提案タイミングの標準化から始めると取り組みやすいでしょう。
コスパが高い解約阻止
新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの数倍といわれています。解約の申し出や不満の声を受けたとき、その対応次第で顧客を引き留められるかどうかが決まります。
例えば、通信サービスのカスタマーセンターに、「料金が高いので解約したい」という連絡が入ったケースを考えてみます。オペレーターはすぐに解約手続きに進まず、利用状況を確認しながら「現在のご利用内容ですと、月額が1,500円下がるプランに変更できます」と代替案を提示し解約阻止を狙います。
コンタクトセンターは解約の兆候をいち早く察知できる部門です。解約理由の分析と対応トークの整備を進めることで、解約阻止率を高め、売上の損失を防ぐことができます。ロスを抑えることも重要な売上貢献です。
顧客の声を活かす
センターには毎日、商品やサービスへのリアルな声が集まります。このVOCの重要性は理解できているものの、効果的に活用できている企業はそれほど多くないと言われています。問い合わせ内容を分類・分析し、商品改善や新サービスの企画、マーケティング施策へとフィードバックする仕組みをつくることで、コンタクトセンターは間接的に売上貢献できる情報源になります。
上記の通信会社の例のように、解約理由が料金の高さであれば、顧客の属性データと結び付けて開発やマーケティング部門に連携することで、サービス改善や訴求の見直しにつなげることができます。
顧客体験でリピートを生む
丁寧で的確な対応は、顧客のリピートを促し、口コミや紹介につながります。広告費をかけずに新規顧客を獲得できるこの効果は、数字に表れにくいものの、長期的には大きな売上貢献です。
リピートにつながるファンづくりの例を紹介します。ホテルの予約の電話で「実は妻の誕生日で……」とこぼした顧客の一言をオペレーターが予約票の備考欄に的確に記載しました。当日、ホテル側からサプライズのメッセージカードと小菓子が用意され、宿泊者を喜ばせたというものです。
顧客満足度を高める対応品質の維持・向上は、現場が担う重要な役割の一つです。
まとめ
どれも現場レベルで実践できるものですが、それを継続・拡大するには、経営や他部門の理解と支援が欠かせません。解約阻止件数・アップセル成約率・VOC起点の改善事例など、現場の成果を投資対効果で語れるようになることで、予算や人員を引き出しやすくなります。現場の熱意を数字で裏付けることが、さらなる改善サイクルを生む原動力になります。