BPOの基礎知識
コンタクトセンターの運営委託は、人材確保やコスト最適化の観点から合理的な判断です。実際に委託を決めた時点では、正しい選択だと確信していたはずです。ただ、運用が始まって半年、1年と経つうちに「思っていたのと違う」と感じるケースもあります。本コラムでは、委託後に多くのCS責任者が感じる後悔の理由や、委託関係を見直すための判断軸を整理します。
一次情報のキャッチ
委託先はSLA(サービスレベルの合意)や仕様に沿って安定した運営をしてくれますが、自社運営時のような小回りの利いた動きが取りづらくなり、不満を感じることがあるかもしれません。
例えば、自社運営時は、現場SVから「最近、高齢のお客様からWebの操作案内で”そこまでやってくれるの”と感謝される場面が増えている。案内の丁寧さが差別化になっている」と報告があり、CX改善の根拠になっていた。しかし、外部委託後は、顧客の声も月次レポートや定例会議を介しての情報共有がメインになり、顧客の反応をキャッチするスピードに物足りなさを感じるといったケースです。
応対範囲や追加コスト
委託契約はスコープが明確な分、運用が進む中で仕様の隙間に落ちる業務が出てきます。例えば、新商品リリースに伴うFAQの暫定対応、他部署から急遽依頼された顧客ヒアリング、クレームの傾向変化に対する一時的なエスカレーションルールの変更など、事前に明確に定義されていない問題が起これば宙に浮きます。委託構造の中では「クライアントと委託側のどちらの範囲の業務か」という確認から始まります。また、追加の対応となれば費用が積み上がり、「コスト最適化のために委託したはずが、本当に安くなっているのか」といった不満にもつながります。
ノウハウ蓄積
委託を続けていく中で見落とされがちなのが、自社内にセンター運営を実務レベルで理解している人が少なくなっていく問題です。
委託決定時や直後のタイミングではコンタクトセンターの運営を熟知している自社社員が多数おり、委託先とのコミュニケーションや、委託後に発生した課題への対処も的確に行えるかもしれません。ところが委託してから月日が経つと、コンタクトセンター運営に関しては委託先の方が詳しいという状況が起こりえます。そういう観点からも、任せっきりにするのではなく一定のスキルを持った社員が日々、委託先とコミュニケーションできる体制を整えておくことも大事かもしれません。
委託の設計を見直す
紹介した例は一部ではありますが、他にもさまざまな懸念点があるかもしれません。
ただ、本質的な問題は、設計段階にあります。裏を返せば、委託先との関係を再設計することで改善できる領域でもあります。改善提案を評価する仕組みを盛り込む、仕様外業務の判断基準について双方で合意しておく、自社側に運営を評価できる人材や知見を意図的に残すなど、委託は「任せて終わり」ではなく、自社と委託先の間で育てていく関係です。そのためには、定期的に役割や責任の持ち方を見直す視点が欠かせません。今感じている違和感があるなら、委託の設計を見直すタイミングかもしれません。