コールセンター
ルールはあるのに判断が揃わないのはなぜか?
コンタクトセンターに、ルールやマニュアルが存在しないことはほとんどありません。
本人確認、案内範囲、エスカレーション条件、禁止事項など、業務に必要なルールは一通り整備されています。
それでも現場を見渡すと、
- 同じ内容の問い合わせなのに対応結果が微妙に違う
- オペレーターごとに案内の深さや慎重さが異なる
- QAやSVのレビューで評価が割れる
といった状況が起きていないでしょうか。
ルールはある。教育もしている。
それでも判断が揃わない――
この違和感こそが、多くの現場で見過ごされがちな課題です。
判断がバラつくのは「守っていない」からではない
判断が揃わないと聞くと、「ルールを守っていない人がいるのではないか」と考えがちです。
しかし実際の現場では、
- ルールは理解している
- 故意に逸脱しているわけではない
- むしろ慎重に判断しようとしている
というケースが大半です。
それでも差が出るのは、同じルールを前にしても、考え方の順番が揃っていないからです。
この違いが最も分かりやすく表れるのが、多くのセンターで日常的に発生する「本人確認」の場面です。
本人確認ルールは決まっているのに、案内可否が人によって変わる
多くのセンターでは、本人確認について次のようなルールが定められています。
- 本人確認は必須
- 登録情報と一致しない場合は追加確認を行う
- 確認が取れない場合は案内を控える
マニュアルにも明記され、研修でも繰り返し共有されています。
それにもかかわらず、実際の応対では判断に差が生まれます。
あるオペレーターは、「氏名と生年月日が合っていれば進めてよい」と判断します。
別のオペレーターは、「少しでも違和感があれば必ず追加確認を入れるべき」と考えます。
また別のオペレーターは、「お客様が急いでいる様子だったので、そのまま案内した」と振り返ります。
誰も本人確認を軽視しているわけではありません。全員が「ルールは守っているつもり」です。
それでも結果として、案内できる内容や可否が人によって変わってしまいます。
「決めている」状態で止まると、判断の迷いが生まれる
この場面で揃っていないのは、本人確認というルールそのものではありません。
揃っていないのは、
- どこまで確認できたら「OK」と判断するのか
- 少し曖昧な場合、厳しめに倒すのか原則に戻すのか
- 迷ったとき、何を基準に判断を終えるのか
といった判断のラインと順番です。
そのためオペレーターは無意識のうちに、
- 過去に注意された経験
- 先輩のやり方
- 自分なりの安全策
を基準に判断するようになります。
これが、ルールはあるのに、判断が揃わない状態を生み出します。
FAQが整備されているのに、案内内容が揃わない理由
オプションサービスや追加手続きについても、FAQやトーク例が整備されているケースは多くあります。
それでも現場では、
- 料金やメリットまで丁寧に説明する人
- 概要だけを簡潔に伝える人
- トラブルを避けるため触れない人
といった違いが生まれます。
オペレーター側からは、
- どこまで説明すれば「案内した」と言えるのか
- 必須説明と補足説明の線引きが分からない
- 時間がないとき、省略してよいのか判断できない
という声が聞こえてきます。
FAQはあっても、案内判断の基準と優先順位が揃っていないためです。
同じ通話を聞いても、SV・QAの評価が割れる瞬間
判断のバラつきは、応対後のレビューでも顕在化します。
同じ通話を聞いても、
- 「最低限はできているのでOK」
- 「重要点が弱いのでNG」
- 「時間制約を考えれば妥当」
と評価が割れることは珍しくありません。
この状態が続くと、
- オペレーターは何を基準に直せばよいか分からない
- SVの指導が抽象的になる
- 改善が再現されない
という悪循環に陥ります。
判断が揃っているセンターで共通していること
応対品質が安定しているセンターでは、ルールよりも次の点が具体的に共有されています。
- 本人確認は「この情報が取れた時点でOK」と定義されている
- オプション案内は「この条件に該当したら、最低限ここまでは必ず伝える」と揃っている
- 迷った場合は「省略」ではなく「原則に戻る」と決めている
その結果、
- 応対内容のばらつきが減る
- QA評価が安定する
- SVの指導が具体的になる
といった変化が生まれています。
判断のバラつきは、個人の問題ではない
「きちんと決めているはずなのに、現場では判断がバラついてしまう」
こうした状況は、オペレーターの意識やスキルに原因があるわけではありません。
多くの場合、判断を揃えるための“設計”がなされていない――
問題の本質は、そこにあります。
キーワード
関連するサービス |
|---|