専門家コラム
お客様の声とコンタクトセンター
多くの企業で、コンタクトセンターに集まる顧客の声の収集・蓄積・分析を行っていることと思います。
技術の進歩により、音声をテキスト化する、分類する、情報を共有する手段は整いつつありますが、そのデータを分析し、施策に反映させるという点では、未だ課題を抱えている企業が多いのではないでしょうか。
顧客との接点にオペレータが介在するコンタクトセンターだからこそできる、オペレータの声(VOE)の活用について考えてみます。
※VOE=Voice Of Employee(お客様と接するオペレータの声)
VOEの有効性
「お客様の声(VOC)の分析」や「CS調査」についてのご相談やご依頼をいただくことがあります。
いずれの場合も、分析を行う過程で最も頭を悩ますのは、結果の解釈です。データは事実(結果)そのものですが、その事実(結果)の解釈、例えば、「なぜ、○○関連の問い合わせが増加したのか?」「なぜ、××の満足度が下がったのか?」。「なぜ」の部分の解釈は、定量データからだけでは導き出せないケースが多々あります。
そのような「なぜ」の理解を促してくれるのが、オペレータの声(VOE)です。オペレータは日々、お客様との会話を通じて、その声の内容(質)の変化や増減傾向を、意識・無意識にかかわらず、把握しています。オペレータのそのお客様感覚と定量データとを合わせて分析することで、「なぜ」の部分の仮説立案が容易になり、改善活動へとつなげることが可能となります。
VOEを暗黙知から形式知にするために
ただし、あれもこれも質問すれば明確になる、という訳ではありません。VOEを活用するにあたっては、留意すべき点もあります。
オペレータの頭にある情報は、混沌とした「暗黙知」である場合があります。印象の強いコトバや態度が強く記憶に残り、全体傾向を正しく把握しているとは言いがたいこともあります。
その暗黙知を有益な形式知に変換するためには、「観点」を明確にする必要があります。
例えば、「何か気づいたことはないですか?」「最近変わったことはありませんか?」といった漠然とした問いかけをしても、オペレータはどのような観点で答えたらよいのかわからず、意図した回答は得られません。
より具体的に、可能であれば定量データを元にして、「○○についての満足度が下がったのですが、具体的にその項目に関連したどんな声が増えていますか?その要因については何が想定されますか?」
と問いかければ、施策に反映しやすい知見を引き出しやすくなります。
あるクライアントでは、VOCの分析に、VOEを積極的に活用しています。その結果、お客様視点に立った課題抽出、仮説立案が容易になり、「帳票の改善」や「HPの改修」、「SMSの導入」などの施策を、迅速に実行に移すことが可能になりました。
VOEの活用は、大掛かりな仕掛けも必要なく、比較的容易に実施できる方法です。お客様の声を解釈する一助として、オペレータの声の活用を検討してはいかがでしょうか。
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