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業務改善ノート Business Improvement Note

豊富な顧客応対実績から生まれたコミュニケーションのノウハウや
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VOC×AIが促進するカスタマーエクスペリエンスの向上

初回投稿日 : 2019/08/26

デジタルトランスフォーメーションで「顧客価値の向上」を推進する企業が増える中、コンタクトセンターは顧客接点の重要なチャネルとして再び注目されています。

コンタクトセンターで収集されるVOC(Voice of Customer:顧客の声)を顧客の傾向分析に活用されている企業は多いと思います。近年では、音声認識技術の進歩によりVOCをテキストデータ化することが容易になり、さらにAIの進化も加わって、VOCのさらなる活用が期待されています。

今回は、VOCとAIの活用がカスタマーエクスペリエンスにもたらす変化(未来像)についてお話ししたいと思います。

目次

  1. VOC×テキストマイニング ―全体像をつかむのに有効―
  2. VOC×AI ―大量のVOCを個々に判断して定型的な応対を自動化―
    1. 大手通信会社のチャットボット活用事例
  3. AIの支援で、人のオペレーションはこれまでにない価値を創出する
  4. AIをパートナーとして考える

VOC×テキストマイニング ―全体像をつかむのに有効―

VOCといえば、サービスへの要望や潜在的な顧客のニーズが伺えるような内容が含まれているものを期待しますが、そうした内容は実はそんなに多くはありません。

実際にコンタクトセンターの履歴をみてみると、そこにはあまりに雑多な内容が数多く含まれ、なおかつ定型的な処理の受付や手続きなどがほとんどです。そのため、テキストマイニングを使ってVOCにどんな内容が含まれるのか、不満にはどのような種類のものが多いのかということを分析しても、何か面白いことが見つかるのは最初の数回までで、その後はほぼ同じ分析結果しか得られなかったりします。

これは当然といえば当然のことです。
なぜなら、テキストマイニングができることは、あくまで統計的な分析だけだからです。テキストマイニングでは、「どんなキーワードが頻繁に話されているか」「不満とされる語句(「まずい」「悪い」といったもの)がどんな語句と一緒に話されることが多いか」といった傾向をみることができます。

当然、こうした分析結果も重要な知見であり、VOCを全体的にみて主要な問い合わせ内容や主な顧客層を知るのには向いています。しかし、一つひとつのVOCがどういったもので、それに対して何をすればいいのかまでは読み解くことができません。

VOC×AI ―大量のVOCを個々に判断して定型的な応対を自動化―

そこで、お客様一人ひとりのVOCに対して“何かをする”ための仕組みを作るには、AIのような技術が必要になります。

AIは人間と同じようにデータをみて推論と判断(実行)を行うことができます。
つまり、人間と同じようにお客様一人ひとりのVOCを読んで、その内容を判断するという処理を、自動的な業務プロセスとして組み込むことができるのです。この自動化によりコンタクトセンターの多くの業務が人に頼らなくてよくなるかもしれません。

また、これまでコンタクトセンターに求められていたのは、「いかにお客様をお待たせすることなく迅速に対応を終わらせられるか」ということでした。そのため、お客様個々の事情のようなものは会話時間を延ばしKPIを悪化させる要因と考えられ、そうした“無駄な”会話を減らすことで生産性を向上させてきたというセンターは少なくありません。

しかし、こうして向上させてきた生産性の高い業務で行われる「定型的で量の多い処理」はまさにAIが得意とするところです。

対応内容の標準化が進んだ業務ほど、AIを裏側に搭載したWebシステムやチャットボットによる自動化が進むでしょう。

大手通信会社のチャットボット活用事例

某大手通信会社では、常時膨大な問い合わせが寄せられています。しかし、その大半はオペレータにとって日に何度も回答するような内容です。そこで、その窓口にAIを搭載したチャットボットを導入することによって、質問の多くが自己解決されるようになり、現場の生産性が大きく改善されました。

さらに、窓口が開いていない時間や電話が混雑しているときも、チャットボットならすぐに問い合わせができるため、お客様にとって利便性が向上し高い満足度が得られています。また、待ち時間が少ないというメリットに加えて、文字が残るため後で内容を見返すことができる点や、緊張せずに質問ができるなどの心理的負担を軽減する面でも満足度に貢献していると考えられています。

AIの支援で、人のオペレーションはこれまでにない価値を創出する

デジタルトランスフォーメーションの推進による一つの効果はこうした生産性の向上ですが、一方で、コンタクトセンターにはカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上という新たなミッションが与えられつつあります。

CXを向上させるためには、お客様一人ひとりに対しての応対能力を高める必要があります。そこでもAIが必要とされていくでしょう。ただし、直接AIがお客様に応対するということではなく、この領域ではAIは人間の支援を行うために使われることが多いのではないでしょうか。
CXには迅速さだけでなく人間らしい細やかで柔軟な対応が求められます。そうした対応は、AIにやらせるよりも人間がそのままやった方が効率がよいでしょう。

そんな中、人間らしい柔軟な対応を可能にするため、お客様一人ひとりの行動をさまざまなデータや会話履歴から把握する作業が必要となります。膨大な顧客接点のデータやVOCを分析して、一人ひとりの状態やニーズを把握することを人がやるのは時間的制約からも現実的ではありません。人間がやるには非効率ですが、AIにとっては得意領域です。
そこで、膨大な音声をテキスト化した上で、それらをAIに読ませてお客様の状態をシステムに登録したり、そこから重要なイベントが発生したときにDMを送るようにアラートを上げたり、といったことができるようになっていくでしょう。

AIの支援を受けながら、人間のオペレーターがこれまでにない価値をお客様に提供できている状態が次世代のコンタクトセンターのあるべき姿のひとつではないでしょうか。

AIをパートナーとして考える

これまで、VOCの活用といえばテキストマイニングから有用な知見をみつける以上のことはできていませんでしたが、AIをはじめとする新技術によりやっとVOCが本当に活用できる可能性がでてきました。
AIはこれまでと同じようなツールだと考えていると、ただ人間の代わりとして効率化を進めるものになります。しかし、上手く使えばこれまでにない仕事ができるように支援してくれる頼もしい仲間となってくれるでしょう。
そのためにも、今からVOCやCRMなどを使った顧客データをAIでどのように活用できるのかを考えておく必要があるのではないでしょうか。


TMJではこれからもAIをはじめとするさまざまな新技術の研究開発とともに、本当にクライアントやその先のお客様の価値につながるコンタクトセンターの姿を思い描きながらさまざまな挑戦を進めていきます。

執筆者紹介

小泉 敬寛

マーケティング推進本部 サービス推進部 Data Science推進室
テーマ:AI、機械学習、統計分析、シミュレーション、テクノロジー
京都大学で人の行動やコミュニケーションに興味を持ち、映像記録を記憶として活用するための検索技術やテレビ電話を用いたコミュニケーション分析などの研究を行ってきた。TMJ入社後はそれまでの知見や技術を活かし社内外のデータ分析プロジェクトへ参画する一方、人工知能をはじめとする最先端技術の研究開発をおこない、それらを活かした仕組みや価値創出のためのソリューション開発などを担当する。

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