BPOの基礎知識
より効率的な手段の検討や、フローの再構築など、業務改善の対象や手法は多岐にわたります。今回は、管理部門業務におけるDX推進・人員体制を最適化する業務改善のポイントを紹介します。改善活動の取り組みや、進め方のヒントとしてご活用いただけます。
管理部門における業務改善
管理部門ならではの業務改善の取り組み方や困りごとがあります。
改善活動のテーマ
業務改善のきっかけは様々です。ここでは、支援をさせていただいている企業の管理部門の担当者様から挙げられることの多い業務改善のテーマをまとめました。
- 電子帳簿保存法(電帳法)への対応
- BCP(事業継続計画/Business Continuity Plan)
- 複数拠点化、リモートワークの推進
- 人員体制の最適化
- デジタル化・DX推進
業務改善の対象に決定したら、テーマに合わせ、ポイントとなる疑問点を洗い出していきます。例えば、電帳法対応であれば「対象となる帳票は何か」「業務プロセスはどうするのか」が挙げられます。
よくある業務改善の壁
日本におけるビジネスパーソンが抱える業務は、欧米に比べ独特なもので、日本人には、ある程度指示をすると自分で工夫して業務をこなしてしまう、という傾向があるといわれています。そのため、業務や作業に独自性が生まれ、周りから見ると何をしているのかが不明確になりがちです。改善に踏み込む前に、「実際は何をやっているのか」ということを明確にしなければ、業務を改善しようにも改善しようがない、といった結果に陥ってしまいます。
管理部門における業務改善の流れ
業務改善は、下記の4つのフローに分けられます。
- 業務調査
- 分析・フロー化・課題抽出
- 効果試算・施策立案
- 実行~改善PDCA
ただし、この流れで業務改善に取り組んだとしても、成果につながらないことがあります。
その際には、「なぜうまくいかないのか?」「どうすればうまくいくのか?」を振り返り、フローの改善を行いましょう。
株式会社TMJ、管理部門における業務改善活動の一連の流れを支援する「コーポレート機能BPOサービス」を提供しております。これまでの経験を活かし、企業の状況や目標に合わせたオーダーメイドの提案が可能です。
業務の改善活動を推進するためのポイント
業務改善に必要なポイントを整理してお伝えします。
業務を構造化する
業務の棚卸しを行う際は、初めに業務の構造化をします。その際にツリー構造にすると、業務構造が考えやすくなります。
次に、構造化されたものを業務調査表に落とし込みます。入力には必ずばらつきが出るため、入力後の精査は必須です。精査が済めば業務の棚卸しが確定し、業務分析にとりかかれる状態になります。
業務を可視化する
業務を可視化するためには、いくつかの要素が必要です。
<定量的な要素>
- 業務の種類
- 業務量(時間×頻度)
- 業務難易度
<定性的な情報>
- 業務フロー
- 業務リソース(インプット/アウトプット・システム等)
これらを調査し可視化するにあたっては、「見えない業務を見える化する」ことが重要になっていきます。日本の場合、業務に独自性があり定義がないといわれているため、業務内容を把握したり、業務一覧を作成したりすることさえ一苦労です。
業務ごとにヒアリングをし、見える化をしていきますが、担当者が自身の業務を説明することは難しいものです。説明者は「どこから説明したらよいかわからない」「説明に時間がとられるのは嫌だ」となりやすく、さらにヒアリングする側も、「聞くテクニック」や「業務知識」が必要になります。
そこで、BPEC(Business Process Engineering Cycle)などのツールを使用し、上記のような可視化における問題を解決するのがおすすめです。知識が乏しくても、負荷をかけずに業務を理解することができます。
BPECとは、業務改善の手法のひとつで、テンプレートに従って手順通りにヒアリングを行うことで、業務の構造化ができます。BPECは業務の棚卸しから始まり、簡易分析、課題抽出、計画、施策構築、実施、検証といったサイクルを回すシステムで、このサイクルを継続的に回すことで、より良い業務に再構築することができます。短時間で改善が必要な部分を抽出することができるため、業務改善における健康診断のような形で使用できます。
業務を網羅的に把握する
ヒアリングを行い、業務の見える化ができたとしても、部分的な可視化のみでは業務改善につながりません。とりあえず業務の種類が整理できている、あるいは担当者の一覧はある、といった何かしら部分的に現状把握できていることは多くあります。
しかし、部分的に把握した情報だけで具体的に改善を行おうとしても、その先の実務運用が検討できていないため、「上手く業務が回らない」「改善効果がわからない」となり、結局改善の取り組みが上手くいかなかった、という結果になってしまいます。業務の可視化は「迅速に」「負荷なく」「網羅的」に行うことがポイントです。
業務量の多いところから改善を実施する
業務分析では、主に業務負荷に関する分析を行います。業務量の多いところから優先的に改善を施すと、非常に高い効果を発揮します。
スキル別で施策を立案する
また、業務スキルを3段階に分け、「高スキル業務は簡素化できないか」などの検討を行います。簡素化できるのであれば、外部に委託するなどの対処も可能です。他にも、属人化した業務では「担当者が休むと業務が滞ることがないか」を確認しましょう。仮にリスクがあるとすれば業務内容を共有するなどして防ぐことができます。
業務量が多い、スキルが高くないとできない業務については、業務フローを書くことによって「どうして時間がかかっているのか」「どうしてスキルが高くないとできないのか」を判断し、業務フローから業務課題を探ることができます。
施策の実施後は必ず効果検証を行い、PDCAサイクルを回すことで改善活動を推進していきます。
事例紹介:情報サービス関連企業「重複する間接部門業務を集約しアウトソーシングを活用」
本事例の企業では、人事や経理などの間接部門が事業本部単位で存在していたため、業務の重複や無駄、処理方法にばらつきが発生していました。そこで、間接部門の業務をできる限り集約し、業務内容によってはアウトソーシングを行うといった施策を行いました。
まず、業務量をBPECで定量化して、そのデータをTMJで分析し、評価しました。その分析データを基に、集約化やアウトソーシングできそうな業務を検討するという流れで進行しました。具体的な改善施策、優先順位付けの検討材料とするべく、定性的な評価(アセスメント)の基準を設定して評価を実施しました。
抜け漏れのなく業務の可視化を行っていたため、業務の種類や時間数、難易度は明確になっている状態。そこからさらに深掘りをしていきました。すべての業務を集約、またアウトソーシングすることはなかなか難しいため、何から着手するのか優先順位を付けて進行しました。
業務の可視化が成功のカギ
業務改善活動を継続するにあたって土台となるのは「業務の可視化」です。業務が可視化されていると、業務改善のプロジェクトを進める際の共通言語となり、スムーズに進行させることができます。現場の負荷やコストを最小化しつつ、網羅的に業務の可視化をしましょう。そのうえで、素早く改善フェーズに移行し、PDCAを回していくことがポイントとなるでしょう。
TMJではBPECを活用して業務の可視化をして業務改善の方向性を提案する「業務量調査・分析パッケージ」を提供しております。精度の高い調査をもとに、分析や提案を実施します。また、改善活動の一連を支援することも可能です。「コーポレート機能BPOサービス」では、管理部門に特化した支援をいたします。サービス詳細やお問い合わせは<こちら>。
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