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BPOの基礎知識


初回投稿日 : 2023/03/31

保険業界におけるボイスボット(AI音声自動応答)の活用法とは

繁閑対策や人的リソースの低減につながるシステムとして「ボイスボット(AI音声自動応答)」が注目を集めています。ただし、期待した成果につなげるためには、活用シーンに合わせた設計が不可欠です。今回は、保険会社におけるボイスボットの活用法を紹介します。

音声自動システム「ボイスボット(AI音声自動応答)」の特徴

ボイスボットの仕組みや、インバウンド・アウトバウンドでの活用方法について解説します。

ボイスボットとは

ボイスボットとは、音声型AI(人工知能)や音声認識、自然言語処理などを組み合わせることで利用者の音声を認識し、IVR(自動音声応答システム)を操作する仕組みです。音声案内に合わせて番号をプッシュして操作を行う電話自動応答システムに対して、ボイスボットは音声による操作が可能です。さらに、トークシナリオの作成が手軽に行えて扱いやすいことから、コンタクトセンターや代表電話で導入されるケースが増えています。

ご相談が多いケースとしては、ボイスボットで初期対応をし、最後は人の手でクロージングするような「人とのハイブリッド型」が挙げられます。ボイスボットで何でもできるようにもすることも可能ですが、そのためには相応の投資が必要です。企業の規模に合わせて最適な運用方法を選ぶのが良いでしょう。

インバウンドでの使い方

一問一答式で「お名前は?」「〇〇です」のように吹き込んで資料請求などができる簡易的なものもあれば、AIエンジンを搭載して質問を分岐させて深掘りする使い方も存在します。

その他には、コストをかけて「発話型」の形式で「OK,Google」といった世界観のボイスボットを作る場合もあります。この発話型は、着手する企業が少ないため、一般企業が使用するものと、エンタープライズで使うもので二極化しています。

つまり、「有人対応と音声認識ボットをどうやって上手く絡ませていき、コストを合わせていくか」が、インバウンドでの使い方にとっては重要な観点となります。

アウトバウンドでの使い方

在宅時間に合わせた体制づくりは、さまざまな企業で難しい課題として挙げられています。一般的に、現役世代のお客様が入電する時間帯は、17時から21時までが最も多いとされています。しかし、この時間はスタッフを配置しづらい時間帯でもあります。近頃では、この時間帯のアウトバウンドにボイスボットを活用するという事例が増えています。

TMJでは、ボイスボットの導入と運用をサポートするAI音声自動応答サービスを提供しております。インバウンド、アウトバウンドの両方に対応が可能で、3ヵ月のみのスポット利用もご案内できます。これまでのコンタクトセンター運営のノウハウを活かし、活用シーンに合わせた最適な提案をいたします。

 

保険業界におけるボイスボットの活用例

保険会社様においては、下記の課題解決のためにボイスボットを導入するケースが増えています。

  • 入電ピークの時間帯にお客様を待たせてしまう
  • 同じような質問や問い合わせに回答している
  •  早朝や夜間等の営業時間外の対応をすることができない
  • 電話対応に追われて業務に集中できない

ここでは、具体的なボイスボットの活用例を紹介します。

保険料控除証明書の再発行対応におけるボイスボット活用例

受付対応時間外や、問い合わせが集中しているときでも、電話受付にボイスボットを導入することで、お客様の待ち時間を削減することができます。お客様の都合の良いタイミングで受付ができることから、CX(顧客体験)の向上につながります。

さらに、後続の業務を自動化することで、人の手を介さずに再発行対応業務を完結させることも可能。企業側にとっては、再発行対応に関連する一連の業務工数が削減できるメリットがあります。

自然災害対応におけるボイスボット活用例

損害保険の場合は、自然災害対応を行うため、短期間での増員が必要になるケースがあります。ボイスボットの導入は、このような繁閑対応にも有効です。一次受付にボイスボットを活用することで、オペレーター工数を削減して繁忙の山を抑えることができます。また、お客様を電話口でお待たせする時間が減るため、CXの向上にもつながります。

本人確認業務でのボイスボット活用例

保険業界を含む金融機関においては、アンチマネーロンダリング対策やテロ資金供与防止対策等、本人確認の作業が多くあります。今まで人が対応していた確認業務にボイスボットを導入することで、人的リソースを補完することができます。

併せて対策が必要なのは、個人情報保護への対応です。ボイスボットを使用する際には、個人特定や本人確認できる機能と併せてセキュリティ面の強化が必須の検討項目となります。

ボイスボットを導入する際の注意点

中には、前触れなく始まる機械音声による電話対応に驚くお客様もいるようです。対策としては、人間の音声に近い、音声認識・音声合成機能を使用したり、最初に音声ガイダンスでの案内をしたうえで有人対応へつなげたりといったことが挙げられます。

また、対応時間についても工夫が必要です。音声ガイドにひたすら吹き込む作業を10分もすることになれば、お客様も疲れてしまいます。ある程度、お客様が我慢できる時間内に集約し、不足部分は人に委ねるように設計することで、満足度が下がらない音声認識の使い方を考えていくことが重要です。

よくある課題とその解決方法

ボイスボットは、コスト削減や人手不足の解消につなげられることに期待して導入される一方で、何かが原因になり、疑問が解決されず有人対応に流れてしまうことがありますその原因はボイスボット対応の前後工程で使われるツール上に存在しているケースが多く、この領域を解決するだけでWeb上での解決させることが可能になります。ここでは、運用上で発生することの多い課題や、その解決方法をご紹介します。

Web導線の複雑化

Webにアクセスし、チャットで質問しても、問い合わせする先と解決する先が複雑怪奇になっていることが原因で、最終的には電話に行きついてしまうケースがあります。

その場合は、導線分岐や導線の見直しが必要です。導線の見直しを実施する際は、Webサイトのページ構成から考えていきましょう。お客様が見つけやすい場所にFAQやチャットツールを設置したり、個別のページに関連のFAQを設置したりすることで改善が見込まれます。

チャットの設計不備

チャットボットが思ったように利用されていないというご相談をいただくことも多々あります。チャットボットは何でもできるシステムではなく、しっかり設計をしないことには機能しません

お客様の期待を裏切ってしまうようなチャットにならないよう、最初から導線等の設計をする必要があります。そのためには、コールフローを把握し、コンタクトリーズン(お問い合わせの理由)がどのような過程で大きくなっているのかを理解しておく必要があります。

コールフローとは、お客様の入電をオペレーターにつなげるまでの一連の流れのこと。入電内容によって「適切な窓口」や、「対応可能なオペレーター」に振り分けます。

ボイスボットの導入事例

保険会社様をはじめとする金融業界におけるボイスボット活用の事例を紹介します。

短期保険会社様:営業時間外の機会損失を削減

この企業様では、数年前にボイスボット(AI音声自動応答)を導入し、営業時間外の対応に活用しています。

営業時間外の問い合わせに対しては、コンタクトセンターからボイスボットへ電話を転送し、ヒアリングして内容をテキスト化するところまでを自動で行います。そのヒアリング内容を踏まえ、担当者が折り返しの連絡をするなどして、二段階の対応を行っています。

ボイスボットで対応が完結する案件は3か月で2倍に増加し、新規申し込みや資料請求の取り逃しを防ぐことに成功。契約内容変更等のお問い合わせには、応答コストの削減や利便性向上といった効果がありました。

生命保険会社様:再発行受付を自動化

この企業では、生命保険料控除証明書の再発行の手続きにボイスボットを活用しています。

自動受付番号へ入電があったお客様に対して、ボイスボットが「証券番号」「契約者氏名」「電話番号」をヒアリングして、自動でテキスト化。必要に応じてデータを修正するなどして、発送手続きにつなげるという仕組みです。

生命保険料控除証明書の再発行の手続きは同時期に集中するため、その他の問い合わせや新規申し込みに関する入電に対応できず、機会損失につながっていました。ボイスボットの導入により、再発行受付の25%を自動受付で完結させられるようになり、繁忙の波をならすことに成功しました。

クレジットカード会社様:チャネルの組み合わせでオペレーター工数を削減

ボイスボットの導入により、月間406時間のオペレーター工数を削減した事例です。

この企業では、繁忙日に対応しきれなかった問い合わせについて、ボイスボットで折り返し連絡の希望を確認して架電リストを作成。閑散日に架電リストに発信をして、課題を解決するということを実施しました。さらに、問い合わせに対してボイスボットとSMSを使って関連FAQへ誘導する施策を並行して実施。これら2つの施策により、月間406時間のオペレーター工数の削減を実現しました。

ボイスボット導入で実現するエフォートレスなお客様対応

以前は、繫閑対策のために導入されることの多かったボイスボットですが、最近では入電の繁忙に関係なく活用されるシーンが増えてきています。また、ボイスボットでの受付を経験して、その利便性に気づいたお客様も増えており、導入のハードルはさらに下がりました。ボイスボットは、企業側の都合で導入するものではなく、お客様満足度の向上にもつながるチャネルであるという認識が浸透してきています。

TMJが提供するAI音声自動応答サービスでは、企業に合わせた活用の提案から運用・改善にいたるまでの一連の流れをサポートいたします。運用実績が豊富なため、導入直後から改善につなげることができます。サービス詳細やお問い合わせはこちら

執筆者紹介

ビジネスのデザイン力で、事業の一翼を担うBPOパートナーのTMJ。将来にわたる経営環境に最適なビジネスプロセスを設計し、事業を代替することで、クライアント企業の継続的な事業成長を総合的にサポートしています。

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