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専門家コラム


初回投稿日 : 2023/10/31

法人向けChatGPT Enterpriseとは?高セキュリティにChatGPTを使う方法

法人向けChatGPT Enterpriseとは?

ChatGPTの登場により、さまざまな業務での利用が進んでいます。しかしコンタクトセンター領域では個人情報を含むデータが多いため、セキュリティ面からなかなか業務での利用は進んでいません。今回はそんなChatGPTのセキュリティ面を強化した法人向けサービス「ChatGPT Enterprise」を紹介します(本内容は2023/9/28時点の情報です)。

ChatGPT Enterpriseとは

ChatGPT Enterprise登場の背景

ChatGPTの公開以降、約9か月でアメリカの売上上位500社であるフォーチュン500の企業において、80%以上でChatGPTが採用されています。しかし機微情報を含むデータを取り扱うことは多く、セキュリティの高い法人向けサービスのニーズは高まっていました。
そのため、OpenAI社は8月に法人向けChatGPT Enterpriseを発表しました。
発表以前からコンサル企業のPwCや決済サービス企業のKlarnaなどの一部企業への先行提供が行われており、高い評価を受けていることがOpenAIのサイトで公開されています。

ChatGPT Enterpriseの特徴:機能とセキュリティが法人向けにアップデート

ChatGPT Enterpriseはこれまで提供されてきたChatGPTのすべての機能を利用でき、機能・セキュリティが法人向けにアップデートされたサービスです。

  • 基本機能
    有償版ChatGPTのChatGPT Plusでも利用回数制限のかかっていたGPT-4を無制限に利用することができます。さらに入力できるトークン数も最大32,000トークン(日本語だと約15,000文字)となるため、従来のChatGPTの4倍の長さのプロンプトを入力することができます。
    また「Advanced Data Analysis」と名前を変えていますが、ChatGPT Plusでβ提供されていた、ChatGPT 内でPythonコードを生成・実行・評価する機能「Code Interpreter」も無制限に利用できるため、特にデータ分析を行う際には大きな効果を発揮します。

ChatGPT Enterpriseのイメージ

(エーアイスクエア作成)

  • セキュリティ面
    これまでもAPIでの利用はモデル学習に使用されませんでしたが、ChatGPT Enterpriseではチャット画面からでもユーザーの入力したプロンプトやデータがモデルの学習に使用されません。
    またセキュリティレベルは米国公認会計士協会の設定するセキュリティ基準(SOC2)に準拠しており、すべてのデータ送信は暗号化されるため、データ機密性とプライバシーの保護レベルが向上しています。
  • 管理機能
    ChatGPT Enterpriseでは新たな管理コンソールが提供され、ユーザーの追加・削除、利用状況の確認、分析ダッシュボードなどが簡単に利用できるようになりました。加えて社員向けの共通ワークフローを構築・共有する機能も提供されます。

これらを踏まえたChatGPTの3サービスの比較表が以下となります。

ChatGPTサービス比較表(エーアイスクエア作成)

ChatGPT Enterpriseの利用方法

ChatGPT Enterpriseの始め方

現在、ChatGPT Enterpriseの利用を開始するにはOpenAIのサイトから問い合わせをする必要があります。

OpenAIの問い合わせフォーム

(OpenAIより引用)

入力項目

  • 氏名
  • メールアドレス
  • 会社名
  • 役職
  • 会社ウェブサイト
  • 会社規模
  • 業界
  • 本社所在地 (国)
  • 「当社のどの製品またはサービスに興味がありますか? 」

問い合わせの後、OpenAIからのコンタクトを待つこととなりますが、現在大量の問い合わせの処理中と思われるため、すぐに利用開始することは難しいと思われます。

利用料金について

利用料金は公開されていませんが、企業の利用者数と利用用途によって個別に設定されるようです。真偽は定かではありませんが、X(旧Twitter)などの情報によると10万ドル/年+利用者数に応じた従量費用となるようです。

コンタクトセンター領域における活用の可能性

ChatGPT EnterpriseではChatGPTのビジネスでの利用において最大の課題だったセキュリティ面の改善がなされました。特にコンタクトセンター領域では、個人情報を含んだ通話データを大量に要約したり、VoCを分析する業務があるため、ChatGPTの効果は高いと注目されています。

一方で、ChatGPT Enterpriseの利用料金は非公開ですが、かなり高額となるため一部の大企業でしかまだ利用することができないかもしれません。しかしChatGPT公開からまだ1年弱でさまざまなプランが出てきているため、今後ライトプランが発表される可能性もあります。またAPIを利用した利用の場合、学習には使用されないため、ChatGPTとAPI連携したサービスを利用することで同等のセキュリティを確保して利用することも可能です。

ChatGPT公開から始まった自然言語処理AIの進歩はめまぐるしい速度で進んでいます。弊社も引き続き情報収集を行い、サービスへの活用を進めていく予定です。

執筆者紹介

稲月 綜 氏
株式会社エーアイスクエア 営業部 マネージャー
テーマ:AI、機械学習、ディープラーニング
2016年富士通株式会社入社。自治体、メディアなどを担当し、ITサービスの企画営業に従事。2019年にエーアイスクエアに参画。現在は各種AIシステムの企画・提案やAI導入に向けた業務コンサルティングなどに従事。コンタクトセンターにおけるサービス・ソリューションの研究・検討において株式会社TMJと協働している。

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