業務効率化
広告・宣伝・広報、マーケティングや採用部門では、サイト運営や広告出稿などにおいて原稿制作業務が発生するケースは多くあります。ただ、リサーチから情報整理、そして執筆と工数的にも負担になりがちでお悩みの方も多いのではないでしょうか?そんな原稿制作の負荷を軽減できれば、生産性向上に大きなインパクトがあります。
今回は、生成AIを活用した原稿制作の事例をはじめ、実際にAIで原稿を生成する際のポイントについて紹介いたします。ぜひご参考にしていただければ幸いです。
原稿制作におけるAI活用の事例
原稿制作業務が必要なメディアなどの企業では、生成AIがリリースされて間もないうちから業務効率化に効果的な活用法を模索してきています。海外を中心にAIの活用事例も多く、下記に紹介しているように、実際に原稿制作にAIを導入している例が報告されていますので、いくつかご紹介します。
原稿素案の作成
多くの初期のAI研究や技術開発が英語圏の研究機関や企業によって行われたため、日本より取り組みが進む海外では、生成AIの導入実験を行っているメディア企業が少なくありません。例えば、アメリカのオンラインメディア企業は、コンテンツ管理システム(CMS)をAIツールと統合し、原稿の素案をAIで作成する試みを行っています。この取り組みにより、記事の初稿作成時間が大幅に短縮され、編集者の負担が軽減されるという成果が報告されています。
一方、国内でも生成AIの活用が進んでいます。求人広告の原稿制作に生成AIを導入するプロジェクトを開始した企業では、職種や給与などの基本情報を入力し、強調したいポイントをキーワードとして設定すると、AIが自動で求人広告の素案を生成するシステムを稼働させました。この取り組みにより、制作時間が従来の3割削減されるなど、大幅な業務効率化が実現されています。
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海外のスポーツメディア企業は、原稿作成プロセスを効率化するためにAIをワークフローに組み込み、作業効率を10倍以上高めることに成功しました。この企業では、トレンドのトピックに関するアーカイブ記事を素早く提示する仕組みを構築し、従来の原稿作成の負荷を大幅に軽減しました。これにより、編集者はより多くの時間をクリエイティブな作業に割くことができ、全体的な生産性が向上しています。
ニュースレター配信
海外メディアでは、GPT-4を使用して要約を生成するだけでなく、複数のウェブサービスやアプリケーションを連携・自動化するZapierなどのサービスを組み合わせることで、要約作成だけでなく配信までを人間の手を介さず自動化しているとの報告があります。この取り組みにより、ニュースレターの作成と配信プロセスが効率化され、編集者の負担が軽減されるとともに、読者にとってもより迅速かつ的確な情報提供が実現されています。
AIを活用して原稿を制作するには
AIを活用することで複雑な原稿制作も一定の自動化が可能になり、大幅な作業負荷の軽減が期待できます。
ただ、AIを使って原稿を適切な内容に仕立てるためには、こちらが望む要素や条件を明確に指定する必要があります。つまり、こちらの意図をうまく汲み取った原稿をアウトプットさせるためのプロンプト(入力文)の作成が重要になります。
原稿制作に有効なプロンプトの条件
的確なアウトプットを得るためのコツとして代表的な手法が「VAWCIF」です。プロンプト作成時に以下の要素から構成する手法です。
Voice | : 誰としての発言か |
Audience | : 誰向けの内容か |
Writing Style | : 口調 |
Context | : 文脈や前提条件 |
Instructions | : 明確な指示 |
Format | : 出力形式 |
また、このVAWCIFを応用したプロンプト作成のフレームワークとして「深津式プロンプト」も知られています。
プロンプト例
物件情報サイトに掲載する文章をテーマに、生成AIに指示するプロンプト例を紹介します。
物件の魅力をまとめた200字程度のPR文の作成を想定した場合、プロンプトは下記のようなイメージです。
<プロンプト例>
あなたは物件情報サイトの原稿制作者です。以下の条件をもとに物件の魅力をまとめたPR文を作成してください。 #記事の目的: #対象読者: #打ち出したいポイント: #物件の基本情報: #記事のトーン: #制約事項: |
実際に生成AIで試してみると下記のようなアウトプットが確認できました。
<生成AIが作成した原稿>
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原稿の素案としては十分なアウトプットが確認できています。
一方で、生成AIに指示するプロンプトの作成が手間に感じるかもしれません。 こちらが意図する正確なアウトプットを得るためには、プロンプトで細かく指示する必要があるからです。
しかし、システムに生成AIの機能を実装することでより手軽に、意図した通りの原稿を生成することができるようになります。例えば下記イメージのように、物件の基本情報を入力するだけで、タイトルやコピーを含めたPR原稿を生成するシステムなどです。
生成AIを活用して原稿制作の効率化を
生成AIを活用することで、原稿制作にかかわる業務の省力化がより一層進むと考えられています。とはいえ、意図したコンテンツに仕上げるには適切な指示(プロンプト作成)が必須で、属人的な要素もハードルになるかもしれません。生成AIをうまく扱うスキルを身につけながら、負荷の高い原稿制作業務の自動化を進め、業務効率化を実現したいところです。
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