専門家コラム
BSCのフレームをベースに考えるコンタクトセンターのあり方
毎年、クライアントさまを対象に実施している「TMJビジネス交流会※1」、2016年度は「経営貢献できるコンタクトセンターのあり方」と題し、バランス・スコアカード(BSC)※2 のフレームをベースに、第1回「顧客の視点」、第2回「プロセスの視点」、第3回「学習と成長の視点」というテーマを設定し開催しました。
この交流会シリーズにモデレータとして深く関わっていく中で、各回とも「経営貢献へのあり方」について参加者のみなさまと議論しました。
今回はそのBSCを用いたフレームワークと課題整理の考え方についてお話しいたします。
※1 TMJでは2009年から継続して、年3回、東京・名古屋・大阪の3拠点で年間のべ9回交流会を開催しています。各回とも2部構成になっており、第1部では問題提起の位置づけで事例を紹介、第2部では提起された問題に対する課題認識やそれに対する取り組み内容を参加者同士で共有することで解決のヒントを探るワークショップ形式になっています。
日々のオペレーションに追われることで視野が狭くなりがちな中、同業他社あるいは異業種の方が同じ課題を持っていることや、さまざまな取り組みをしていることが分かることで毎回高い評価をいただいています。
※2 ロバート・S・キャプランとデビッド・ノートンが1992年に「Harvard Business Review」誌上に発表した業績評価システム
コンタクトセンターのプレゼンスを向上させる視点
このような仕立てで交流の場を設けさせていただいたのは、コンタクトセンターの企業内におけるプレゼンスを向上したいとの思いがあったからです。「○○キャンペーンを実施するので、それに関する入電があるかもしれません。Q&Aはこれです」と社内の他部門から周知があり、跳ね上がるかもしれない入電に備えるということは、コンタクトセンターで日常よく見る光景だと思います。
しかし、コンタクトセンター運営はこのような「マス・コミュニケーションの受け皿」から脱却し、既存を中心とする顧客の維持・活性を実践する戦略的なチャネルであるべきだと私達は常々考えています。
これまで私達は切り出されたプロセスを、如何に高い品質で、効率的に対応するか、という課題に向き合ってきました。そのこと自体はとても重要なのですが、顧客視点に立てば、購買や利用に関わる一連の行動の一部分でしかなく、コンタクトセンターで担当するプロセスの前後工程との関連性をより意識すべきだと考えています。
このような背景のもと、TMJビジネス交流会第1回目では「顧客の視点」に立ち戻ってみることの重要性を問題提起いたしました。
第2回目の「プロセスの視点」、この観点での改善活動は、それぞれの企業においてもさまざまな取り組みがされていると思います。それらの活動を支える重要な観点としてこの回では「ナレッジマネジメント」を取り上げてみました。
この観点はFAQの整備など足元にある課題であると同時に、今後避けて通ることができない「人工知能の活用」の重要な足掛かりになるとの意味合いも含んでいます。
そして、多様な技術に支えられて顧客や消費者にとっての利便性が向上する一方で、そのサポートは複雑さを増している。そのような状況を鑑みつつ、第3回目で人の教育について「学習と成長の視点」というテーマで議論しました。
「中長期計画の骨子」策定にバランス・スコアカード4つの視点を活用する
このようにBSC4つの視点のうちの3点、「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「学習と成長の視点」それぞれの観点で課題を整理し、経営にどう貢献できるのかを考えていくとどうでしょうか。
年次や中長期計画の骨子が見えてくるのではないでしょうか。
これからの事業活動において顧客接点、特にコンタクトセンターが持つ役割はますます大きくなっていくと感じています。
今回ご紹介したような考え方が、今後の課題整理と計画立案に少しでもお役に立てれば幸いです。
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