このケースで改善活動に結びつけられていないのは、“改善すべき課題の優先順位づけ”と“その改善活動が収益の向上にどのように貢献できるか”を経営や他部門に対して説明できていないことが要因として挙げられます。
i)優先順位づけの方法
顧客満足度調査にしても、NPSにしても、調査自体は、一番聞きたい項目(総合満足度、継続利用/購入意向、他者推奨意向等)とそれに影響を与えると思われるサブ項目という構成になっていると思います。サブ項目が一番聞きたい項目にどの程度影響を与えているか?は統計的に測定することが可能ですので、それを実施することで改善すべき項目の優先順位づけができます。
ii)改善活動の収益への貢献
まず、顧客満足やNPSの向上が実際の収益にインパクトするまでには時間差があるということを認識する必要があると思います。お客さまとの接点や接触頻度を考えると活動に対する効果が出るまでに数か月~数年要するケースもあるからです。日本国内で最大級と言われている「日本版顧客満足度指数(JCSI)」も顧客満足度指数の経年傾向と収益の関係が、調査結果が発表されてから5、6年経過した近年になってようやく検証できてきています。
この認識をした上で、改めて収益への貢献をどのように検証していくのか?の方法を説明したいと思います。これはとてもシンプルで、満足度やNPSが高かった人/低かった人の行動(利用や購入)を個人レベルで確認することです。顧客データを検証するためには他部門に協力を要請しなければならない場合もあり面倒かもしれませんが、先に説明した“優先順位づけ”のロジックをベースに社内コンセンサスを徐々に形成していくことができると思います。
さて、大きくは2つのケースに分けて、目的化してしまった「顧客満足度/NPS」調査を活かすアプローチを解説してきました。コンタクトセンターには、具体的な改善活動の“ネタ”が豊富にあることは間違いないはずです。全社的な改善PDCAをコンタクトセンター主導で進めていければと強く思います。