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専門家コラム


初回投稿日 : 2015/12/18
最終更新日 : 2019/04/01

顧客満足を測定する指標を考える

顧客満足を測る指標を活用するには

HDI社の問合せ窓口格付け、日経ビジネスのアフターサービスランキング、オリコン日本顧客満足度ランキング、J.D.Power社の業界ベンチマーク調査、JCSI(日本版顧客満足度指数)など、さまざまな顧客満足を測定する指標があり、経営指標やコンタクトセンターのパフォーマンス指標として参考にしているケースも少なくないと思います。
しかし、指標だけが“独り歩き”してしまい、そもそも何のためにこの指標を参考にしているのか不明確な場合があります。

今回はこれらの指標を活用する上で留意しておきたいポイントを、①評価範囲 ②評価者 ③サンプルの妥当性 ④要因分析・構造化 ⑤パブリシティ(影響力)の5つの観点で整理し、指標を活用する本来の目的に合っているのか参考にしてもらいたいと思います。

①評価範囲(何を評価しているのか?)

まず留意したいのは、その指標が何を評価しているのかということです。
電話チャネルのみなのか?ウェブチャネルも含まれるのか?あるいは、商品やサービス自体の評価、さらにはそういった商品やサービスのマーケティング活動全般のプロセスを評価しているのか?といった観点です。この指標を活用して改善サイクルをまわしていくためには、とても重要な観点になります。

②評価者(誰が評価しているのか?)

次に留意したいのは、“顧客/ユーザー”による評価かどうか?という観点です。
コンサルタントなど特定の識者による評価ではなく、顧客/ユーザー自身の評価であることが重要だと思います。改善活動が進んでいった時にふと立ち止まって「何でこの活動をしているのか?」と振り返ることがあると思います。その時に顧客/ユーザーの評価に基づいていれば、活動の根拠を問われるような“そもそも”論にならずに済むはずです。なぜなら、活動の根拠はお客様の期待・要望だからです。

③サンプルの妥当性(実態を反映できているか?)

次に留意しなければならないのは、サンプルの妥当性です。
具体的には、「母集団を反映するのに十分なサンプルが確保されているか?」「いつ時点の行動(購買や利用)に基づいた評価なのか?」などです。気づいた時には評価結果だけが独り歩きしていることが少なくないので、活用する前に十分確認しておく必要があると思います。

④要因分析・構造化(顧客満足の要因分析あるいは構造化がされているか?)

本当に良くあることなのですが、避けなければならないのは “調査の目的化”です。調査だけが定期的に実施され、その間の改善活動が伴わないケースです。調査結果やランキングに一時的に一喜一憂するものの改善活動につなげられないケースは少なくありません。
なぜそのようなことが起きるのでしょうか。恐らく顧客満足の要因分析や構造化ができていないからだと思います。顧客満足度指標の中には、要因分析や構造化までしっかり提示しているものもありますので、それらをベースに改善活動を組み立てると、“ブレる”ことなく改善活動を始めることも、継続することもできると思います。

⑤パブリシティ(影響力)(どのような媒体で公表しているか?)

最後に、留意すべき点は、「その指標が何の媒体で公表されているか?」です。
評価結果が誰に、どの程度の影響を及ぼすのかを把握するために、その媒体の対象者やどのくらいの人数にリーチする可能性があるのかを確認しておくべきです。評価結果やランキングを顧客コミュニケーションに活用することについては賛否あると思いますが、どのような内容を改善しているのか?という具体的な改善内容を顧客/ユーザーに伝えていくことは大切なことだと思います。

さて、今回は顧客満足を測定する指標を活用する際の留意点を説明してきましたが、最も重要なのは、どの指標でランキング上位を取るかではなく、本当にお客様に満足していただくために評価結果をどう活用すべきか、という観点です。その指標から抽出される課題を継続的な改善活動につなげることが、貴社にとってもお客様にとっても幸せなことではないでしょうか。

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