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専門家コラム


初回投稿日 : 2019/07/31

即戦力のRPA人材を2か月で輩出した育成方法とは

RPAという言葉が一般的になってから数年が経過しています。
一時期は過剰なまでに期待だけが先行し、ブームで終わるのではないかという気配がありましたが、時間の経過とともに徐々にRPAに対する正しい理解が浸透しつつあるとみています。さらに、働き方改革を推進する情勢も影響し、RPAの需要は高まっています。そうなると必然的にRPAに関する正しい知識を持ち運用できる人材が社内に必要になります。

そこで今回は、TMJで取り組んでいる「RPA人材の育成」についてお話しします。

RPA導入の課題を解決するために

新しい革新的なテクノロジーが登場すると、瞬間的な流行で終わってしまうことがありますが、RPAはその山を越えているように思います。

そのような中、各種メディアや社外の方とお話ししていると以下のようなお悩みが目立つようになりました。

・RPAを導入しようと試みているがなかなか上手くいかない
・RPA開発ソフトを使える人はいるのに自動化できない
・導入してもすぐに止まってしまう、継続的な活用ができていない

いずれも失敗談をテーマにした内容です。
これは私たちも例外ではなく、RPAに取り組み始めた当初に起きていました。

今回お伝えするTMJの人材育成の取り組みは、こういった失敗を経験した上で企画しているものです。
部分的なご紹介にはなりますが、何かの参考になれば幸いです。

「誰」を育成するのか

前述の失敗談を踏まえた私たちの育成テーマは、「RPA導入後もしっかり動かし続けられる人材を育てる」であり、別の言い方をすると「ロボットのメンテナンスができる技術がある」という意味でもあります。

まずは「誰」に対して人材育成を行うかを考えるにあたって、社内においてRPAが活用されている最も多い利用シーンを定めました。
私たちの業務の性質上、RPA利用ロケーションは全国に点在します。そして、対象者や対象業務と一言でいっても数百にも上る多くの業務をお預かりしています。そこで、限られた期間の中で研修の成果を出すためにさらにもう一絞りする必要がありました。

各拠点でRPAのスキルを持つ人がそれぞれ導入を進行するなど、今までの社内での実績からRPA導入の流れはおおよそ標準化できていました。そこで、これらの動きが現場環境的にできそうなスーパーバイザー層や、日頃からExcel VBAツール類を活用した改善活動を得意としている方を主な対象者として絞っていき、自薦/他薦を経て、最終的に約60名を育成対象者に選定しました。

教育プログラムの設計

本題となる、どういった教育プログラムにしたのかをご紹介します。
教育プログラムは、私たちの経験に基づいて構成していきました。

社内でよく挙がる「課題」が3つあり、それらに対してそれぞれ打ち手を考えました。

それでは、それぞれの打ち手について詳しく説明していきます。

打ち手①:経験学習に基づく実践型教育プログラム

RPAを実務で稼動させるには、「座学」だけでは足りないことがわかっています。
また、開発ソフトウェアの操作技術があるだけでは、使えるRPAの開発はできません。

ポイントは業務を可視化した上での要件定義です。
現状、「人」ではどういう作業手順を行っていて、どの工程をRPA化させるか見極める、というBPR(Business Process Re-engineering)の視点を持つ訓練が重要な要素となってきます。教育プログラムは、実際に経験したことから学びを得る、経験学習理論に基づき作成しています。具体的には、「要件定義」「開発ソフトウェア」の習熟を目的にして、全体の9割を演習時間に充てるという構成になっています。実際に自分が作ったRPAに作業をさせながら、効率的に動かす最適な方法を考え、ブラッシュアップしていくプロセスを大事にしています。

教育カリキュラム設計

打ち手②:開発者同士が交流できる社内ナレッジ基盤を用意

「RPA」の業務をどこに適用させるかについては、正解というものがないので、開発者は非常に迷いやすい状況に置かれます。
そこで、事例動画、tips、フォーラム等々、開発者支援に必要なものを集め、全国に散らばるRPA開発者をサポートする目的で社内ナレッジを構築しました。
教育カリキュラムを修了した社員が実際に開発した動画を共有したり、フォーラムを立てて質問し合ったり全国で活躍する技術者同士をつなげるコミュニケーション環境を構築しています。

コミュニケーション環境整備

打ち手③:全社横断的な推進チームを発足

すでに経験を積んでいるメンバーを中心にした推進チームを本社側に設置し、体系的に教育プログラムを進めていきました。推進チームが出張して研修も行いますが、何よりも重視したのは「現場」にいき、直接サポートすることです。

RPAは開発したことがない人間には言葉によるコミュニケーションだけでは非常にイメージしづらく、私たちも当初は業務担当者との意思疎通にかなり苦労をしていました。その障害を乗り越えるために、とにかく現場にいき、現物を見せるというコミュニケーションを重視しました。

現在、新たなRPA開発数は数十体/年、「RPA認定技術者(WinActor)」エキスパート(RPA技術者検定で最上位レベル)も複数輩出しています。RPA人材を中心に理解者が増えたことでRPAプラスαの創造が進み、新たなオペレーションに日々挑戦をしています。

2019年はこれまでに蓄積されたノウハウからさらに教育カリキュラムをブラッシュアップし、より一層の拡大を図っています。

今後の取り組み

RPA導入の間接効果とは

参考までに、弊社で起きたRPA導入による間接効果を3点ご紹介します。

しっかり手間暇をかけるとそれだけ効果の連鎖が起こります。
削減工数は重要な数字ではありますが、それだけを目的にしないように柔軟な視点を心がけています。

人を育てることで技術が最大限に活きる

「RPA」には社会からも多くの期待が寄せられており、各種メディアでもメリット・デメリットがさまざま紹介されています。

私が思うのは、RPAは良くも悪くも「道具」であるということです。「道具」を最大限活かすためには、日々変化していくオペレーションに対してどこに使うかという「用途」を定め、長期的に活用するための「メンテナンス」を行うことが必要になります。

このような要件定義と開発を行い、運用を通して継続的にメンテナンスを実行するのは「人」です。
「RPA」だけで解決しようとするのではなく、「人」+「RPA」のオペレーションをすることが、RPAという道具を上手に使いこなしていくポイントだと思います。

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執筆者紹介

石井 巧磨
株式会社TMJ 事業変革部 サービスデザイン室
テーマ:業務効率化、RPA、人材育成
BPO事業会社、通信事業会社にてオペレータ、センター管理者、マネジャーを経験しながら、 オペレーションの視点から顧客満足度重視の様々な改革を実践。 現在はTMJにて、コンタクトセンタやバックオフィスの立上・改善支援に従事。クライアントの依頼を受けてから立ち上げ前までの運用設計やスケジュール管理、立ち上げ後の運用支援・改善提案を行っている。

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