BPOの基礎知識
ルーティンワークの業務効率化に向けて、RPAを導入する企業が増えています。
今回は「RPA」に着目し、注目される背景、導入のメリット、導入に最適な作業を事例も交えながら解説します。
RPAとは
RPAとは、「Robotic Process Automation」の略称で、「ロボットによる処理の自動化」を意味します。ロボットといっても、アームで組立作業を行う産業ロボットや人型のロボットのようなものではありません。
RPAにおけるロボットとは、ソフトウェアを指し、パソコンを使った定型化されたルーティンワークを自動化します。データ集計や転記作業など定型化された作業を繰り返すルーティンワークを得意とします。
RPAとAIとの違い
RPAと混同されることが多いAIですが、明確な違いがあります。
AIは、「Artificial Intelligence」の略称で、「人工知能」を意味します。AIは「頭脳」をもち、与えられた処理に対して問題が発生すれば、過去のデータを分析して学習することで、最適な処理を行うことができます。
一方のRPAは、与えられたルールに沿った忠実な処理ができますが、AIのように自身で学習してイレギュラーな処理をすることが難しいという違いがあります。
違う特色を持ったRPAとAIですが、組み合わせて活用することで業務をより効率化できる可能性があります。
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たとえば、AI-OCRと呼ばれる技術とRPAを組み合わせることで、文字や画像の読み取りをロボットが行い、業務負荷を大幅に削減できる可能性があります。
RPAが注目される背景
RPAが注目される背景について3つの視点から解説します。社会的状況が大きく影響を与えている現状があります。
人手不足の深刻化
日本は超高齢社会に移行しており、人手不足の深刻化がRPAへの注目が集まっている背景のひとつとして挙げられます。
内閣府の発表した「令和2年版高齢社会白書」では、65歳以上の人口が全体の28.4%を占めている状況であり、65歳以上の人口が全体の21%を超える超高齢社会に突入していることがわかりました。
今後、さらに超高齢社会が深刻化することが予想され、労働力不足が懸念されています。労働力不足の中で限られた人的リソースを活用し生産性を高めるためには、業務効率化が不可欠となり、RPAの導入もひとつの解決策といえるでしょう。自動化できる業務にはRPAを活用することで、従業員は人でなければ行えないコア業務により多くの時間を割くことができます。人手不足をRPAで一部カバーすることで、生産性の向上につなげられる可能性があるのです。
働き方改革の推進
政府が掲げる働き方改革の目的の一つに、「長時間労働の是正」があります。
定型化されたルーティンワークにRPAを導入し、業務を効率化することで従業員の残業時間を削減できる可能性があります。そして、業務負担を軽減することで企業の利益に直結するコア業務に集中できる環境を作り、従業員の満足度も向上することが期待できます。
RPAで人手不足の一部を解消することで、従業員の労働時間が見直され、働き方改革の推進に寄与する可能性があるのです。
DXの推進
RPAの導入は、DXの推進にも貢献します。
DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略称で、IT技術を活用し、自社に変革をもたらすことで事業拡大や利益追求につなげる取り組みを指しています。企業の生産性につながる施策として、経済産業省でも取り組みを推進しています。
そして、RPAの導入もDXのひとつとして取り組みやすい施策として注目されているのです。
RPA導入のメリット
RPAを導入することでどんな効果が期待できるのか、3つのメリットをご紹介します。
ルーティンワークに割いていた工数の削減
RPAは一定のルールに沿った反復作業を得意とし、ルーティンワークに充てていた工数を削減できるメリットがあります。
パソコン業務の中で発生する「単純作業の繰り返し」というルーティンワークをRPAで自動化することで、従業員の業務負担を軽減することができます。
コア業務に集中できる環境作り
RPAを導入することで、ルーティンワークに割いていた時間を優先度の高いコア業務に充てることができるため、従業員の労働生産性を高めることができます。本来のコア業務に専念できる環境が整うことで、従業員満足度の向上とモチベーションアップも期待できます。
また、残業時間の削減につながれば、従業員のワークライフバランスにも貢献するメリットがあるのです。
人為的な作業ミスの削減による業務効率化
ルーティンワークでは、人が作業する以上、人為的な作業ミスをゼロに抑えることは難しいものです。
細心の注意と集中力を必要とするため、作業時間が長時間におよぶとミスが増え、業務の品質低下につながる可能性もあります。
RPAを導入することで、一定のルールに沿った正確な対応が可能となるため、人為的なミスをなくし、業務品質を落とすことなく業務効率化に貢献してくれるメリットがあります。
また、ロボットが対応するため休憩をはさむ必要がなく、大量の業務をスピーディーに時間の制約なく継続して行うことが期待できます。
RPA導入時の注意点
ルーティンワークの業務効率化に大きく貢献が期待されるRPAですが、完全に人の手から離れるわけではありません。継続的に人間がメンテナンスする必要があるのです。
たとえば、業務手順が変われば新ルールに合わせてRPAを再設定する必要があります。WEBサイトの巡回で、サイトのUI(画面デザイン)を変更したことで処理が止まってしまうケースがあります。
また、メンテナンスには専門知識をもった担当者が必要となるため、自社内で担当者を設けたり、最新のルールを反映したマニュアルを準備したり、専門性をもつ企業にアウトソーシングをしたりと運用体制を整える必要があるのです。
RPAは育てていくことで、業務効率化に大きく寄与することが期待できます。
RPA導入に最適な作業
RPAを導入する場合、具体的にどんな作業を任せることができるのかご紹介します。
テキストの選択・貼り付け・登録などの操作
必要な項目に応じて、テキストの選択・貼り付け・登録の一連の作業をRPAで自動化することが可能です。
人の目視によるコピー&ペースト作業がベースとなっており、参照する箇所が決まっていて、定型化されていることで、RPAを取り入れることが可能となります。
システムへの入力作業など正確性が重要な業務に役立てることができます。
集計レポートの作成・データダウンロード
RPAであれば、定期的に発生する日報や月報などから必要データを抽出し、担当者別、部門別、支店別などの項目に合わせた集計レポートの作成も可能です。
また、関係各所からアップロードされたファイルをダウンロードして所定のフォルダに振り分けるなどの作業をこなすこともできます。
報告書の作成や進捗管理に役立てることができます。
WEBサイトの巡回
WEBサイトを巡回し、必要な情報を取得するスクレイピング業務もRPAで自動化することができます。
RPAを活用することで、指定した取得条件に沿って自動的に情報を集約することができます。自動で行うことで、人手で収集するよりも多くの情報量を獲得することができます。
マーケティング調査や競合分析などに役立てることができます。
RPA導入の事例
ここでは、実際にRPAを導入した株式会社TMJのお客様事例の一部をご紹介します。
転職エージェントサービス×面談設定率の改善
転職エージェントサービスを提供する人材サービス会社の転職者希望者との面接設定率の改善に向けて、RPAを活用したサポートを実施しました。
転職希望者の多くが複数の転職エージェントサービスに登録することから、登録からいかにスピーディーにアプローチをして、面接設定率をアップできるかに着目した取り組みを行いました。
大手電力事業者×コールセンターの新人独り立ち
引っ越しシーズンの繁忙期の大手電力事業者の新規コールセンタースタッフの早期の独り立ちをRPAの活用を通して支援しました。
繁忙期には多くの人員を必要とし、新人比率が高くなることから、早期の新人育成と業務品質の向上に向けた取り組みを行いました。
RPA活用で、業務効率化を
RPAは活用次第で、ルーティンワークの業務効率化に貢献し、人為的な作業ミスを軽減することで業務品質の向上にも貢献すると期待されています。
株式会社TMJでは、RPAの導入や開発から運用まで企業の課題に合わせて支援します。RPAの導入やDXの推進をご検討の際は、ぜひご相談ください!詳しくは、<こちら>。
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