BPOの基礎知識
企業の成長に不可欠である従業員のモチベーションの維持・向上。その取り組みとして「モチベーションマネジメント」があります。今回はモチベーションマネジメントとは何か、導入メリットやモチベーション低下の原因・具体的な取り組みについて解説します。
モチベーションとは
モチベーションには、「動機づけ」や「やる気」の意味があります。
ビジネスシーンにおけるモチベーションが高い状態とは、従業員がやる気をもち自発的に業務を行っている状態を指します。そして、モチベーションは内発的動機づけと外発的動機づけの2種類に分けられます。
内発的動機づけ
内発的動機づけとは、従業員自身の内的要因(興味や関心)から生まれるやりがいや達成感を指します。
たとえば、自身の興味や関心が発端で資格取得に向けた勉強をしたり、新しいスキルを身につけるために業務の幅を広げたりすることなどが挙げられます。従業員が自発的に取り組んでいることがポイントです。
内的動機づけは自らの意志をもって行っているため、継続的しやすい面があります。
外発的動機づけ
外発的動機づけとは、外的要因(評価や報酬)から生まれるやりがいや達成感を指します。
昇格のために資格取得に向けた勉強をしたり、インセンティブを獲得するために業務の幅を広げたりすることが一例です。従業員自身の興味や関心がない場合でも、外的要因のために動くという点で内発的動機づけと異なります。
外発的動機づけの場合、評価や報酬を得たことで満足してしまうケースが多く、長期的に見ると、外発的動機づけは維持が難しいという面があります。
モチベーションマネジメントとは
モチベーションマネジメントとは、従業員が高い意欲を持って仕事に取り組めるように動機づけを行い、サポートするマネジメントを指します。
外的動機づけは維持しづらい側面があるため、モチベーションマネジメントにおいては従業員の内的動機づけを維持することがポイントといえます。そのために、外的動機づけで取り組む中で従業員が興味や関心を高め、内発的動機づけとなるきっかけを作る必要があります。
モチベーションマネジメントのメリット
モチベーションマネジメントを通して得られる3つのメリットを解説します。
① 生産性の向上
モチベーションマネジメントによって従業員のやる気が高まり、より自主的に動こうという意識が働くようになります。意欲的に業務に取り組むことでサービスの品質や生産性の向上につながり、企業の業績アップにも貢献します。
② 従業員の自己成長を後押し
モチベーションが高まることで、仕事に対して能動的に取り組むようになり、成果につながりやすくなります。そして取り組みが成果として報われることで、より高い目標にも挑戦できるようになり、自己成長が促されます。
③ 離職のリスクを抑える
モチベーションが低下すると、企業への愛着が薄れ、退職につながる恐れがあります。モチベーションマネジメントを行うことで、従業員の離職防止につながる可能性があります。
モチベーション低下の原因
実際にモチベーションの低下につながってしまう原因にはどんなものがあるのでしょうか。ここでは、2つのよくある原因について解説します。
本人に合っていない目標設定
本人の能力やスキルを考慮せず、企業側の都合で高すぎる目標を設定しているケースがあります。設定された目標が高すぎる場合、最初から本人が「達成できない」と諦めてしまう状況につながりかねません。その結果、モチベーションの低下につながります。
達成の見込みが立てられない目標では、モチベーションを維持するための指標という役割を失ってしまいます。
さらに、不適切な目標に向けて取り組み続けることで、心身ともに調子を崩してしまい、長期的に続けられなくなってしまう可能性も考えられます。
目標設定を行う際は、企業の都合だけでなく従業員の能力やスキルを考慮した上で、決めることがポイントです。従業員に合わせた目標設定をすることで、個人の成長を促しながらモチベーションアップにつなげることができます。
正当に評価されない環境
業務貢献が見えにくい環境では、従業員にとって正当な評価が受けられない可能性があります。その結果、従業員のモチベーションが低下しやすくなります。
従業員それぞれの業務がどのような形で企業に貢献しているのかを可視化する取り組みや、評価をしやすくする育成体制が大切になってきます。具体的な取り組み方については、後ほど解説します。
従業員が正当に評価される環境が整うことで、さらに貢献したいという意欲がわき、モチベーションアップにつながります。
モチベーションを高めるために必要な4つの要素
従業員のモチベーションを高めるために、企業が整えたい4つの要素について解説します。
① モチベーション状況を把握する定期的な場
モチベーションマネジメントにおいて、人材育成への取り組みは大切です。
人材育成の中でも、従業員のモチベーション状況を把握しておくことがポイントとなります。モチベーションが低下している従業員に早期の段階で気づけるような取り組みが求められます。
具体的には、チームミーティングや1on1ミーティングなどで定期的にコミュニケーションが取れる場を作ることが挙げられます。
■チームミーティング
チームミーティングでは、チームでの取り組み状況やその時点の成果だけでなく、チームメンバー同士がお互いの状況を把握できます。
業務で悩んでいて、モチベーションが下がっているチームメンバーがいないか、早期から気付くことができます。
■1on1ミーティング
1on1ミーティングでは、上司と部下が1対1で行う面談です。部下と上司と直接話す場を設けることで、部下の取り組みに対して評価が伝えられたり、部下からの相談を受けられたりと、コミュニケーションの機会が生まれます。上司は部下のモチベーションが把握でき、モチベーションが低下している場合には必要に応じてフォローできます。
株式会社TMJでも、人材育成の一環で定期的に1on1ミーティングを実施しています。
② 正当な評価につなげる評価制度
従業員の取り組みや成果に対して、企業が正当に評価する仕組み作りが必要です。具体的な取り組み内容を紹介します。
■スキルマップの活用
たとえば、スキルマップを盛り込んだ評価制度を活用することで、各従業員のスキルや習熟度を把握した上での正当な評価が可能となります。
■ピアボーナス制度の導入
ピアボーナス制度とは、従業員同士で感謝の気持ちやインセンティブを送りあう取り組みです。ピアボーナス制度によって今まで見過ごされてきた頑張りが評価されることもあり、モチベーションアップにつながります。
また、上司だけではなく、部署をまたいで従業員同士で評価しあうことで、コミュニケーションの活性化も期待できます。多角的な視点から評価される環境を作ることで、従業員のやる気を自然に引き出すことができます。
③ 最適な目標設定
目標設定時には、企業への貢献と従業員の自己成長の両方を盛り込んだ目標管理制度(MBO)(※)が役立ちます。目標管理制度とは、企業視点の経営目標や部門目標と従業員の個人目標を連動させた目標設定を指します。
目標管理制度を採り入れることで、従業員の目標の達成がどのような形で企業に貢献しているのかが見え、モチベーションにもつなげやすくなります。
目標管理制度(MBO):組織の目標達成のために自身が貢献する業務内容を目標とし、その達成度を基準として評価する制度
④ 適切な人材配置
従業員が自らのスキルや能力を生かせる人材配置を行うことで、やりがいをもって業務に取り組むことができます。従業員のモチベーションアップだけでなく、企業にとっても人的資源の最適化を目指す上で重要な取り組みです。
従業員のスキルや能力と事業や組織のニーズをふまえた上で配置することがポイントとなります。
また、人員不足が原因で理想の人材配置が行えないという場合は、業務改善提案が得意なBPO企業へ相談するのも一つの手です。株式会社TMJでは、業務効率化の提案から、人員不足の解消まで一気通貫で支援。丁寧かつ負担の少ない情報収集と豊富なナレッジを基に、専門家が企業の状況に合わせた提案を行います。お問い合わせは<こちら>。
成功事例
先述した通り、TMJでは人材育成を兼ねて1on1ミーティングを実施しています。1on1ミーティングを始めるにあたって、TMJが最初に取り組んだのは上司側の「育成力」向上でした。社長自ら専門機関で約1年間にわたるプログラムを受講して認定コーチの資格を取得。その後、経営メンバーから部長および課長層まで、同プログラムに基づいた研修を受講し、部下との1on1ミーティングを開始しました。
ミーティングは月に1~2回、30分~1時間程度で実施。部下の成長にフォーカスして、主体性を育てることを意識して行いました。その結果、6カ月で下のような成果が現れました(一部抜粋)。
- スキル評価のランクアップ
- 部下の行動変容が見られる
- 変化を承認されることで部下の主体性を育むことに成功
上記の成果によって、従業員のパフォーマンスが上がり、業績への貢献も見られました。
実際の取り組みや成果についての詳細は<こちら>。
モチベーションマネジメントで組織を活性化
モチベーションマネジメントを行うことで組織が活性化され、結果的に企業の成長につながります。
株式会社TMJでは定期的な1on1ミーティングの実施をはじめ、PDCAサイクルを取り入れた独自の人材育成に取り組んでいます。
また、社内の人材育成で培ったノウハウを生かしたコンタクトセンターで働く従業員の方向けの人材育成・研修サービスを提供しています。人材育成の強化を検討の際は、ぜひご相談ください!詳しくは、<こちら>。
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