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現場カイゼン


初回投稿日 : 2020/02/28

現場の改善を牽引するリーダー育成のポイントとは

会社の経営戦略や事業戦略を実現するために、実行力のある人材を育成することが何より重要です。

私たちは、クライアント企業の業務を受託している現場で取り組む「改善活動」を通して、より多くの社員が成功体験を得ることができる育成施策を進めています。成功体験を積むということは社員の自信につながり、自主性や主体性を育みます。
そうして、社員が現場の課題と対峙できる能力を高めることにより、クライアント企業へ付加価値を提供できる仕組みを構築しています。

今回は、このような現場の人材育成についてご紹介いたします。

企業における人材育成とは

企業の資産の中で“人材”は最も重要で、目には見えない付加価値を生み出す資産です。

企業において戦略・戦術を実行できる人材を育成することは、永続的な企業発展にとって非常に重要です。また、人手不足といわれる中、現場で働く社員のスキルを向上させることは、生産性向上にもつながる大事な施策のうちの一つだと考えています。

TMJでは、その土台を形成する取り組みとしてQCサークル活動(主に製造業の現場で実績がある、品質管理や改善に取り組む小グループ活動)をベースとした「小さな改善」活動を行っています。
その活動は『職場の活性化』と『人材育成』の双方に効果があり、人材育成の“オールインワン・パッケージ”といえるほどのメリットがある活動です。必要な研修を受講して知識を得たら、実務で実際の問題をテーマにチームで改善に取り組みます。実践的に問題を解決していくプロセスを経験することでスキルの定着を図ることができます。

このような活動を通して、組織全体で社員が育つ環境づくりに取り組み、私たちの事業に合う育成方法を大事にしています。

リーダー人材育成の背景

優秀な人材を育てるためにどのように取り組めばよいのか、特にリーダー層を育成する効果的な方法やカリキュラムはあるのかなど、人材育成に関するお悩みや課題をお聞きすることがあります。

私たちTMJは総合BPOベンダーとしてクライアント企業のコールセンターやバックオフィスセンターを運営していく中で、現場の人材力を通して継続的に付加価値を提供するべく、「小さな改善」活動に2006年から取り組み、今年(2020年)で14年目に入ります。

2017年度までは、全国13拠点で実施される「小さな改善」活動を東京本社からWeb会議やメールを利用して遠隔で支援してきました。その支援内容は主に下記のとおりです。

  • QCストーリー(問題解決のステップ)に沿った改善活動の進め方
  • QC手法(品質管理に活用されるさまざまな手法)の使い方
  • IE手法(製造現場における最適な生産システム設計、構築をするための手法)の使い方
  • 作成した成果物・発表資料のチェック・アドバイス
  • 勉強会や各種研修

しかし、遠隔での支援はコミュニケーションが制限されてしまう部分があり、きめ細やかなフォローにも限界がありました。

現場の人材育成を第一に、活動の活性化を継続して行うために

そこで、よりスムーズに活動を推進するために、2018年度より全国の拠点でリーダー人材を選抜して育成する計画に着手しました。各拠点に指導人材を配置し、現場に寄り添ってスキルレベルを引き上げていくことを目的としています。

改善マスターの拠点配置へ向けて育成を開始

リーダー人材育成のしくみ「改善リーダー・マスター制度」

全国13拠点で、それぞれの拠点が離れている中、全社でスキルレベルを統一して育成を進めるため、新たに育成制度を設けました。この制度を社内では「改善リーダー・マスター制度」と呼んでいます。
全国にあるビジネスユニットごとに改善活動を指導できる人材を育成し、各拠点で十分な対面支援ができるような仕組みを構築し始めています。

改善リーダー人材の育成カリキュラム

改善リーダーは自ら問題を発見し、チームの指導者としてメンバーを導き事象を解決できる技能を身につけている状態を目標とします。リーダー候補は個人ごとにスキル診断後に年間カリキュラムとして以下4つの研修を受講してもらいます。

<カリキュラム>

【1】QCストーリー問題解決型研修 : 目標未達など既存の問題を解決する手法
【2】QCストーリー課題達成型研修 : 未経験業務の安定運営、高い目標解決の手法
【3】指導者向け研修 : 「小さな改善」の基本理念、指導方法、審査、こころ構え
【4】IE手法研修 : 作業を時間と動きで分析、現状作業のムダをとる手法

さらにOJTとして、「小さな改善」の優れた事例をエリアごとに発表するエリア選抜発表大会の模擬審査を実施、社外活動としては、毎年開催されている日本科学技術連盟後援の各地区QCサークル大会の聴講、改善支援のオブザーブ参加など学んだことを実践する機会を与え、10か月にわたり育成をしています。年度末には再びスキル診断を行い、成長度合い、レベル判定をして、スキル定着のためのフォローを行っています。

結果として、改善リーダーのカリキュラムを受講した者は全員、期初のスキルレベルに対し期末には180%(2018年度実績)のスキル向上を達成しています。

改善マスター人材の育成カリキュラム

改善リーダーの育成課程を修了したメンバーは、2年目から改善マスター候補として一段高いカリキュラムに臨みます。改善マスターは、よりロジカルに問題の原因を分析する方法と業務改革手法を習得します。
まずは以下4つの研修を受講、以降3年間にわたり実践を含めた活動をします。

<カリキュラム>

【1】ヒューマンエラー/未然防止型研修 : ミス撲滅やミスの未然防止方法
【2】施策実行型研修 : 現状把握から対策が明確なものに対する問題解決
【3】BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)研修 : 業務改革手法
【4】BO工程設計・改善研修 : バックオフィス業務の設計、改善手法

こうして毎年改善リーダー・マスターを育成、輩出することで「小さな改善」活動のスキルレベルをさらに引き上げ、現場の安定運営、そしてより付加価値の高い提案・改善ができるように取り組んでいます。また、改善のプロとして業務改革(BPR:ビジネスプロセス・リエンジニアリング)に取り組める人材を育成しています。

【人材育成の成果】 改善リーダーによる支援で活動の質が向上

これらの成果はすでに現れはじめています。

2019年度の「小さな改善」活動のエリア選抜発表大会では、各拠点から112チームがエントリーして改善活動発表をしていますが、改善リーダー、改善マスターが中心となりチームの支援を実施したところ、昨年度と比較して審査スコア平均が明らかに上がり、活動の質の向上が見られました。また、今回支援した新人チームは、上位大会である全社大会への出場を惜しくも逃しましたが優秀な成績を収めました。
成果が出ると個々のモチベーションがあがり、改善活動の活性化につながっていきます。

お客様からも、「TMJの提案によりコストが削減できた」「煩雑な作業だと思っていた部分の工数が減った」など嬉しいお声をいただいています。「クライアントとの共創改善」「サポートコスト削減によるクライアント貢献」など一段高いレベルの問題解決が増えてきていると感じています。

 


私たちはQCサークル活動をベースとした「小さな改善」活動、改善報告制度を通してクライアント企業への提供価値の向上を目指し、現場力、問題解決力を磨いています。その活動の中からは多くの「改善事例」「共創事例」が生まれています。今回ご紹介した改善リーダー・マスター制度の導入により、この活動をさらに加速させる体制を構築していきたいと考えています。

このようにTMJのセンター現場では日々問題解決力を磨き、知見を蓄え、提案力を高めています。現場の人材育成や業務改善、オペレーション改革をお考えの際は、ぜひお気軽にお問い合せください。

執筆者紹介

野上 真裕
株式会社TMJ 運営監理部
テーマ:品質改善、クオリティマネジメント、人材育成
生産性・品質向上施策の企画・推進、クライアント内の改善活動支援などに従事。2006年QCサークル活動をコールセンターに応用し「小さな改善」活動として企画・導入、全社的な活動に進化・発展させる役割を果たす。さらに、改善活動から生まれた問題解決ツールの汎用化、共有などの水平展開できる仕組みを整備するなど、高い品質と人材育成の基盤づくりを主導している。QCサークル京浜地区幹事、QCサークル本部認定指導員としても活動。

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