BPOの基礎知識
企業の人的リソース不足を解消し、業務効率化を実現する方法のひとつが「BPO」です。事業規模の大小に関わらず、BPOの活用を積極的に検討する企業が増加しています。今回はBPOとは何か、アウトソーシングとの違いや対象となる業務を紹介し、活用のメリット・デメリットやBPO企業を選定するときのポイントを解説します。
BPOとは
BPOとは、「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略称で、自社の業務を外部の事業者へ委託することを指します。業務の一部だけでなく、部門単位で外部委託することもでき、バックオフィス業務やコールセンター業務など幅広い業務が対象となります。
業務の遂行だけでなく、業務の効率化に向けた業務設計・効果検証・業務改善策の実行なども含めた業務プロセスの構築や設計も担い、企業の課題解決や事業戦略に関わる基幹業務も期待される継続的な委託が多い特徴があります。
BPOとアウトソーシングの違い
BPOとアウトソーシングは、自社業務の外部委託という点で共通していますが、業務範囲と委託期間に違いがあります。
アウトソーシングでは、業務の遂行がメインとなり、人手不足を補うための一時的な委託も多い傾向があります。一方、BPOでは業務改善に向けた業務プロセスの見直しも委託範囲となるため、アウトソーシングと比べて委託期間が長期間になりやすい違いがあります。
プラス成長が予測されるBPO市場
IDC Japan 株式会社の国内BPOサービス市場予測によると、日本におけるBPO市場規模は拡大傾向にあり、2022年度から2026年度は年間平均成長率3.9%で推移し、2026年度のBPO市場は1兆717億円規模になるプラス成長が予測されています。コロナ禍でビジネス環境が大きく変わる中で、業務効率化や業務改善に取り組む企業が増えている傾向が見られます。
BPOサービスの対象業務

BPOの対象業務として多く挙げられるのは、「事務」「受付」「コンタクトセンター」のような定型化しやすい業務です。しかし、最近ではBPOできる業務領域に広がりがみられます。ここでは、BPOが可能な業務と併せてTMJが提供するBPOサービスを紹介します。
総務・経理
経費精算や施設・備品管理、データ入力や代表電話への対応など定型化・自動化できる業務が多くあるため、部門全体の業務がBPOの対象です。機密情報を取り扱う業務については、発注先のセキュリティ体制を見極めて検討しましょう。
TMJでは、総務・経理を含むコーポレート部門を対象とした「コーポレート機能BPOサービス」を提供しております。また、不在時・夜間・休日の電話対応を代行する「あんしん電話当番サービス」は、月1件からなど小規模でも発注が可能。訓練されたオペレーターが担当するため、丁寧かつ印象のよい対応が好評です。
営業事務
BPOの対象業務としては、受発注業務や請求書発行、取引先の名刺管理などが挙げられます。企業によっては営業担当者がこれらの業務を担うこともありますが、BPOサービスを活用することで、商談などのメインとなる営業活動に注力できる環境が整います。
TMJが提供する「営業事務支援サービス」は、人的サポートの他にAIなどのテクノロジーを活用した業務支援も行っております。現状や目標とする状況をヒアリングして、オーダーメイドのサービスを提案します。
コンタクトセンター
社内で運営する場合、人件費だけでなく機材の準備・メンテナンスやスペースの確保など設備に関連するコストが発生します。コンタクトセンター業務をアウトソーシングすることで、リソースを確保しつつそれらのコストを抑えられる可能性があります。さらに、コンタクトセンターの運営ノウハウが豊富なBPO企業に運営を任せることで、応対品質の向上が期待でき、顧客満足度向上につながるケースがあります。
TMJは企業規模の大小に関わらず、多くの企業のコンタクトセンターを運営してきた実績があります。TMJが提供する「カスタマーケア」は、インバウンドのみならずアウトバウンドにも対応。豊富なノウハウに基づいた研修を実施することでレベルの高い応対品質を実現しています。
また、小規模でも低コストで利用が可能なサービスも提供しております。「カード会社24時間対応BPOサービス」では、1席からの小規模発注かつ、「土日祝のみ」や「夜間のみ」など必要な時間帯のみのアウトソーシングも可能です。
営業
企業利益を直接生み出す「コア業務」についても、アウトソーシングすることができます。新規アポイントメント獲得から休眠顧客の復活、販売・継続利用の促進やアップセル活動などがBPOの対象業務です。
TMJでは営業活動のBPOサービス「セールスサポート」を提供しております。商品の特長や顧客属性などを分析し予測モデルを構築することで、販売効率を高めます。
人材育成
人材育成・研修についてもノウハウを持ったBPO企業にアウトソーシングすることで、人的リソースを割くことなく、よりハイスキルな人材育成が可能になります。担当者が育成・研修を行うケースもあれば、eラーニングシステムなどを活用したオンライン研修を実施するケースもあります。BPO企業によって専門分野が異なるため、実施可能な研修内容は様々です。
TMJでは、コールセンターやバックオフィスセンターで働く従業員を対象とした「人材育成・研修」を提供しております。eラーニングと集合研修を組み合わせて実施することが可能です。実際に利用した企業からは、導入から6カ月で受講者の8割の行動変容が促進された報告がありました。
サービス品質調査
商品やサービスの開発、顧客応対の品質改善などに取り組むためには、現状を客観的に評価し具体的な施策を検討する必要があります。BPO企業の中には、このような品質調査に関するノウハウを多く持ち、専門家として評価・判断するサービスを提供する企業があります。例えば、コンタクトセンター応対品質を診断・評価して改善活動に役立つレポートを制作するサービスなどがあります。
TMJは、CS向上に役立てられる「顧客満足度調査サービス」や、コンタクトセンターの課題を明確化し改善活動を支援する「応対品質改善支援」を提供しております。企業の課題に合わせて調査・分析を行うことで、確実に改善につながる取り組みが計画できます。
BPO導入のメリット

ここでは、BPOを導入するメリットについて説明します。
メイン業務に集中できる
人手が少ない企業の中には、一人の従業員が複数の業務を担い、メイン業務に集中しづらいというケースが多くあります。そこで、一部の業務をアウトソーシングすることで従業員はメイン業務に集中でき、業務の生産性を高めることができます。
また、BPO企業は専門的な知識やスキルをもとに業務を遂行するため、社内で実施していた時よりも時間とコストを削減でき、業務品質の向上も期待できるでしょう。
顧客満足度の向上
たとえばコンタクトセンター業務を委託した場合、正確で丁寧な応対を通して「サポート体制が充実している」とお客様に好印象をもっていただける可能性があります。
また、コンタクトセンターの体制を強化することでお客様の待ち時間を短縮し、ストレスを軽減することも顧客満足度の向上につながります。
お客様対応の業務にBPOを活用し、顧客接点を改善することで顧客満足度をさらに高めることができます。顧客満足度は、企業の売上拡大に貢献する重要な指標のひとつです。
人件費の変動費化
BPOにより、従来は固定費としてかかっていた業務の人件費を変動費化できます。
一部の人件費が固定費から変動費へ変わることで固定費の削減にもつながり、より柔軟な経営が可能となります。経費の中でも大きな割合を占める人件費のコスト削減は、BPO導入の大きなメリットのひとつです。
BPO導入のデメリット

BPOにはデメリットもあります。ここでは、デメリットについて解説します。
外注コストがかかる
財務状況が厳しければ、導入自体が難しいかもしれません。また、予算を有効活用するために企業が抱えている課題を整理し、BPOで効果が見込める業務を精査する必要があります。
たとえば、お客様からの問い合わせ対応に追われ、従業員がコア業務に充てる時間が削られる場合、コールセンター業務の外部委託やコンタクトチャネルの見直しが向いています。
これまでの経費と外注コストを比較し、費用対効果を見込むことができるかしっかり比較検討することがポイントです。
社内ナレッジが蓄積しづらい
ナレッジとは、企業にとって有益な知識や情報などを指します。ノウハウやスキル、アイディアが生み出される源となり、業務効率化や生産性向上につながる企業にとっても重要な資産です。
たとえば、BPO企業にコンサルティングなど経営に直接影響のある業務を委託している場合、業務が任せっきりとなるとコーポレートガバナンスの弱体化が懸念されます。
そこで、BPO企業に業務を丸投げするのではなく、コミュニケーションを定期的に取りながらパートナーとして付き合っていくことがポイントとなります。BPO企業に蓄積されるナレッジが自社にも共有される関係作りをすることで、社内ナレッジも自社に蓄積できます。
BPO企業を選定する際の5つのポイント
BPO企業を選定する際の5つのポイントについて解説します。
① 価格
同じサービスでも、サービス内容・サービス品質・業務体制によって価格は異なります。1社に絞らず、複数社から見積もりを取ることがポイントです。
さらに、見積もりを取る前に業務量・業務の発生頻度・希望の納期・求める品質レベルなど委託したい業務内容の詳細内容を整理して伝える(※)ことでより精度の高い見積もりを取得できる可能性があります。
また、イレギュラーの事態も想定しておく必要があります。想定外のトラブルで、BPO企業に時間外の対応をお願いすることも考えられます。イレギュラー時の追加料金・対応範囲・体制などを事前に確認しておくことも重要です。
※TMJでは企業の現状業務の調査・分析を通して、BPOを取り入れた業務改善策のご提案を行う業務量調査・分析パッケージを提供しています。BPO企業の依頼する業務の整理にお困りの方はぜひご相談ください!
② 専門性
BPO企業によって専門領域や得意領域は異なります。
たとえば、コンタクトセンター業務の中でもインバウンドとアウトバウンドではオペレーターに求められるスキルは異なります。専門性を見ることで、求めている業務品質に合ったBPO企業を選ぶことができます。
企業規模だけでなく、依頼したい業務内容と専門性がマッチするBPO企業を選ぶことがポイントです。
③ 対応実績
対応実績を確認する際には、どのくらいの業務量・期間・品質レベルであったか成果も確認することが大切です。バックオフィス業務など現物判断できない業務に関しては、見積もりを依頼した際のスムーズさや丁寧さなどから対応実績を推測することもひとつです。
見積もりを依頼する際には想定している業務の詳細内容を整理して伝えることで、依頼内容に近い対応実績があるか確認でき、実績面でのミスマッチを防ぐことができます。
④ セキュリティ体制
BPOでは機密情報を業務で取り扱うこともあり、セキュリティ体制は非常に重要です。
たとえば、顧客情報が漏洩すると、企業の利益損失だけでなく、お客様が危険にさらされる可能性もあり、結果的に企業の存続にも影響します。
このような事態を防ぐために、相手のセキュリティ体制や企業モラルを確認する必要があります。情報セキュリティへの取り組みとしてISMS認証、個人情報保護の取り組みとしてはプライバシーマークを取得しているかがポイントとなります。
また、契約書の内容を詳細まで確認し、違反した場合のペナルティなどを明記するなどの自衛策も重要です。
⑤ パートナーとしての関係性
社内業務をアウトソースするというBPOビジネスの仕組み上、BPO企業に依頼した業務がどんな手順で対応されているのかブラックボックス化し、見えづらくなりやすい面があります。そこで、委託した業務をただ「代行」するのではなく、パートナーとして改善提案も行いながら業務を「代替」できるパートナーとして信頼できるかは重要なポイントといえます。
企業価値を高めるBPO
BPOの導入は従業員とお客様の両者にメリットがあると考えられ、企業価値を高めることができます。BPO企業にはそれぞれ得意領域があるので、自社にマッチする企業選びが重要です。
株式会社TMJでは、コンタクトセンター業務をはじめ業務効率化・業務改善につながるサービスを幅広く提供しております。企業の課題に合わせたご提案が可能です。BPO導入ご検討の際は、お気軽にご相談ください!
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