BPOの基礎知識
自然災害や新型コロナウイルスの感染拡大などさまざまな脅威にさらされる中、企業はこれまで以上に強固で柔軟な経営体制が求められています。
そこで今回は経営手法のひとつとして注目される「シェアードサービス」に焦点を当て、シェアードサービスとは何か、メリットやデメリット、BPOと組み合わせた活用など幅広く解説します。
シェアードサービスとは
シェアードサービスとは、複数のグループ会社や事業部から成る企業が、それぞれの間接部門で行われている業務の一部を一か所に集約させることを指します。
間接部門は、人事・労務、総務・庶務、経理・財務、情報システム部門などコーポレート機能を担う部門を指します。営業やマーケティングなど企業の売上に直結する直接部門が役割を果たせるように支えているのが間接部門です。
BPOとの違い
シェアードサービスと関連するサービスとして、挙げられることが多いのが「BPO」です。
BPOとは、「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略称で、社内の特定の業務を外部へ委託するアウトソーシングの一種です。BPOでもシェアードサービスと同様に生産性の向上や従業員の負担軽減につなげる共通の目的があります。
その一方で、BPOでは外部へ業務を委託するのに対して、シェアードサービスでは社内やグループ企業内で業務を完結させるという違いがあります。
シェアードサービスの経営手法を取り入れながら、BPOも活用する企業も増えています。
シェアードサービスの導入メリット
シェアードサービスを導入することでどんなメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つのメリットをご紹介します。
① 人的リソースの有効活用
1つ目のメリットは、人的リソースを有効活用することで、コストを削減できることです。
各グループ会社や事業部にそれぞれ間接部門を設けている場合と比べて、間接部門の業務の一部が一か所に集中することで、限られた従業員数の中で人的リソースを有効活用しながら業務を実施することができます。そして、人件費の削減にもつながります。
また、業務に必要な設備やオフィススペースもそれぞれで設ける必要がなくなり、設備費のコスト削減にもつながります。
② 企業全体の管理体制の整備
2つ目のメリットは、業務フローを一本化することで、企業全体の管理体制を整備できることです。
シェアードサービスの導入にあたって、これまでの業務フローを見直し、標準化することが必要となります。不要な業務を廃止したり、効率の悪い業務は統合することで業務効率を高めたりと現状の業務の洗い出しを行うことで、業務の効率化に向けて取り組みを強化することできます。
そして、シェアードサービスが導入されることで、業務フローがスリム化し、企業全体としてもカバナンスを強化することができます。業務フローが共通化され、従業員が使用するシステムを共通化したり連携させたりすることで、スピーディーな対応も可能となり、間接部門の業務品質改善にも貢献します。
③ ナレッジの共有と蓄積
3つ目のメリットは、ナレッジの共有と蓄積ができることです。
これまで、それぞれの部門が蓄積してきたナレッジを共有しながら、さらに蓄積していくことで組織学習を重ね、より生産性の高い業務フロー作りにつなげることができます。
ナレッジが共有され、間接部門がそれぞれ専門性を高められれば、より生産性の高い環境を構築しながら担当者のモチベーションアップにもつなげられる可能性もあります。
シェアードサービスの導入デメリット
企業にとって多くのメリットがあるシェアードサービスですが、デメリットも存在します。導入を検討する際は、デメリットもしっかりと把握しておくことは大切です。
① 導入に向けての労力やコストの発生
シェアードサービスのデメリットとして、導入に至るまで社内やグループ会社内の間接部門間で多くの調整を必要とし、労力やコストが発生することが挙げられます。
シェアードサービスを導入するためには、これまでグループ会社や事業部がそれぞれ運用してきた業務フローやルール、システムなどを統一させる必要があります。業務をまとめたり、標準化したりするプロセスは非常に重要であると同時に多くの労力が発生します。グループ企業や事業部の数が多いとシェアードサービスにするメリットも大きい一方で、多くの関係者間での調整が必要となります。
また、シェアードサービスの導入に伴いシステムを変更する場合は、開発費やシステム導入費などのコストも発生します。複数のシステムを平行運用するケースもあります。長期的に見ると費用対効果が見込める一方で導入時には費用が発生し、継続的に運用費が発生するデメリットがあります。
そして、これまで使用していた業務フローやシステムが変更になるため、従業員が新しい体制に慣れるまでにある程度の時間が必要となります。シェアードサービスの導入は、大きな変化が生じるため従業員の協力が必要不可欠となる一大プロジェクトなのです。
② 近くに間接部門の従業員が減ることへの懸念
シェアードサービスを導入することで、グループ会社や事業部それぞれの間接部門が縮小される可能性があり、間接部門に関連する業務に関して専門性をもつ従業員が減ってしまうというデメリットがあります。
そのため、イレギュラーの事態が発生した際のスピーディーな対応が難しくなる可能性があります。また、それぞれのグループ会社や事業部ではこれらの業務に関する専門性が育ちづらいという面もあります。
シェアードサービスを導入したことで、業務効率を下げないためには、社内連携がしっかりと取れる体制作りが重要となります。
③ 配属された従業員のモチベーション管理
シェアードサービスでは、標準化できる業務が中心となったり、処遇面にも変化があったりすることで、キャリア形成の面で従業員のモチベーションが下がったり、不安を抱えてしまったりという事態も考えられます。
企業全体に必要不可欠な業務であるため、しっかりと従業員へ業務の役割を理解してもらいながら、今後のキャリア形成につなげられるサポート体制を築くことが必要不可欠となります。
シェアードサービスにBPOを活用
シェアードサービスはメリットの多い経営手法ですが、間接部門を統一して業務を標準化するハードルが高いというデメリットも存在します。
そこで、シェアードサービスの導入にBPOを活用することで現場の負担を軽減し、優先度の高いコア業務に集中できる環境を作ることで、生産性の向上につなげることができます。
ここではBPOサービスを提供する株式会社TMJのサービスを紹介しながらBPOの活用についてご紹介します。
業務の可視化や業務フローの整備
業務量の調査や分析を通して現状の業務を把握することで、業務の可視化に役立てることができます。
TMJが提供する「業務量調査・分析パッケージ」を活用することで、業務の可視化を行い、業務の標準化に向けて、現場の負担を抑えながら効率的な業務の見直しを行うことができます。
生産性向上につながる業務の可視化「業務量調査・分析パッケージ」
さらに、「コーポレートBPOサービス」では、業務フローの構築やマニュアルの整備などシェアードサービスの環境下で効率的に業務を進められるように支援を行います。
また、BPOを活用したことで業務がブラックボックス化(※)しないように、KPIや業務改善策に限定せず状況を詳細に報告し、コミュニケーションをしっかりと図ることで、より良い環境構築に向けてTMJは企業をサポートします。
※ブラックボックス化:業務フローや業務内容が見えづらくなってしまう状態を指します。
シェアードサービスだけでなく、コア業務も含めたアウトソーシングに興味のある方は、「BPOデザイン」の活用をご検討ください。企業の状況に合わせてオーダーメイドのプランを提案いたします。
業務の自動化
業務の見直しを通して、定型化できる業務はBPOを活用し自動化することで、業務をより効率化することができます。たとえば、AIを活用したAIテキスト分類では、AIの機械学習を活用しながら大量のテキストとデータの分類をスピーディーに行うことができます。
大量のテキストデータをスピーディーに自動分類「AIテキスト分類」
人材採用時の応募情報の振り分けや問い合わせなど、データ分類が必要となる場面で活用することができます。業務を自動化することで、人為的なミスをなくしながら、従業員の業務負荷を軽減し、業務を効率化することができます。
文書の電子化
間接部門では文書の取り扱いが多いため、文書電子化サービスを活用することで他部門とのデータ共有がスムーズになり、文書管理もしやすくなります。また、書類の一部を電子データ化することで、オフィスの保管スペースが必要なくなり、オフィススペースをより有効活用することもできます。
文書電子化サービスでは、契約書、申込書、領収書などさまざまな書類をスピーディーにスキャンし、電子データ化することができます。
スピーディーなペーパレス対応が可能「文書電子化サービス」
シェアードサービスとBPOの活用事例「総務業務のシェアードサービス化」
エンターテインメント会社であるA社は、業務拡大に伴い10社にまたがっていた総務業務の集約に踏み切りました。活用したのはTMJの「業務量調査・分析パッケージ」と「コーポレート機能BPO」です。効率的な運営を実現するため、400ある部門内の業務を一覧化し、それらの業務マニュアルを作成しました。その結果、部門内の生産性が向上。さらに、従業員にとって働きやすい環境が整いました。
その他、コーポレート機能BPOサービス活用による成功事例は<こちら>。
シェアードサービスとBPOを活用し、業務品質を向上
BPOを活用しながらシェアードサービスを実施することで、ガバナンスを強化しながら、業務品質を向上させ、生産性の向上に向けて取り組みを強化することができます。
株式会社TMJでは、シェアードサービスの導入に向けて、現状業務の見直しをはじめ、最適な業務体制の構築に向けて幅広いサービスを幅広く提供しています。シェアードサービスやBPOの活用をご検討の際は、ぜひご相談ください!お問い合わせは、<こちら>。
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