BPOの基礎知識
業務標準化は、業務の進め方や判断基準を整理し、担当者による品質のばらつきや属人化を防ぐための取り組みです。本記事では、業務標準化の進め方を5つのステップに分けて解説し、標準化を定着させるためのポイントや事例も紹介します。
業務標準化とは
業務標準化の意味
業務標準化とは、業務を構成する作業や判断を整理し、組織として共通の進め方を定める取り組みです。目的は手順を揃えること自体ではなく、担当者が変わっても業務を安定して継続できる状態をつくることにあります。
標準となる業務の進め方を組織内で共有し、業務フローや手順を明確にすることで、担当者による進め方や品質のばらつきを抑え、属人化の解消にもつながります。
業務標準化が必要とされる理由
業務の進め方が特定の担当者の経験や知識に依存していると、担当者の異動や退職、休職などによって業務が滞る可能性があります。また、担当者ごとに手順や判断が異なることで、業務品質にばらつきが生じることもあります。
こうしたリスクを抑えるためにも、業務の手順や判断基準を共有し、担当者が変わっても業務を継続できる体制を整えることが重要です。
業務標準化による主なメリット
業務標準化には、主に次のようなメリットがあります。
- 業務品質のばらつきを抑えられる
- ミスや手戻りを減らしやすくなる
- 属人化を防ぎ、引き継ぎをしやすくなる
- 新任担当者の教育を効率化できる
- 業務改善や自動化を検討しやすくなる
特に、業務の手順や判断基準が明確になることで、現状の課題も把握しやすくなります。そのため、標準化は業務効率化や生産性向上、その後の業務改善・自動化を進めるための土台にもなります。
業務標準化の進め方|5つの手順
業務標準化は、まず現在の業務を把握し、標準化する範囲を決めたうえで、標準となる業務プロセスや手順を整理し、運用につなげていくことが重要です。ここでは、その流れを5つのステップに分けて解説します。
ステップ1:現状の業務を把握する
まずは、現在どのように業務が行われているのかを把握します。業務内容や担当者、作業手順に加えて、工数、発生頻度、難易度などを整理し、業務の全体像を明らかにします。
このとき、管理者が把握している業務だけでなく、実際に業務を担当している人へのヒアリングも行うことが重要です。同じ業務でも担当者によって進め方や判断基準が異なっていたり、マニュアルには記載されていない作業が発生していたりすることがあります。
現場へのヒアリングやアンケートなどを通じて実態を把握することで、どの業務を標準化する必要があるのかを判断しやすくなります。
業務の現状を整理する具体的な方法については、「業務の見える化」の記事でも詳しく解説しています。
ステップ2:標準化する業務を選定する
次に、把握した業務の中から標準化する業務を選定します。すべての業務を一度に標準化しようとすると、現場の負担が大きくなり、取り組みが進まないこともあります。
たとえば、以下のような業務は標準化の優先度が高いと考えられます。
- 担当者によって手順や品質にばらつきがある業務
- 特定の担当者に依存している業務
- 発生頻度や処理件数が多い業務
- ミスや手戻りが発生しやすい業務
- 引き継ぎや教育に時間がかかっている業務
標準化は、現在の業務をそのまま固定することではありません。非効率な手順まで標準化すると、不要な作業や重複した工程がそのまま残ってしまいます。業務の必要性や進め方を見直したうえで、標準化する範囲を決めることが重要です。
ステップ3:標準となる業務プロセス・手順を決める
標準化で重要なのは、作業の順番だけでなく、業務の中で発生する判断もできるだけ共通化することです。標準化する業務を決めたら、「誰が」「いつ」「何を」「どのような手順で行うのか」に加え、業務を開始・完了する条件や判断基準を整理します。担当者の経験や感覚に頼っている判断があれば、可能な範囲で条件を具体化しておきましょう。
また、通常の手順だけではなく、条件によって処理が分かれるケースや例外が発生した場合の対応についても整理します。業務フロー図などを活用すると、一連の流れや担当者間の受け渡し、判断による分岐を可視化しやすくなります。
実際に業務を担当している人の知識やノウハウも取り入れながら、現場で無理なく運用できる手順に整えていきましょう。
ステップ4:マニュアルや手順書に落とし込む
標準となる業務プロセスや手順を決めたら、実際の業務で利用できるようマニュアルや手順書に落とし込みます。
単に作業内容を並べるだけでなく、作業の目的、担当者、実施するタイミング、具体的な手順、判断基準、注意点などを整理しておくと、担当者が変わっても同じ基準で業務を進めやすくなります。
操作方法など文章だけでは伝わりにくい内容については、画面キャプチャや図、動画などを活用するのも有効です。実際に利用する担当者が迷わず業務を進められる内容になっているかを確認しながら作成しましょう。
ステップ5:運用しながら定期的に見直す
標準となる手順やマニュアルを作成したら、実際の業務で運用します。運用開始後は、決めた手順が現場で無理なく実行できているか、業務品質の安定やミスの削減などにつながっているかを確認します。
実際に運用してみることで、想定していなかった例外や、手順どおりでは対応しにくい業務が見つかることもあります。現場からの意見を確認しながら必要に応じて手順を修正し、標準をより実態に合ったものへ更新していくことが大切です。
業務内容や使用するシステム、組織体制などが変われば、適切な業務手順も変化します。一度決めて終わりにせず、定期的に見直すことで標準化した状態を維持できます。
業務標準化を成功させるポイント
業務標準化を定着させるには、手順を整えるだけでなく、実際に業務を行う現場で無理なく運用できる状態にすることが重要です。ここでは、特に意識したい3つのポイントを紹介します。
現場の担当者を巻き込む
業務標準化を進める際は、管理者だけで手順を決めるのではなく、実際に業務を担当している人の意見を取り入れましょう。
現場では、マニュアルには記載されていない工夫や判断、例外対応などが行われていることがあります。こうした実務上の知識も踏まえて手順を整えることで、実態に合った標準化につながります。
誰でも理解・実践できる形にする
標準となる手順は、初めて業務を担当する人でも理解できる内容にすることが大切です。
作業の順番だけでなく、判断基準や注意点も明確にし、必要に応じて図や具体例などを活用します。また、新しい手順を導入する際は、その目的や変更内容を関係者に周知し、必要に応じて研修やトレーニングを行いましょう。
見直しの仕組みをつくる
業務標準化を定着させるには、見直しのタイミングや担当者を決めておくことも大切です。現場からの意見や運用上の課題を定期的に確認し、必要に応じて標準を更新できる仕組みを整えましょう。
業務標準化の成功事例(大手通信教育会社)
ある大手通信教育会社では、グループ企業全体のコスト削減と収益改善を目的に、グループ各社で行われていたコーポレート関連業務の移管を進める必要がありました。
一方、各社でビジネスモデルが異なっていたこともあり、対象業務は十分に標準化されていない状態でした。そこで、まずは各社の業務を可視化し、業務内容や進め方を整理したうえで標準化を進めました。
短期間での立ち上げにもかかわらず、円滑かつ安定的な運用につながっています。
グループ会社全体の業務標準化を実現した事例の詳細は<こちら>。
まとめ|業務標準化で属人化を防ぎ、業務品質の安定につなげる
業務標準化は、担当者による手順や判断のばらつきを抑え、属人化の解消や業務品質の安定につなげる取り組みです。
効果的に進めるためには、現在の業務を把握したうえで標準となる手順や判断基準を整え、現場で運用しながら継続的に見直していくことが重要です。
株式会社TMJでは、業務の可視化から業務プロセスの整理・改善、運用まで、業務効率化を幅広く支援しています。業務の属人化や標準化にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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