BPOの基礎知識
カスタマーサクセスのミッションは、サービスや商品を通じて、顧客を成功まで導くこと。そのミッションを達成して顧客との強い信頼関係を築くためには、適切なKPIの設定が不可欠です。今回は、カスタマーサクセスに取り組むメリットや取り入れたいKPIについて解説します。
カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセスとは、「顧客の成功」を意味し、顧客が目指すゴールに向けて、成功に導くために支援するオペレーションや戦略のことを指します。
カスタマーサクセスでは、新規顧客の獲得よりも既存顧客が継続して商品やサービスを利用いただけるようにサポートすることを重視しており、正しく取り組むことで顧客満足度の向上や、ロイヤルカスタマーの育成につながります。
カスタマーサクセスで取り入れたい7つのKPI
カスタマーサクセスでは指標としてKPI(※)を設定することで、取り組みがお客様の成功に貢献しているか客観的に判断しやすくなります。ここでは、カスタマーサクセスで取り入れたいKPIについて、サブスクリプション型の商品やサービスにおけるKPIを中心に解説します。
※KPI:「Key Performance Indicator」の略称。「重要業績評価指標」と訳され、目標値に対する現状の進捗状況を把握するために活用する指標。
① 解約率(チャーンレート)
新規顧客が増えても、解約率が高いと安定した収益を上げることが難しくなるため、解約率は重要なKPIといえます。
「チャーンレート」とも呼ばれる解約率を計算する上で、2つの代表的な方法があります。
一つ目は、「カスタマーチャーンレート(Customer Churn Rate)」です。
「特定の期間に解約した顧客数÷期間開始時の顧客数×100」で計算されます。
顧客数に着目し、特定の期間における顧客の解約率を見る方法です。
二つ目は、「レベニューチャーンレート(Revenue Churn Rate)」です。
「(サービス単価×解約数)÷売上×100」で計算されます。
売上額から解約率を見る方法です。KPIに解約率を設定する場合、継続状況と解約状況を定量化して、月ごとに比較することでカスタマーサクセスの状況が見えやすくなります。
② オンボーディング完了率
オンボーディング完了率とは、お客様が商品やサービスの利用を開始し、初期設定が完了し、利用を開始した割合を測った指標です。
利用を開始したばかりのお客様は商品やサービスをうまく使いこなせず、解約率が高くなる傾向にあります。そのため、お客様に利用方法や操作手順を案内することでお客様の満足度を上げ、継続して利用していただけるように活用する指標がオンボーディング完了率なのです。
オンボーディング完了率は、
「オンボーディングを完了した顧客数 ÷ オンボーディング期間の全顧客数×100」
から算出することができます。
解約を防ぎ、オンボーディング完了率を最大化するためには、短期間でオンボーディングを完了させることがポイントです。お客様が新しく商品やサービスを利用する際、期待値が最も高まっているのがオンボーディングの期間といえます。この時期にオンボーディングを完了させることで、お客様の成功体験につなげることができます。そのため、オンボーディング完了率を設定する際には、期間も一緒に設定することが重要になります。
③ アップセル率とクロスセル率
お客様の購買単価を上げるために活用されるKPIが「アップセル率」と「クロスセル率」です。
アップセル率とは、お客様が前回の購入時よりも単価の高い商品やサービスを購入した割合のこと、
クロスセル率とは、利用している商品やサービスに関連性の高い商品をお客様が購入した割合を指します。
アップセル率やクロスセル率を最大化する上で、最適なタイミングでお客様の状況に合わせて提案することが重要です。お客様の状況を把握しないまま、提案を進めてしまうと解約のリスクを高めてしまう危険性もあります。顧客満足度の向上につなげるアプローチであることが大切です。
④ LTV(顧客生涯価値)
商品やサービスを継続的に契約や購入していただけるような関係を構築するために注目したいKPIが「LTV(顧客生涯価値)」です。
LTVとは、「Life Time Value」の略称で、一人のお客様が生涯においてどれだけ自社の商品やサービスを利用し、利益に貢献するか算出した指標です。お客様の商品やサービスへの愛着心を測る「顧客ロイヤリティ」を知る上での指標としても使われており、「購買単価×購買頻度×継続期間」で算出できます。また、LTVを活用する際は、顧客獲得にかかった費用も考慮することが大切です。
⑤ アクティブユーザー数
アクティブユーザー数とは、一定の期間内にサービスを1回以上利用したユーザーの数を指します。アクティブユーザーが増えていれば、サービスのニーズが伸びていると判断できます。
アクティブユーザーは、設定期間によって下のように表記されることがあります。
・MAU:1カ月間のアクティブユーザー数
・DAU:1日のアクティブユーザー数
⑥ セッション期間
セッション期間では、サービスへのユーザーの依存度が計測できます。愛着が強ければ強いほどサービスの利用時間が伸びたり利用頻度が上がるので、セッション期間が長くなる傾向にあります。
⑦ NPS(顧客推奨度)
NPSとは、サービスや商品に対するユーザーの信頼や愛着を数値化したものです。「あなたはこのサービス(商品)を身近な人におすすめしたいですか」のような質問を投げかけ、数値評価されたものを集計して算出します。回答者の属性によっては結果に偏りが出ることもあるので、集計時には注意が必要です。
カスタマーサクセスでKPIを設計する際のポイント
カスタマーサクセスでKPIを設計する際、どんなポイントに注意すればよいのでしょうか。ここでは、4つのポイントに絞って解説します。
① KPIの定期的な見直し
KPIを設定する際に、定期的に見直し、状況に応じてアップデートすることが大切です。一度設計した後、同じKPIを使い続けてしまうケースが多くあります。KPIの数値やKPI指標を定期的に見直す機会を作ることで、より良いカスタマーサクセスにつなげることができます。
一方で、頻繁に変えると改善状況が見えづらくなってしまうため、一定期間を設けた上での見直しが最適です。
② 自社に合ったKPIの設定
KPIを設定する際には、自社のサービスや業務に適しているかをしっかりと判断することが重要です。
企業規模や業界によっても最適なKPIは異なります。また、カスタマーサクセスを強化したい目的によってもKPIは異なります。他社を参考にしながらも、自社の状況に合わせて設定することで、最適なKPIを設定することができます。
③ PDCAを考慮したKPIの設定
KPIを設定する際は、日々のPDCAサイクルにつなげることができるか考慮することがとても大切です。
たとえば、KPIに解約率のみを設定した場合、アクションの結果を判断できるのは契約更新時のみとなります。そのため、長期スパンのPDCAしか回せず、お客様の状況をタイムリーに把握しづらくなってしまいます。
そのためKPIは短期的に確認できる指標も取り入れることで定期的に数値の推移を確認することができ、日々のPDCAサイクルが回しやすくなります。
④ KPIがKGI(重要目標達成指標)につながっているか
KGIとは、「Key Goal Indicator」の略称で、「重要目標達成指標」とも呼ばれています。KPIが目標値に対する中間指標であるのに対し、KGIは最終目標が達成されているかを判断する指標となっています。
たとえば、「3年以内に25%売上をアップ」がKGIの一例です。具体的な数値や期限を設定することが重要です。最終目標であるKGIにつながるKPIを設定することで、KGIの達成に近づくことができます。
カスタマーサクセスにKPIを取り入れることで企業価値を高める

カスタマーサクセスでKPIを設定して取り組むことで、顧客満足度を高め、安定した企業収益の確保につなげることができます。
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