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現場カイゼン


初回投稿日 : 2021/07/05

カーシェアを支えるコンタクトセンター業務。現場主導のソリューション活用に注目

カーシェア

TMJでは、MaaS(※)/モビリティビジネス専門のコンタクトセンター「Mobilish(モビリッシュ)」を2021年に札幌に開設しました。
今回は、本センターで業務全体の担当マネージャーを務める吉田PM(プロジェクトマネージャー)・現場責任者を務める熊谷LSV(リードスーパーバイザー)・辻SV(スーパーバイザー)にカーシェアサービスを支えるコンタクトセンター業務の特徴や業務改善に向けたソリューション活用についてインタビューしました。

※MaaS(マース):「Mobility as a Service」の略称。複数の移動サービスを一元化し、検索、予約、決済を提供するサービス。カーシェア、シェアサイクル、配車サービスなどが一例。

MaaS/モビリティビジネス特有の業務とは

Q:MaaS/モビリティビジネス専門センターでの実施業務について教えてください。

吉田PM:私達のセンターでは、カーシェアやカーシェアプラットフォームなどモビリティサービスに関する業務が集約されています。24時間365日のサポート体制でチャネルは、電話とメールがメインとなります。

カーシェア業務を支えるコンタクトセンター業務

熊谷LSV:カーシェア業務の場合、お問い合わせ対応業務とバックオフィス業務の大きく2種類の業務があります。

お問い合わせ対応業務では、サービス会員、駐車場の管理会社、メンテナンス実施業者、自動車事故の対応を行っている警察、非会員の方など幅広い方々からの入電に対応しています。また、入電対応だけでなく、予約終了時間に戻っていない方への架電、事故や前の利用者が車を汚してしまった場合などで車が利用できなくなった場合に別の車を調整する「振り替え架電」などこちらから連絡をする架電対応も実施しています。

バックオフィス業務は、車の振り替えに伴って必然的に発生し、本センターでも重要な業務のひとつとなっています。

入電対応だけでなく、架電対応も実施する「お問い合わせ対応業務」

Q:お問い合わせ対応では、入電対応だけでなく、架電対応も実施しているのですね!

熊谷LSV:そうですね、数としては入電対応の方が圧倒的に多いです。
また、土日祝日はカーシェアの利用数が多い分車のトラブルをはじめとするお問い合わせも多くなるので、 土日祝日に振り替え架電が多く発生する傾向があります。

吉田PM:一件の振り替え対応にかかる対応時間はその他の対応と比べて、比にならない部分があります。たとえば平均の入電対応が一件10分以内に終わることが多いところ、振り替え架電は場合によっては数時間かかってしまうことがあります。

振り替え架電に必ず発生する「バックオフィス業務」

Q:振り替え対応の特徴として、土日祝日の業務量が多い他にどんな特徴がありますか?

熊谷LSV:振り替え対応には、架電に加えて、バックオフィス業務が非常に多い特徴があり、いかに、円滑に業務を進めるかが大切になってきます。

辻SV:たとえば、事故などで利用できなくなった車などは予約が入らないようにセンター側でブロックし、新しく車を手配することが必要になってきます。また、ブロックされた車の修理完了まで管理を要する場合もあり、後続対応は多岐に渡ります

吉田PM:非常に多くの方々と関わりながら一件の対応をしていくことが特徴的だと感じています。
たとえば、事故が発生した場合には次に利用されるお客様、さらにその後に利用されるお客様への調整連絡とクライアント様への報告、メンテナンスを実施するクライアント様の場合にはメンテナンス実施業者への連絡、さらに利用者様との料金調整のためのセンター内での社内調整など多くの業務とステークホルダーで成り立っており、複雑化しやすい業務になっています。

レンタカーと混同されやすいカー「シェアリング」ならではの特徴

シェアリングエコノミー

Q: カーシェア業務ならではの課題などはありますか?

吉田さん:大きな課題の一つとして、「カーシェア=レンタカー」とカーシェアと同一のサービスとして利用されるお客様が多いことがあります。

レンタカーのように、希望の時間に希望した車種に必ず乗れると思ってご予約されるケースがあります。しかし、シェアリングというサービスの特性上、予約した車が希望の時間に戻ってこない、事故によって車種が変わってしまう、機械やアプリの操作に時間がかかってしまい想定外の延長料金が発生するなどお客様にとっては予期していない状況が生まれやすいことでお客様が混乱してしまうことがまだまだあります。

辻SV:もう一つカーシェアの「シェアリング」の特徴につながるのですが、 タイヤがパンクした時に保証がないケースもあり、遠隔地でパンクされた際の対応についても想定していなかったという声をいただくことがあります。
サービスページなどに記載されているのですが、車のトラブルへの事前の理解が限定的であることがあります。

吉田PM:「気軽に利用できる」というイメージでご利用いただけることは非常にありがたいのですが、シェアリングサービスの特徴がまだまだ浸透していないケースが多いのかもしれません。センターとしてはお客様の心情に寄り添った受け止めや共感を軸にホスピタリティをもった対応、スピーディーな対応が重視するポイントとなっています。

二つ目の課題として、カーシェアサービス対象エリアへの理解を深める必要がありました。
本センターは札幌にありますが、カーシェアサービスの利用は札幌以外のエリアでも多くなっています。そのため、遠隔地からGoogleマップなどを活用しながら、返却場所に迷ったお客様へ車が置いてある「ステーション」の場所へ案内したり、ご予約されたお客様へ駅の路線図を活用して最短の交通手段を案内したりと、お客様のエリアに即した案内ができるように教育や仕組み作りを行っています。

熊谷LSV:ここは最初すごく大変で苦労しましたね。

バックオフィス業務の改善に向けた、2つのソリューション活用

 Q:今回、ソリューションを活用して特に解決したかった課題はどんなところでしたか? 

吉田PM:大きく2つありました。

入力作業そのものを根本的に変える「UI改善ツール」

吉田PM:まず業務で使うシステムの入力作業の利便性改善は重要視されていました。

オペレーターによって入力速度や内容のまとめ方にバラつきがある中で、いかにスピーディーに入力内容の精度を担保するか、入力作業そのものにメスを入れて抜本的に変えていく必要がありました。

この課題を解決するために「UI 改善ツール」を導入しました。これまでにUIのデザイン上、課題があった点に対してクライアント様の費用や工数をかけずにセンターだけで入力画面を改修し、利便性を向上させることができる画期的なツールになっています。

バックオフィス業務の工数の見える化に向けた「サイコロ型のIoTデバイス」

吉田PM:もう一つの課題が、バックオフィス業務を円滑に進めることでした。

バックオフィス業務は業務知識や経験のあるベテランの方でなければなかなか担えない領域になっていました。オペレーションやサービスの細かな部分まで把握しながら、場合によっては車の構造の知識や車種の特徴などまで知っておかなければ適切な処理に結びつかないケースが多くあったのです。

電話対応の業務では、通話・保留・後処理など一連の業務が切り替わるタイミングをシステムで把握でき、工数管理ができていました。一方で、バックオフィス業務の場合は業務の切り替えのタイミングをシステムで管理することができず、それぞれの業務にかかっている工数を把握できませんでした。そのため、バックオフィス業務を円滑に進める上で、最適な体制やKPIが見えずにおり、工数の見える化が必要でした。

当初は紙に正の字で処理件数を数えて計算するアナログな方法で分析をしていました。しかし、現場への負荷が高く、多くの苦労を伴っていました。そこで、「サイコロ型のIoTデバイス」を使ってこの課題を解消しました。

<関連記事>サイコロ型IoTデバイスで仕事の可視化に取り組んでみてわかったこと

オペレーター主導のシステム設計が実現した入力作業の業務改善

Q:UI改善ツールを導入していかがでしたか?

吉田PM:UI改善ツールは、注釈、プルダウン、テンプレートの埋め込みなど機能を追加することで入力作業を効率化することができました。

入力画面のUI改善

結果的に、バックオフィス業務の対応時間短縮や業務の正確性の向上により生産性が向上しました。

また、オペレーターさんからの評判が非常に良かったです。既存のシステムを気軽に改修できることで、現場の要望を取り入れやすくなりました

システムの改修やアイデア出しという部分では現場のオペレーター主導で行っています。オペレーター主導にした背景として、過去に管理者側で行った改善が必ずしも現場で求められておらず、管理者側の思い込みで現場の要望が反映できていないこともありました。実際に使うオペレーターさんが使いやすい状態にすることを最優先にした時にオペレーターさんに設計していただき、アイデアを取り入れ、改修まで担っていただこうという考えに至りました。

オペレーターさんの要望の範囲も広がり、実現できるものも増えたことで、業務改善という面では声を上げやすくなった状況になったのではと感じます。 また、オペレーターさんが声をあげてくれたことを実現できる環境を整えられたことで、現場のモチベーションアップにもつなげられているのではと思います。

困っているオペレーターにいち早く気付ける、サイコロ型のIoTデバイス

サイコロ型IoTデバイス

Q:先ほどご紹介いただいたサイコロ型のIoTデバイス(通称サイコロ)の現場での活用に関して教えてください。 

吉田PM: 10面型のおにぎりサイズのサイコロは、10面にそれぞれ何の作業をしているか(メール対応・アラート対応など)という設定をします。サイコロには計測システムが連動しており、サイコロの上面の作業時間が計測されます。

管理者側でモニタリングできる機能も備わっており、今まで見えなかった各オペレーターさんの作業工程をリアルタイムで一元管理できるようになりました。

Q:実際にサイコロを活用していかがでしたか。

熊谷LSV:工数の見える化を通して最適な人員の配置配分を実現できた他にも、管理者側で誰がどの業務工程で何分経過しているのか表示されるので、次の工程に進む前に困っているかもしれないなど早めにキャッチアップできるようになりました。

ベテランさんも多い環境で、相談を遠慮してしまう方もいらっしゃるので、そういった方々にはこちらからすぐにお声がけをして困っていることはないかフォローし、最適な指示を即座に出せることは大きなメリットだと感じます。

管理画面

吉田PM:これからも現場の業務改善に向けて、試行錯誤を重ねていきたいと思っております!

編集後記

カーシェアが少しずつ普及する中で、サービスの裏側では電話対応とバックオフィス業務双方の生産性の両立に真摯に向き合う現場の方々が印象的でした。ユーザーの利便性がますサービスが増える中で、サービスを支える側では便利で快適なサービスを実現するために日々改善を重ねている裏側を垣間見ることができました。

吉田PM、熊谷LSV、辻SV、貴重なお話をありがとうございました!(業務改善ノート編集部:安田(恵))

株式会社TMJでは、MaaS/モビリティビジネスに特化した、カスタマーサポートの立ち上げから運用・改善までトータルサポートを行っております。詳しくは、<こちら>。

執筆者紹介

業務改善ノート編集部

ビジネスのデザイン力で、事業の一翼を担うBPOパートナーのTMJ。将来にわたる経営環境に最適なビジネスプロセスを設計し、事業を代替することで、クライアント企業の継続的な事業成長を総合的にサポートしています。

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