
次に取り組んだのは、「潜在ニーズの把握」です。カスタマーセンターへ問い合わせの電話をしない層にまで対象を広げて実施しました。
具体的には、VOCの収集対象を顧客だけでなく「見込顧客」「非顧客」にまで対象を拡大するとともに、カスタマーセンター部門や、顧客からの評価システム、インターネット調査など収集チャネルも拡張しました。また、カスタマーセンターへの入電では聞くことのできない顧客の声に耳を傾ける工夫をしました。さらに、文章データから有益な情報を取り出してくれる「テキストマイニングツール」を使って、広範囲に収集されたVOCを定量的に分析しています。
■潜在ニーズの把握
調査対象:①既存顧客 ②商品・サービスの見込み顧客、非顧客
収集方法:カスタマーセンター部門や、顧客からの評価システム、インターネット調査など
分析方法:広範囲に収集されたVOCのテキストデータから「テキストマイニングツール」を使って有益な情報を抽出し定量分析。問い合わせに至った背景を推察して「仮説」立てし、再度定量化を試み、真の顧客の困りごとを特定。このサイクルを繰り返し行うことで、改善につながるVOCを抽出。
なお、コンタクトセンターでは音声認識技術によるテキスト化ツールの導入を検討しています。テクノロジーの力を借りて、さらなる対応数の増加とオペレーターの負荷軽減を目指す方針です。
ただし、ツールを導入しただけでは課題解決につながらないということにも留意する必要があります。音声認識技術によってテキスト化されたVOCは顧客の生の声ではあるものの、構造化されておらず、発話された単語の羅列の域を出ません。その単語の羅列に、オペレーターの「暗黙知」を基にした気づきを加えることで、問い合わせるに至った背景まで推察する「仮説」が生まれるのです。
オペレータの暗黙知
さらに、仮説に基づいた切り口で再度定量化を試み、真の顧客の困りごとを特定することの繰り返しにより、「生の声」を「改善につながる価値あるVOC」へ高めていくことができます。