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専門家コラム


初回投稿日 : 2022/03/28

2周目に入ったCXマネジメント 第2回:VOC収集から関連データ統合まで「進化の4段階」

多くの企業で実践されている、CX(顧客体験)向上の戦略。すでに取り組みが一巡し、次の段階に進もうとしている企業もあります。そこで、今回は全6回の連載形式でCX戦略の推進方法を解説。連載2回目にあたる今回は、コンタクトセンターで最も重要となる「VOCを中心とするデータ活用基盤の強化」にフォーカスします。VOC(顧客の声)収集・提供管理整備から関連データ統合まで、実例を基に重要なポイントを紹介します。(『月刊コールセンタージャパン』2021年12月号掲載記事を編集して掲載しています。)

CXの現在地を見極めるためのチェックポイント(前回の振り返り)

連載1回目「CX戦略の現在地」では、カスタマーエクスペリエンス(CX)に関する取り組みステージを1周目と2周目に大別し、到達の度合いを測るチェック項目を整理しました。各社がどの状況にあるかを問うとともに、「目的」「効果」「手段」の観点で現状を振り返り、改善サイクルを構築していくことの必要性を解説しました。

第1回:CX戦略の現在地

VOC活動の「進化の4段階」

CX推進の現状を振り返り、本来の目的を実現するためにすべきことが定まったら、いよいよCX推進の1周目から2周目に移行していくことになります。ここでは、長年にわたり大手サービス企業(以降A社)とTMJが共創してきたVOC活動の軌跡をベースに、VOCを中心とするデータ活用基盤を強化するためのアプローチを紹介します。

A社のVOC活動は、現在では全社的な取り組みへと発展していますが、初めからそうだったわけではありません。では、いかにしてVOC活動の重要性に気づき、収集・活用の仕組みを整え、VOC活動を進化させてきたのでしょうか。段階別に取り組みポイントを振り返ります。

VOCの意味や収集・分析・活用までのポイント

第1期「VOC提供拡大・収集環境整備」

VOCの活用に取り組むにあたり最初に行ったのは、VOCへの理解を深めるための「オペレーターのマインドセット」です。顧客接点の最前線で応対を行うのはオペレーターであり、正しく質の高いVOCを収集できるか否かは、オペレーター個々のマインドとスキルにかかっています。顧客の代弁者として商品・サービスをより良くしていくのだというオペレーターのマインド醸成は、意外に思われるかもしれませんが、かなり重要なポイントなのです。

今回のケースでは、経年比較による顧客の反応や、商品・サービスの変更による顧客の声の変化の気づきをオペレーターから積極的に拾い上げ、A社へフィードバックするようにしました。そうすることで、より質の高いVOCの収集・提供につながったのです。

このほか、提供ツールの整備や改善事例のフィードバックサイクルを強化することでモチベーションアップを図るなど、A社と合同で進めた多角的な取り組みにより、安定したVOCの収集・提供基盤を整えていきました。

第2期「クライアント⇔TMJ共創サイクル化」

商品・サービスの顧客離れを防ぐには改善時期を逃さないことが重要であるため、商品・サービスの改善を実際に手掛ける部門へスピーディーにVOCを届ける仕組みが必要です。

そこでA社とTMJの2社で連携し、【収集と蓄積】→【毎日の発信】→【改善と反映】→【検証と再考】の改善サイクルを回す体制を構築しました。これにより、その日に入電した顧客の声が当日中にA社の関連部署や経営層まで届けられるようになり、VOC収集からの改善スピードを格段に速めることができました。

第3期「収集チャネル拡張」と「音声認識・テキスト分析」

次に取り組んだのは、「潜在ニーズの把握」です。カスタマーセンターへ問い合わせの電話をしない層にまで対象を広げて実施しました。

具体的には、VOCの収集対象を顧客だけでなく「見込顧客」「非顧客」にまで対象を拡大するとともに、カスタマーセンター部門や、顧客からの評価システムインターネット調査など収集チャネルも拡張しました。また、カスタマーセンターへの入電では聞くことのできない顧客の声に耳を傾ける工夫をしました。さらに、文章データから有益な情報を取り出してくれる「テキストマイニングツール」を使って、広範囲に収集されたVOCを定量的に分析しています。

■潜在ニーズの把握
調査対象:①既存顧客 ②商品・サービスの見込み顧客、非顧客
収集方法:カスタマーセンター部門や、顧客からの評価システム、インターネット調査など
分析方法:広範囲に収集されたVOCのテキストデータから「テキストマイニングツール」を使って有益な情報を抽出し定量分析。問い合わせに至った背景を推察して「仮説」立てし、再度定量化を試み、真の顧客の困りごとを特定。このサイクルを繰り返し行うことで、改善につながるVOCを抽出。

なお、コンタクトセンターでは音声認識技術によるテキスト化ツールの導入を検討しています。テクノロジーの力を借りて、さらなる対応数の増加オペレーターの負荷軽減を目指す方針です。

ただし、ツールを導入しただけでは課題解決につながらないということにも留意する必要があります。音声認識技術によってテキスト化されたVOCは顧客の生の声ではあるものの、構造化されておらず、発話された単語の羅列の域を出ません。その単語の羅列に、オペレーターの「暗黙知」を基にした気づきを加えることで、問い合わせるに至った背景まで推察する「仮説」が生まれるのです。

オペレータの暗黙知

さらに、仮説に基づいた切り口で再度定量化を試み、真の顧客の困りごとを特定することの繰り返しにより、「生の声」を「改善につながる価値あるVOC」へ高めていくことができます。

第4期「CX価値を高めるためのさらなるチャレンジ」

コンタクトセンターから始まったVOCを中心とするデータ活用基盤の強化は、ツールの導入、改善プロセスの構築、VOC収集の対象とチャネルの拡大を経て、現在、CRM(顧客関係管理)データとの統合を目指す第4期を迎えています。VOCを顧客属性と紐づけ、さらにPBX(構内電話交換機)/CTI(コンピュータと電話・FAXを統合する技術)データ、CRM、基幹システム、Webから得られる定量データと統合管理することを目指しています。これらのデータ統合は、CX価値を高めるためのさらなるチャレンジです。

なお、さまざまな定量データは、これまでオペレーターが印象として持つに留まっていた仮説の裏づけに役立ちます。そうした意味でもVOCと定量データの統合は望ましいといえるでしょう。

A社では現在、各部署でバラバラに参照されているVOCや定量データを集中管理できる体制を検討中です。これは連載1回目の最後に必要性をお伝えしたPMO組織(※)であり、CX戦略2周目の肝であると考えています。顧客体験の起点から完了までのVOCを統合管理することでCXの全体像を捉えることが可能になります。VOCの統合管理は、顧客体験を強化するうえでは欠かせない活動であるのです。

PMO:複数あるプロジェクトの統括的な管理・サポートを行うための機能や専門組織のこと。

CX戦略2周目を成功させるための最初のステップ

カスタマージャーニーマップの意味を紹介

本稿では「VOCを中心とするデータ活用基盤の強化」に焦点を当て、A社とTMJの実例を基に重要なポイントを紹介しました。ここで紹介したVOC活動は、半年や1年といった短いスパンで実現できることではありません。A社の深い理解や長期的視点に立った戦略的な取り組みと、TMJが10年以上にわたりクライアントに寄り添い、伴走してきたことで可能となった、共創の成果であると改めて実感しています。

CX戦略の1周目を成功させて満足するのではなく、さらに高みを目指して取り組みを推進することを検討していただければと思います。

株式会社TMJではCX推進に関わる支援サービスを提供しております。経験豊富な専門家が現状の分析から施策検討、実行計画まで立案。その後の施策の実装、定着までワンストップで行います。
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執筆者紹介

株式会社TMJ CX推進PJチーム

約20社の顧客企業のCX関連活動の問題解決を図るプロジェクト型組織です。営業組織やセンターメンバー組織の知識スキル習得、提案活動、また業務設計とその標準化、施策の検証、内外への事例紹介などをワンストップで行っています。

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