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専門家コラム


初回投稿日 : 2017/08/31

CXとカスタマーサポートの関係を再考する

“CSやるのとCXやるのとはどう違うの?”

カスタマーサポート領域においてカスタマーエクスペリエンス(Customer Experience:以下、CX)が注目されてから数年が経過していると思います。CXの重要性が問われ始めたころは、「CSやるのとCXやるのはどう違うのか?」とクライアントから問われることがよくありました。

この問いに関しては、「コンタクトセンターの未来を考えるセミナー」の“データに見るカスタマーエクスペリエンスの実態”(コンタクトセンター・アワード事務局主催 2016年10月)という講演の中で、CSを実践する3つの重要な観点として「顧客像の可視化」「部門間連携」「現場への展開と浸透」を提示させていただきました。その中で、特定の顧客接点単体ではなく、少なくともその前後関係を鑑みた運営をすることが重要であるとお伝えしました。

「コンタクトセンターの未来を考えるセミナー」の模様
セミナーで講演した資料の一部

なぜ今CMOという役職が再評価されるのか?

出所:ガートナージャパン「日本国内におけるCMOに関する調査結果」

“特定の顧客接点単体ではなく、前後関係を鑑みた運営”を実践しようと思うと、必然的に複数の異なる部門がこの運営に密接に関わらざるを得なくなります。このように部門横断的な施策の実行がこれまで以上に強く求められていることもあり最近はChief Marketing Officer(以下CMO)の役割が改めて評価されてきているようです。

中央大学の田中洋先生はマーケティングジャーナル(2017.1.10号)で次のように述べています。“2006年当時23.2ヶ月だったCMOの任期は,2013年に45ヶ月に伸びている。”

また、ガートナージャパン株式会社の調べによれば、CMOあるいはそれに準ずる役割を担う役職が存在する企業は2013年の25%程度から2015年には40%弱に増加しているそうです。マーケティングに特化した組織と責任者の必要性・重要性が強く認識されている結果であると考えます。

鍵となるマーケティングとカスタマーサポートの融合

前述のようなCMOが再評価されている影響は、単に兆候としてではなく、私たちが普段接する施策レベルにもおよんでいると感じています。

具体的には、マーケティングや広告/デジタルコミュニケーション系のセミナーの講演内容に「カスタマーサポート領域における事例」が散見されるようになってきていることが挙げられます。

これまでこのような系統のセミナーでは、カスタマーサポート領域の話題は殆ど含まれていませんでした。なぜなら、施策を実行していく上でコンタクトセンターを中心とするカスタマーサポート領域の機能は重要ではなかったからです。このようなセミナーに行くと私は必ず「コンタクトセンターはマーケティングや顧客コミュニケーションに役立つ重要なチャネルだと思うが、どう考えるか?」という趣旨の質問を投げかけていました。 講演者は“重要だと認識している”という回答はするものの、コンタクトセンターを絡めた具体的な施策イメージを持っているかと言えば、必ずしもそうとは言えないことが多かった印象です。

しかし、前述の通り、マーケティングや広告/デジタルコミュニケーション領域の施策はコンタクトセンターを中心とするカスタマーサポート領域の顧客接点をスコープに確実に入れてきていると感じています。おそらく、AIを活用した顧客対応やチャットボット(自動応答)の実装事例がカスタマーサポート領域を中心に先行していることや、「LINE」を中心とする対話型のコミュニケーション活用の可能性が見えてきたことが背景にあるのではないかと考えています。いよいよ、マーケティングとカスタマーサポートが融合する時が来ていると言えるのかもしれません。

コンタクトセンターはCX実践の中心へ

CXはそれを運用する枠組みだけではなく、そこに血を通わせなければ全く機能しません。
カスタマーサポートを行っている我々は「顧客接点運営のノウハウ」と「暗黙知を含めた大量の顧客反応に関する情報」を保有していることを考えるとCX実践を中心的に担っていけるはずです。
マーケティングや広告/デジタルコミュニケ―ションの単なる受け皿としてではなく、CX実践に能動的に関わっていきたいものです。

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