現場カイゼン
顧客接点の担い手だからできるコンタクトポイント戦略<前編>
課題解決の提案から運用まで伴走する【ビジネスデザインパートナー】 ▲CX企画グループ 松本さん(左)、CC営業課 若林さん(右)
人口減少、物価高、未曾有の感染症など、企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、いかに経費を削減して売り上げを伸ばしていくか、各企業とも日々、さまざまな施策に取り組んでいることと思います。
そのような中、TMJが新たに掲げているサービスコンセプトが【ビジネスデザインパートナー】と【オペレーションDX】です。今回は前編として、既存のコンサルティングとは一線を画し、BPOを担うTMJだからこそ分かる企業の課題を共有し、タイムリーな施策を提案、共に運用していくという、まさに、クライアントと共に伴走しながら事業課題を解決していく【ビジネスデザインパートナー】の事例をご紹介します。
今回は、クライアント企業と共に取り組みを行っているCX企画グループの松本さんと、CC営業課の若林さんにお話を聞きました。
クライアントと目線を合わせる
──まずは、お二人が担当しているクライアントが抱えている課題について教えてください。
松本:私が担当しているクライアントは、会員向けサービスを提供しているので、サービスや商品を通じて会員のお客様をいかにしてファンにするのか、長くお付き合いをしていただくかというところを重要視していらっしゃいます。
若林:全ての課題は「お客様に利用を継続していただくこと」につながっています。この視点をぶらすことなく、さまざまな施策を提案しています。
松本:クライアントと同じベクトルと課題認識を持って業務に当たることを常に意識し、一番に心掛けています。
課題解決のための5つの施策
──クライアントの課題解決のために、具体的にどのようなことに取り組みましたか?
松本:私たちが提案し、クライアントと共に運用している施策は①自己解決促進、②問い合わせエフォートレス、③人のサポートによる価値提供、④プロアクティブ・アプローチ、⑤統合VOCの5つです。
「自己解決促進」と「問い合わせエフォートレス」はDXを活用し、システム化した領域です。「人のサポートによる価値提供」と「プロアクティブ・アプローチ」は、人による価値を進化させた領域となり、全ての施策を「統合VOC」で支えるという構造です。
若林:これらの施策は5~6年の間に少しずつクライアントと共に積み上げていったものです。その時の状況を分析した上で、何に取り組むべきか、最適な順番で進めていきました。
──5つの施策の中で、まず取り組み始めたのはどのようなことですか?
松本:まずは、人でやるべき事とシステムでやるべき事のすみ分けでした。過去の業務の傾向から振り分けていった結果、システムに委ねるものは、お客様が素早く回答が欲しいもの、いわゆる1問1答型でお客様の困りごとが解決するものです。 一方、人ならではのサービスとしては、お客様一人一人に合わせた高品質な対応です。
──施策のすみ分けを行い、それから一気に進めていったのですか?
若林:あれもこれも一気に進めるのは難しいと思います。まずは、お客様の問題の即時解決とエフォートレスを目指して、DXでの対応や、その体制作りを始めました。その基盤ができた上で、次に人によるオペレーションの提供価値を高める活動にも着手を開始しました。
──なぜ、そのプロセスになったのでしょうか?
若林:クライアントと十分に議論を重ねた結果です。クライアントは、まず、お客様が知りたいことが分かるエフォートレスな環境を整えることが、継続利用の第一歩だと考えておられ、我々も同意でした。
松本:エフォートレスについては、いろいろなアプローチで取り組みましたが、代表的なのはチャットボットの導入です。1問1答型で解決できるよくある問い合わせには、よりスピーディーに、24時間いつでも回答が返ってくる環境を作ることで、お客様の利便性の向上を目指す必要があります。そこでチャットボットを導入しDXを推進することが最適であると考えました。このチャットボットも導入したらそれで終わりではなく、運用しながら問題点を修正していき、導入の効果を出すのに3、4年掛かりました(※詳細は後編でご紹介します)。
業務効率化は人による価値を高めるチャンス
──エフォートレスが進んだことにより、どのような変化が生まれましたか?
松本:「人とシステムのすみ分け」が進むにつれて、当初の目的通り人で対応するべき内容が電話に流れるようになりました。業務が効率化されたことはもちろんですが、オペレータへの育成もそれに合わせて変えていきました。
従来、オペレータの育成に関してもエフォートレスが第一と考えられていたので「手続きをするための育成」に時間が費やされていました。それが、チャットボットなどシステムを導入することにより業務が効率化されたので、オペレータの時間に余裕を生み出すことができました。これが一番大きな変化です。
──育成はどのように変わっていったのでしょうか?
松本:より人にしかできないことの価値を高めていくことの育成に注力していきました。1本の電話でお客様が知りたいことに応えていくためには、必ずしも一律のオペレーションがベストではなく、個々のお客様の課題に寄り添い、傾聴し真のニーズを掘り下げた上での個別提案を提供できる力が必要です。これを私たちは【個別対応力】と呼んでいます。この個別対応力を高めるための人材育成によりパワーシフトしています。
若林:クライアントの最大の課題は、お客様の継続です。そのため、個別対応力もそこにフォーカスする必要があります。退会を考えているお客様が、問題を解決でき、継続してサービスを受けていただけるようになるための提案をしていく。そのためには、お客様のニーズを深く聞き出し、お客様に合ったサービスや使い方を提案していくスキルが必要になってきます。そのスキルを身につけるための手法を体系化して研修をし、新しく入ってきたオペレータでも短い時間でその領域にたどり着けるように推し進めています。
松本:クライアントからも、「人(オペレータ)が財産だ」と言われていました。その財産である人が、何をすることがお客様にとって一番よいか、クライアントと同じ目線で取り組みを進めることができました。
【ビジネスデザインパートナー】だから提供できる価値
──この施策を取り組んだことによって、クライアントはどんな成果を得ることができたと思いますか?
若林:クライアントが課題解決によって得たい成果は、当然、「コスト効率化」と「売上向上」の2つです。コスト効率化については、チャットボットなどのシステムを導入することにより効率化が図られ、人件費も削減することができました。
ただ、売上向上については、我々の施策がどのくらい貢献しているのか、実感しづらい領域だと考えています。人による価値を高めることで、顧客満足度を向上することはできていますが、顧客満足度の売上への貢献度はクライアントには分かりません。
そこで私たちは、しっかりと数字で成果を示してきました。クライアントのビジネスは継続を最大の課題としますので、顧客満足度と継続率の相関関係をできるだけ定量的に示し、成果を提示することも我々の役目のひとつだと考えています。
成果が出る施策を提案できる理由
──他社にないTMJだからできる強みはどんなところにあると思いますか?
松本:お客様最前線で顧客接点を担わせていただいているところだと思います。お客様の声を直接聞くことにまさる武器、強みはないと思っています。我々が把握しているコールセンターのVOCに、クライアントの理解もあって電話以外のチャネルで収集したお客様の声を加えることができるようになり、統合されたVOCを包括的かつ、より精緻に分析することができるようになりました。その結果、私たちはより強い武器を手に入れています。これを活かして、クライアントのサービスがよりよいものになるように、ますます努力していかなければいけないと考えています。
若林:TMJはBPOベンダーなので、クライアントの社員の方々が行っている業務を受託しています。そのため、私たちが提示する業務上の課題は推測ではなく、実際に業務を遂行する中で見えているものなのです。そして、その課題に対して、私たちはシステムを使った解決方法を考えたり、TMJが携わったさまざまな企業の業務の中で培った多岐に渡る改善事例と照らし合わせたりして、今、見えている課題の実態に即した提案を行っていきます。そのため、より効果の高い提案となっているわけです。
松本:もちろん、施策を始めれば簡単に成果が出るというものばかりではありません。壁に当たることも多々ありますが、その都度 クライアントと共に考え、粘り強く改善、運用を続けていきますので、確実な成果に繋げることができる。これも、【ビジネスデザインパートナー】の強みかもしれません。
──他社提案して終わりではないのですね。
松本:どんな施策でも、結果が出るまでに時間がかかります。あるいは、短期的に結果が出ても、その結果が狙った成果ではなかったり、成果が継続されずに落ち込むこともあります。クライアントにはそのこともしっかり理解していただき、共に長期的な目線でさまざまな取り組みを行っています。
──今後、クライアントにどのような価値を提供していきたいと思いますか?
若林:私たちは、ただ委託を受けて業務を行っているとは考えていません。クライアントが目指す価値を一緒に考えて施策を打つ、というところが一番の強みだと思いますので、今後も同じ課題を共有して解決に向けて努力していきたいと思います。
松本:私も同じような感覚を持っていて、クライアントのお客様は自分たちのお客様だと捉えています。だからこそ、【ビジネスデザインパートナー】というネーミングのサービスコンセプトなのだと思います。ですから、今後もパートナーとして同じ視点で課題をとらえて、業務改善に取り組んでいこうと思います。
──【ビジネスデザインパートナー】は、クライアントが求める価値を共に創造していく、というサービスコンセプトだということがよく分かりました。興味があるという企業様も多いと思いますが、検討したいと思った場合、どのようにすればよいでしょうか?
松本:まずは、お気軽にご相談いただければと思います。例えば、目的は分かっているけれど、どんな手段を講じればよいのかわからない、という場合でも一緒に考えていくことが可能です。是非、お声掛けください。
──ありがとうございました。今回は、企業の課題に提案から運用まで伴走する【ビジネスデザインパートナー】についてお伝えしました。
<後編>では、【ビジネスデザインパートナー】として取り組んだ、システム導入に留まらないデジタル活用【オペレーションDX】の詳細について、今回触れたチャットボットの運用などを含め、引き続き、松本さんと若林さんにお話を聞いてまいります。
【動画】コンタクトポイント戦略
お二人がどのような思いで取り組んだかをお伝えする動画コンテンツもご用意していますので、是非ご覧ください。
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