BPOの基礎知識
CX(顧客体験価値)を高め、顧客満足度を向上させる要素のひとつとして注目されているキーワードのひとつが「エフォートレス」です。お客様に寄り添うコンタクトセンターでも重要視されている要素の一つです。今回は、「エフォートレス」とは何か、コンタクトセンターでも重要視されている背景やエフォートレスな体験を実現するための取り組みについて解説します。
エフォートレスとは
エフォートレス(effortless)とは「努力を要さない」ことを指し、ビジネスにおいてお客様が商品やサービスを利用する際に使う時間や労力が少ないことを意味します。
そして、商品やサービス利用時のお客様のストレスを最小限にし、快適に利用できることはエフォートレスな体験とも呼ばれています。企業はお客様にエフォートレスな体験を提供できるように、「先回り」してお客様の不安や不満を取り除くことが求められています。
コンタクトセンターでエフォートレスな体験が重要視されている背景
エフォートレスな体験はコンタクトセンターでも重要視されています。お客様からの問い合わせ窓口として疑問や不安を解消するコールセンターでなぜ重要視されているのか、ここでは3つのポイントから解説します。
最初の顧客接点としての重要性
コンタクトセンターはお客様対応窓口として、お客様と企業の最初の接点になるケースも多いため、マイナスな体験を最小限に抑えることがその後の行動へのスムーズな移行につながることが期待されます。
電話をはじめ、メールやチャットなどさまざまなチャネルを通して、コンタクトセンターではお客様からのお問い合わせに対応します。お客様の不安や疑問をスピーディーに解消し、エフォートレスな体験を提供することで、顧客満足度の向上につなげることができます。そして、商品やサービスを継続的に利用される可能性も高めることができるのです。
CX(顧客経験価値)の向上に貢献
エフォートレスな体験はCX(顧客体験価値)(※)の向上への貢献も期待されています。商品やサービス自体から得られる体験だけでなく、購入後や利用中におけるサポート体制での体験も顧客満足度を高め、CXの向上につながる大切な役割を担っています。
そして、コンタクトセンターでの的確な対応でお客様にとって心地の良い体験を届けることで、他社との差別化につなげることができます。
カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?企業が重要視したい新たな価値観
※CX:「Customer Experience」の略称で、お客様が商品やサービスを利用した際に感じた満足度や感覚的な価値。
株式会社TMJでは、株式会社ベネッセコーポレーション様の通信教育事業を支えるお客様窓口でのエフォートレスな体験の提供に向けて、CX向上に向けた多角的な取り組みに尽力しています。
事例の詳細は、<こちら>。
ロイヤルカスタマーの存在
エフォートレスな体験は、ロイヤルカスタマーを増やすことにもつながります。
ロイヤルカスタマーとは、商品・サービス・企業に愛着心をもっているお客様のことを指し、ファンのような存在ともいえます。一度限りの購入や利用でなく、継続的に購入や利用に至るロイヤルカスタマーの存在は、安定的な収益をあげる上で欠かせません。
エフォートレス体験を通じて、商品やサービスに関する不安や不明点を解消できる環境を整えることはロイヤルカスタマーを増やすことにつながるのです。
エフォートレスな体験を実現するための取り組み
コンタクトセンターにおいてお客様にエフォートレスな体験を実現する上で、具体的にどんな取り組みがあるのでしょうか。ここでは、エフォートレスな体験につなげる具体的な取り組みを株式会社TMJのサービスを交えながらご紹介します。
カスタマージャーニーマップの活用
カスタマージャーニーマップを活用し、お客様が商品やサービスの購入や利用に至るまでとその後の状況を把握することはエフォートレスな体験を提供する上で大切です。
カスタマージャーニーでは、お客様の現状を把握した上で理想とするお客様の行動を描くことで自社の課題を洗い出し、最適な顧客体験に向けた改善に取り組むことができます。
顧客視点を大切にするカスタマージャーニーマップとは?基礎知識を解説
お客様にとって、必要以上に時間や労力が発生しているフェーズがないか見直すことができます。
株式会社TMJでは、カスタマージャーニー調査支援サービスを提供しています。コンタクトセンターに寄せられるお問い合わせデータやWEBサイトでのログデータなどから現状のカスタマージャーニーマップを描きます。そして、関係者間でワークショップを開催し、理想のカスタマージャーニーマップを描くことで、改善に向けてどんな取り組みが必要か改善策の実行まで支援します。
VOC(顧客の声)の分析
VOC(顧客の声)を分析することで商品やサービスにおける課題を見極め、エフォートレスな体験の提供につなげる改善に取り組むことができます。
VOCをベースに改善策に取り組むことで、お客様のニーズに合った取り組みにつながり、顧客満足度の向上にもつながります。
VOC(顧客の声)とは?VOC収集から分析・活用までポイントを解説
VOCは電話、メール、チャットなどさまざまなチャネルから収集できる一方でデータが膨大な量になるため、いかに有益なデータを効率的に抽出し、分析につなげられるかが重要となります。
株式会社TMJでは、AI-VOC分析サービスを提供しています。AI技術とテキストマイニングを組み合わせた分類・分析を行うことで、効率的に精度の高いVOCを抽出することが可能となります。VOCの収集や分析だけでなく、エフォートレスな体験につなげる活用に向けてのご提案までサポートします。
顧客接点の見直し
電話やメールだけでなく、チャットボットやFAQサイトの設置などお客様によって最適な問い合わせチャネルは異なります。そのため、カスタマージャーニーマップの活用やVOC分析を通して顧客接点を増やしたり、既存の顧客接点の在り方を見直したりすることでエフォートレスな体験を実現することができます。
株式会社TMJでは自動応答とオペレーターによるチャット対応を組み合わせたチャットサポートやFAQシステムの導入から運用・改善までサポートするFAQインテグレーションサービスなどコンタクトセンターだけでなく、企業の課題に合わせて顧客接点を創出するサービスを展開しています。
応対品質の現状把握
コンタクトセンターにおいて、応対品質はエフォートレスな体験を叶える上で重要な要素です。現状の応対品質を把握し、改善ポイントを明確にすることでお客様対応の品質を高めることができます。
株式会社TMJでは、これまでの業務運営ノウハウに基づいた独自の応対品質診断やお客様の視点から応対品質を評価するミステリーコールサービスを提供しています。
【成功事例】FAQを「検索させない」導線設計でアクセス性を大幅改善
実際にエフォートレスな体験を実現させるために改善活動を実施し、成功した事例を紹介します。改善を行ったのは、あるメーカー系企業が公開する月間閲覧回数100万件越えのFAQサイトのヒット率です。当初、8万回あった月間キーワード検索回数のうち35%が、検索結果が見つからない「0件ヒット」の状態でした。
※0件ヒット:キーワード検索をしたときに答えが準備されていなかったり、変換ミスや誤字脱字をしたりすることが原因で、検索結果が0件になってしまうこと
まず行ったのは、検索キーワード分析を行って対策を立てる「0件ヒット」を無くす取り組みでした。この取り組みを終えた時点で0件ヒット率は25%まで改善。しかし、それでも2万人の顧客が答えにたどり着けていないことになります。さらなる改善のために行ったのが「検索させない」導線設計です。
具体的に行ったのは、顧客をセグメント分けして、ステータスに合わせた「問題が発生しそうなポイント」を集約してFAQへの導線にすることです。サービスを利用し始めたばかりの初心者向けには知識不足でもキーワード検索をしなくて済むよう、問診のようなFAQを設置。日常からサービスを使い込んでいて情報リテラシーの高いベテランユーザーには、初心者向けの情報を見ることなく、最短距離で答えにたどり着けるような導線を設置しました。
その結果、FAQのキーワード検索回数が月間8万件から3万件に減少し、0件ヒットになってしまう顧客の数は7,500人まで減少しました。
FAQを「検索させない」導線設計でアクセス性を大幅改善した事例
また、映像サポートサービス「みえサポ」では、お客様の状況をスマホの映像で確認しながらサポートを行うことでお客様が口頭で説明する手間を省き、問い合わせの解決につなげています。
エフォートレスな体験に着目した新たな取り組みを
エフォートレスな体験の実現に向けて新たな視点を取り込むことで、より良い顧客体験の提供につなげ、顧客満足度を高め、企業の収益アップにも寄与します。
株式会社TMJでは、企業の課題に合わせてエフォートレスな体験につなげるサービスを幅広く提供しています。ご検討の際は、ぜひご相談ください!お問い合わせは、<こちら>。
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