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現場カイゼン


初回投稿日 : 2023/04/12

TMJの現場と専門家チームが一丸となって挑んだ「入電削減プロジェクト」【前編】

クライアントの「目指す姿」実現に向けて道筋や打ち手を一緒に考える「ビジネスデザイン」。TMJ独自の解決手法とは

会社や部門としての「目指す姿」はあっても、それを実現する道筋や打ち手が見いだせない――。TMJは、そのような状況のクライアント様に伴走し、現状把握からDX施策の実装まで共にゴールを目指しています。いかにして実現可能な施策を見極めゴールまでの道筋を描き、現場の実装まで行うのか。この記事では2011年10月から始まり、さらなる改善を目指して現在も進行中の「入電削減プロジェクト」を取り上げます。
プロジェクト開始当初から担当を務める、株式会社TMJ サービスデザイン室 デジタルオペレーションセンターの井上正博さんと竹下典子さんに話を聞きました。

「入電削減」という命題から、ヒアリングで現状と課題を把握

——入電削減プロジェクトが始まった経緯について教えてください。

井上:クライアント様は、ここ数年で急成長されている大手インターネット銀行の企業様です。今後のさらなる事業拡大を見据えてリソースの最適配分を行うため、入電数(コンタクトセンターにかかってくる問い合わせの数)を削減したいというご依頼をいただきました。それを実現するための道筋や打ち手をデザインし、実装までの伴走をしていくにあたり、まずはヒアリングでクライアント様の現状を把握することからスタートしています。

——ヒアリングではどのようなことを心掛けていますか。

本件に限らず、ご依頼の多くはクライアント様の上層部からサービスの「目指す姿」が提示され、そこに近づくための改善スキームを弊社がご提案し、施策を一つひとつ実行していくケースがほとんどです。

そのためヒアリングでは担当者様のお話をお聞きした上でさらに、ご依頼に至った背景や上層部の方々のお考えまで想像し、現状見えていない問題までできる限り言語化して、施策提案に繋げることを心掛けています一方で、弊社からご提案する施策がエンドユーザー目線で見た時に本当に使いやすく、役立つものになっているかどうかという視点も大切にしています。クライアント上層部・担当者、そしてエンドユーザーそれぞれを結び付けた最適解を導き出すのが「ビジネスデザイン」だと考えています。

「パフォーマンスレポート」作成とプロジェクトリーダーの出向を提案

——本件のヒアリングで見えてきた課題はどのようなものだったのでしょうか?

井上:クライアント様社内では、すでに数々の施策を打たれていらっしゃいました。具体的には、FAQ、チャット、ビジュアルIVR(自動音声応答システムのガイダンスを、スマートフォン上で可視化したシステム)の導入、Webページの改修などに着手されていました。しかし、期限まで入電削減を最優先せざるを得ない中で、それぞれの施策別の効果検証が充分に行えない状況でした。さらに、併行して複数の施策を走らせているため、どの施策がどの問題に有効なのかを見極められず、何に注力すれば入電削減にたどりつけるのかが明確ではなかったのです。

そこでまずご提案したのが、これまでの施策の効果検証ができる「パフォーマンスレポート」の作成です。

——どのようなものか、詳しく聞かせてください。

井上:パフォーマンスレポートは、電話対応システムやFAQシステムのログなどを加工し、一元的に見られるようにリストとして整理したものです。これまでの施策が各チャネルにどのような影響を与えたかを横断的に見ることができるので、今後の施策の推進において、優先度が高い課題の洗い出しができるようになります

井上正博さん

しかし、レポート作成をするにあたり、ひとつ大きな問題がありました。クライアント様が扱っているデータは機密性が高く、外部とは共有できないデータが多いこと、データを外部と共有できるような形に加工していただくことも、リソース不足で難しいことが分かったのです。

そこで、弊社のメンバーがプロジェクトリーダーとしてクライアント様のコンタクトセンター管理部門に出向し、レポート作成のためのデータの収集・分析を行うことになりました。

各分野のエキスパートが最適なフォーメーションを組み支援にあたる

——クライアント様の状況に寄り添ったご提案ですね。

はい。弊社がご提案するサービスは、パッケージングされたものだけにとどまりません。クライアント様の状況やニーズに合わせ、専門的なスキルを持った人材を集めたチームを組成し、その体制もご提案しています

今回はプロジェクトリーダーとして竹下、私を含めた後方支援スタッフ、さらにクライアント様のコンタクトセンター内部に派遣したメンバーも加え、10名弱のチームを作って対策に取り組みました。

——竹下さんはどのような役割で参加されたのですか?

井上:エンドユーザーであるお客様の利便性を担保しつつ、入電削減を実現するには、お客様の疑問を解決する手段を電話からWebへ誘導する「チャネルシフト」という方法があります。

例えばキャッシュカードを紛失した時、WebのFAQに解決方法がわかりやすく紹介されていれば、コンタクトセンターへの問い合わせが減らせるというケースがあるのですが、それにはデータ収集とFAQ施策を同時に走らせる必要があります。そこでFAQ改善のプロフェッショナルであり、データ分析が得意な竹下が出向することになりました。

——TMJのコンタクトセンタースタッフも一緒に派遣されたのはなぜなのでしょうか?

井上:竹下はFAQの知識はありますが、コンタクトセンター業務の知識はありません。改善のアイデアは出せても、その実装が現実的かどうかは現場のSVにアドバイスをもらう必要があります。現場業務に関わるスタッフから知識やノウハウを共有してもらうことで竹下自身も業務プロセスを深く理解し、より精度の高いご提案をアウトプットしていくためでした。

弊社にはコンタクトセンターの現場業務を担う部門だけでなく、センター自体の立ち上げや、セルフチャネル(Web)など各分野の専門家チームがあります。そうした各分野のエキスパートとチームを組んで支援に入り、クライアント様を強力にバックアップできることも、弊社の強みのひとつです。

——クライアント様の課題に対し、最適なフォーメーションで臨むことができるということですね。

プロジェクトチームに働きかけ、判断基準を感覚値から数値へシフト

——竹下さんは出向されて、まず何から取り組まれたのでしょうか。

竹下:パフォーマンスレポート作成のためのデータを探すために、まずは各施策が立ち上がった時に在籍していた方にお話を聞くことから始めました。取得できそうなデータがあるかを聞いてデータを探し、その後の施策がどのデータに基づいて立ち上げられたものなのかを確認し、各種データと見比べていきます。すると、効果が出ているものとそうでないものがおぼろげながら見えてくるのです。

竹下典子さん

データを起点に立ち上げた施策は、いつでもそこに立ち戻ることができるので効果検証がスムーズに行えるのですが、逆に言うと始めにその仕組みが作れなければ、効果検証は非常に困難なものになってしまいます。

出向先の部署の方々はフットワークが軽く、次々に改善案が出てくるのですが、現場の感覚に重きをおいた定性的な会話が多い印象でした。そのため私から話をする時は常に数値を交えて話すことを心掛け、新しい施策を実行に移す時には、必ずデータを取っておいていただくことをお願いしていました。

TMJは以前からデータドリブンの意思決定を重要視してきましたが、その視点はクライアント様の課題解決においても大切であることを実感しました。

——クライアント様内部のプロジェクトチームの価値や判断基準を、現場感覚からデータへシフトすることにも貢献したのですね。

後編に続く

対談は後編につづきます。後編では入電削減に向け、現場の運用継続を意識したTMJ独自のDX実装の詳細、さらには今後の展開や意気込みについて引き続き実行チームの2人に語ってもらいました。

TMJの現場と専門家チームが一丸となって挑んだ「入電削減プロジェクト」【後編】

【動画】入電削減プロジェクト

「入電削減プロジェクト」における取り組みや、担当者の思いをまとめた動画です。こちらも併せてご視聴いただけますと幸いです。

執筆者紹介

ビジネスのデザイン力で、事業の一翼を担うBPOパートナーのTMJ。将来にわたる経営環境に最適なビジネスプロセスを設計し、事業を代替することで、クライアント企業の継続的な事業成長を総合的にサポートしています。

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