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BPOの基礎知識


初回投稿日 : 2020/08/19
最終更新日 : 2022/05/25

SLAとは?意味やSLOとの違い・コールセンターにおける評価指標を解説

SLA

各種サービスを委託する際、「SLA」と呼ばれる合意書を交わします。今回は「SLA」について、意味や締結のメリット、コールセンターにおける具体的な評価指標まで詳しく紹介。さらに、混同されがちな「SLO」との違いについて分かりやすく解説します。

SLAとは

SLAとは 「Service Level Agreement(サービス・レベル・アグリーメント)」の略称で、サービス提供者と依頼者の間で交わされる、「サービス品質保証」「サービスレベル合意書」を指します。契約文書においてSLAは「契約書の付属資料」という扱いが一般的です。

「SLA」は、もともとネットワーク通信事業者の技術用語として広まりました。インターネットが誕生した当初、通信網が未整備だったため、データ転送速度が頻繁に低下したり、通信障害からの復旧に時間がかかったりして、ネットワーク接続が不安定な時期がありました。このような不安定な状況を改善するため、ネットワーク通信品質を保証するSLAが作られました。障害発生時のサービス停止時間の上限値や通信速度の下限値(Service Level)などのネットワーク品質について、サービス提供者とユーザーとの間で合意(Agreement)がなされ、ユーザーの立場に立ったサービス体制が構築されたのです。そして、通信回線を提供するだけでなく、その品質を保証するという概念が生まれました。SLAを締結することにより、「不透明さの解消」が実現しました。

SLA締結のメリット「確保される3つの透明性」

SLAを締結することによって3つの透明性が確保されます。不透明さを解消することにより、提供サービスにおける責任範囲の明確化利用者の期待値調整が可能になるだけでなく、競合企業との差別化を図ることができます。

① サービス内容や提供範囲

まず、サービス提供者が業務として提供するサービス内容や業務の範囲を決めます。次に、提供するサービスについて、サービス提供者と依頼者の責任範囲を明確にした役割分担を決めます。サービス提供者が委託された業務であっても、サービスを円滑に提供する上で依頼者と協働し、その際の役割を明確に決めておく必要があります。

② サービス品質のレベル

サービスの品質を保つために、客観的な指標と数値を設定します。評価する指標の項目と、その項目について測定可能な定量的なレベルを決めます。サービス品質レベルを決めるときのポイントは測定可能な「量」を決めることです。のちほど、コールセンターの品質レベルの指標について詳しく解説します。

③ 運営ルール

SLAで明示されたサービスレベルを維持していくためのPDCAサイクルを具体的に運営ルールとして設定します。たとえば、コールセンターの場合、オペレーター(※)の対応内容がサービス品質につながります。オペレーターが各自に求められているレベルを満たしているのか、依頼者に運営状況のレポーティング(報告)や改善活動をどのように伝達するのかなどを細かく決めていきます。
※オペレーター:コールセンターにおいて、顧客からのお問い合わせに対応する担当者。

SLAの評価指標

ここからは、サービス品質を保証する上での具体的な評価指標について、コールセンターでの一例を取り上げて解説します。コールセンター業務の中でも入電(※)対応を行う「インバウンド」と呼ばれる業務で活用される指標に焦点を当てています。
※入電:顧客より問い合わせなどの電話がかかってくること。

サービスの品質指標

コールセンターの場合、電話で顧客からの問い合わせに対応するというサービスの性質上、電話のつながりやすさは非常に重要です。このようなサービスの品質を保証する指標として、応答率とSLが挙げられます。

応答率

応答率とは、着信があった入電数の中で、実際にオペレーターが応答できたコール(電話)の割合を指します。応答率は、高いほど電話がつながりやすいことを意味しています。

SL

SLとは、「Service Level」の略称で、一定時間内にオペレーターが応答したコールの割合を指します。たとえば、着信から30秒以内に80%応答することが指標の場合、「80/30」という形で表記されます。応答率と同様に、SLは高いほど電話がつながりやすいことを意味しています。顧客からの入電にいかに迅速に応答できたかを測ることができます。

応対の品質指標

オペレーターの応対の正確さや丁寧さを保証する応対の品質指標として、モニタリングスコア・一次解決率・ミス率が挙げられます。応対のクオリティが高い場合、顧客満足度の向上にもつながります。

モニタリングスコア

モニタリングスコアとは、言葉遣いや応対内容など複数の評価項目のスコアを合算した取得点数を指します。モニタリングスコアが高いと、顧客のニーズに応えた回答がされているととられ、高評価であるといえます。

一次解決率

一次解決率とは、顧客からの最初の入電で、転送やコールバックをすることなく顧客の問題を解決することができた割合を指します。一次解決率が高いと、顧客からの問い合わせに的確な応対ができていることを意味し、高評価であるといえます。

ミス率

ミス率とは、ミスの割合を指します。重大なミスとそうでないミスで分けて計測することが多く、ミス率が高い場合、管理体制に問題がある可能性もあるため、オペレーターだけでなく、管理体制自体も見直す必要がある場合があります。

生産性の指標

コールセンターの生産性を測る指標として、CPH・ATT・ACW・AHT・稼働率が挙げられます。これらの指標を意識することで、コールセンターの生産性を高めることができます。

CPH

CPHとは、「Call Per Hour」の略称で、1人のオペレーターが1時間で対応したコール数を指します。CPHが高いほど、時間内により多くの電話に応対していることを意味し、生産性が高いといえます。また、オペレーターの生産性を測る指標としても活用されています。

ATT

ATTとは、「Average Talk Time」の略称で、1コールあたりの平均通話時間を指します。ATTが短いと、同じ期間でより多くの応対が可能となり、コストの削減にもつながります。

ACW

ACWとは、「After Call Work」の略称で、1コールあたりの後処理にかかった平均後処理時間を指します。オペレーターは、電話応対後にシステムへの入力や依頼内容に合わせた手続き処理など顧客対応以外の業務もあります。それらの業務にかかった時間をACWで測っています。

AHT

AHTとは、「Average Handling Time」の略称で、1コールに要する平均処理時間を指します。通話時間だけでなく、保留時間や後処理時間を含めた時間の平均値となります。AHTの短縮はコスト削減だけでなく、サービスの品質向上にもつながります。

稼働率

稼働率とは、オペレーターが給与の発生する期間の中で顧客対応業務にあてられた割合を指します。顧客対応にあてられた時間は生産時間、それ以外の時間は非生産時間と呼ばれています。生産時間には、コールの通話時間・後処理時間・保留時間が含まれ、非生産時間には、研修やミーティングなどの顧客対応以外にあてた時間が含まれます。

稼働率が低すぎる場合は、コールセンターの生産性が低いと懸念されます。一方で、稼働率が高すぎる場合は、休憩やオペレーターの育成に十分な時間が確保されておらず、ストレスフルな環境になっていることが懸念されます。そのため、一般的な理想は80%~85%だといわれています。

コストの指標

コストを測る指標として、CPCが挙げられます。

CPCとは、「Cost Per Call」の略称で、1コールの対応にかかるコストを指します。オペレーターの人件費や通信費などを含めたコールセンター全体の経費を用いて計算します。CPCが高すぎる場合、コールセンターの運営体制の見直しが必要になるケースもあります。

SLAとSLOの違い

SLAと似た用語に「SLO」があります。これは、Service Level Objectiveの略称で「エス・エル・オー」または「サービス・レベル・オブジェクティブ(目標)」と呼ばれています。

SLAでは、提供する品質レベルにおいてサービス提供者と利用者が双方で「合意」したものとなるため、設定指標を満たすことが前提となります。この設定指標が満たされなかった場合、サービス提供者にはペナルティが課される場合があります。そのため、SLAは現実的な指標として慎重に選定する必要があります。

一方で、SLOは目標として設定されているため、必達が前提のSLAと異なり、SLAよりも高い数値(または指標)が設定されます。

また、コールセンターでは、SLO以外にKPIが活用されることもあります。KPIとは、「Key Performance Indicator」の略称で、企業が掲げた目標達成までの「プロセスの進捗度」を測る指標になります。KPIの場合は、「プロセスの進捗度」を測る管理指標になるため、品質保証指標のSLAとは評価の軸が異なります。

SLAで透明性の高い関係構築を

SLAは、サービス提供者とユーザーの双方に対し、サービスに関しての責任範囲が明確に表現されているので、透明性の高い関係構築が可能になります。最終的には、顧客へ高い品質のサービスを届けることにつながるため、しっかりと確認することが重要です。

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