国際的に、金融機関では金融システムを健全に維持して顧客に安全・安心に利用してもらうために、マネー・ローンダリングやテロ資金供与への対策として継続的顧客管理の取り組みを強化することが求められています。金融庁でも2021年2月に「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」を策定・公表し、金融機関に対して2024年3月までに対策を完了させるよう義務づけたことが背景にあります。
その実施内容の詳細とは、顧客情報や口座の利用目的を正確に把握すること、それらの情報について変更の有無を定期的に確認し、常に最新の情報を維持するためのメンテナンスを行うことです。
銀行であれば、個人顧客の場合は氏名・住所・生年月日・職業、そして取引の目的などのヒアリング・情報更新であり、法人顧客の場合は事業所の住所や事業内容、株主情報などのヒアリング・情報更新になります。クレジットカード会社であれば職業・勤務先・資産・収入の状況、取引に使う資金の原資や使途、利用先の加盟店と購入商品・サービスなどのヒアリング、国籍・在留資格・在留期間(満了日)の記載された本人確認資料を持つ顧客へのヒアリングなどです。
証券会社であれば、特定の国に居住・所在している顧客や特定の国と取引のある顧客、そして取引期間が空いている顧客に対するヒアリングを行います。これらのメンテナンスは、DM・SMSの送付や電話によるヒアリングによって定期的に行う必要があります。
金融庁は、期限を過ぎてもこれらの継続的顧客管理への取り組みが不十分だとみなされる企業に対しては業務改善命令や業務停止命令などの行政処分を出すことで、各企業による対策強化を促進することを狙いとしています。