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専門家コラム


初回投稿日 : 2019/12/17

話題のAI-OCR、RPAと組み合わせると何ができる?紙帳票の処理を自動化する際のポイント

さまざまなシーンでシステム化・ペーパーレス化が進んでいますが、手書きの書類はまだ多く存在します。紙の情報をデータ化することに人員を割いていては無駄なコストや機会損失につながりかねません。しかし、紙書類を廃止することが難しい部分があるのも事実ではないでしょうか。

そんな中、手書きの文字を高い精度で効率的にデータ化するAI-OCRが多くの企業で導入されてきています。AI-OCR周りの業務はRPAと相性が良く、組み合わせてより業務を効率化できる手段になります。

RPA×AI-OCRを業務工程に適用した通信販売の企業様での導入事例と、組み合わせる際のポイントをご紹介します。

AI-OCRとは

「うちには手書きの帳票がまだ多く存在しているんだけど、この処理をAI-OCRとRPAで自動化できないだろうか?」

最近、このようなご相談を多くいただきます。
AI-OCRの製品も洗練されてきて、導入事例が増えてきたことで注目を集めているのでしょう。

改めてですが、OCRとは「Optical Character Recognition(Reader)」の略で、日本語では「光学的文字認識」と訳されます。紙の文字をカメラやスキャナで読み取ることで、コンピュータ上で利用できるデジタルな文字列に変換する技術のことです。

昔はOCRといえば、主に活字(印刷された文字)の読み取りが関の山で、ちょっとした紙の傾きや印刷の位置ずれでも読めなくなってしまうものでしたが、機械学習によって手書きや傾きのある文字なども高い精度で読み取るAI-OCRが数年前に登場しました。
出始めた頃はオンプレミス (※1) 中心かつ事前学習が必要でしたが、今ではクラウド型で即導入可能なSaaS(Software as a Service)が多数提供されており、弊社でも複数社の製品を検証、使い分けて利用しています。

(※1) オンプレミスとは、お客様側で用意したサーバーにシステムをインストールして使用する運用形態のこと。

AI-OCRが注目される背景

RPA(Robotic Process Automation)の浸透が進み、PC上の定型作業を自動化していくにつれて、業務改革の必要性を感じる企業が多いようです。
その理由の一つが、社内の申請書、稟議書。社外の請求書、納品書、申込書などの「紙帳票の存在」です。
RPAはデジタルデータしか扱えないため、物理的な紙のやりとりが発生する場合、どうしても人の介在が必要となってしまいます。

「それなら紙をなくしてしまえばいい」と誰しもが一度は考えますが、これも一筋縄ではいきません。
ワークフローや電子商取引のシステム導入の検討にはじまり、取引先や顧客とのやりとりとなると相手との調整も発生することから、やむなく現状のやり方を続けざるを得ないという企業も多いのではないでしょうか。

そこで解決策となるのが、現状使用している紙帳票をスキャンし、精度を高くデータ化することができるAI-OCRというわけです。

AI-OCRの導入事例

弊社が受託しているデータ入力業務のAI-OCR活用事例をご紹介します。
テレビショッピング等の通信販売を手がける企業にて、注文商品の満足度を商品同梱のアンケートハガキにて収集。返送されてきたアンケートハガキのデータ入力をしています。

通信販売企業のアンケート入力業務プロセス

従来は人がダブルエントリー&コンペア (※2) していたところを、AI-OCRと人のコンペアに変更することで、年間で約2000時間の稼働削減を実現することができました。

(※2) ダブルエントリー&コンペアとは、同じ内容を2回入力して入力結果を突合する方式のこと。ヒューマンエラーによる誤入力を補正することで、品質の安定性を確保することができる。

読み取りデータサンプル

AI-OCRの文字読み取り例を一部ご紹介します。

▲受領したハガキに対して付与した、ナンバリングスタンプの通し番号。
スタンプ時にやや斜めに印字され、かつ滲み・汚れがみられるが正常に読み取れている。

▲ナンバリング番号や注文番号といった、原則数字しか発生しない項目。
この場合、読取属性に「数字」を指定することで、数字であることを前提に読取補正がかかり認識率の向上につながる。

▲自由記入の質問項目も、文章として補正がかかり認識される。

 

ほかにも、以下のようなケースでAI-OCRを活用することで業務負荷の削減が可能です。

・口座振替依頼書のデータ化
・発注依頼書のデータ化
・イベントや研修等の参加者アンケートのデータ化

「紙の帳票をスタッフが手入力している(業者へ委託している)」工程があれば、ボリュームと負荷度合いによってはAI-OCRの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

RPAとの組み合わせで得られること

AI-OCRソフトの操作や前後工程との連結においては、RPAが活用できます。
前述事例の業務プロセスにおいても、業務の規模感などにより費用対効果が見合うようであれば、下記のような場合、自動化の検討余地があります。

①スキャンしたデータが保存されるフォルダを監視し、データが格納されたら即時処理
②AI-OCRソフトへスキャンデータをアップロード、読み取り操作を実行
③読み取ったデータをクライアントへ納品する形式にする
④あるいは、読み取ったデータをそのままシステム入力する

ただ、③④のように読み取った結果を後工程にそのまま流用することは、読み取り精度を全面的に信頼することとなります。
たとえ、読み取った結果に誤りがあったとしてもそのまま後工程に流れてしまうこととなり、非常にリスキーです。

AI-OCR×RPA、組み合わせるうえでのポイント

RPAを導入する際、どうしても「完全自動化」を目指してしまいがちです。
業務改善の最終形として目指す姿としては正しいものだと思いますが、最も大事なことは「人の対応余地を念頭に業務設計すること」です。

つまり、データを受け渡しするといった単純作業はロボットに任せる一方で、入力結果の照会・修正を人が行うことを前提に業務設計する。
RPAのメンテナンスや、予期せぬ停止に対してのリカバリー、入力内容の補正・修正といった人のマネジメントを考えて工数確保をしましょう。

まずは、自動化の目安として現状よりも6~7割の稼働削減を一旦のゴールに置くと、業務改善を進めやすいでしょう。

TMJでは、「人による対応を念頭に置いた業務の自動化」における業務設計・運用の実績が豊富にございます。
RPA導入や運用に関するお困りごとがありましたらぜひ、お気軽にご相談ください。

執筆者紹介

阿部 巧

株式会社TMJ 事業統括本部 東日本拠点
テーマ:業務可視化、BPR、RPA
コンタクトセンターの運営管理者を長年経験し、KPIマネジメントによる業務進捗管理・業務改善(BPR)のノウハウを体得。2017年より営業支援部に着任、新サービス・ソリューションの技術教育をする傍ら、業務改善ツールとしてRPAの知見を深める。2018年8月、RPA認定技術者(WinActor)エキスパート取得。また、個人としてもNTTデータが運営するRPA専門のQ&Aサイト「ユーザーフォーラム」で回答者活動に取り組み、ユーザーランキング上位にランクイン。「WinActorラウンジ2019」に登壇するなど積極的に活動している。社内外へのRPA企画・発信・推進役を担当。

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