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BPOの基礎知識


初回投稿日 : 2020/08/21

OJTとは?メリット・デメリットから現場導入時のイロハまで徹底解説

OJT

新人を即戦力として育てる効果的な教育手法として「OJT」を取り入れている企業が多くなっています。今回は、「OJT」とは何か、メリット・デメリットから現場導入時のポイントまで幅広く解説します。

OJTの定義

OJTとは「On-The-Job Training」の略称で、実際の業務に携わりながら仕事のやり方を学んでいく教育訓練の方法を指します。第一次世界大戦の際にアメリカの軍隊が取り入れた「4段階職業指導法」がOJTの前身といわれています。この指導方法は、高度経済成長期になって日本にも伝わり、1980年頃には、日本の企業でも本格的に社員教育のためにOJTが取り入れられるようになりました。日本におけるOJTではPDCAサイクルが重視されており、時代の変化に合わせて少しずつ改良が進められてきました。現状、多くの企業がOJTによる指導をおこなっています。

OJTは、新人社員や中途社員などの新人を対象として実施されています。そのため、主に職場の上司や先輩が指導者となり、業務の流れやノウハウを直接教えていきます。指導者を限定しない場合もありますが、OJTトレーナーやOJTリーダーなどの担当を明確に割り振るケースも珍しくありません。OJTでは最初に目標を設定し、そのうえで業務に取り組みます。そして、一定期間ごとに評価をおこない、改善を繰り返していきます。日々の業務の中での指導だけでなく、面談をおこなったり勉強会を開いたりすることもOJTの一部として含まれています。

なお、職場から離れた場所でおこなう研修は、OJTではなく「Off-JT」です。Off-JTとは「Off the Job Training」の略称で、座学やディスカッションなどを通して、業務に必要な考え方や意識などを学ぶ教育手法を指します。業務のタイプによっては、OJTだけではなくOff-JTも教育訓練として取り入れられています

OJTのメリット

OJTを取り入れた場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。OJTは多くの企業が取り入れており、一定の効果が認められています。ここでは、OJTのメリットについて解説します。

人事の業務コスト削減

現場にOJTを導入すれば、人事の業務コストの削減につながります。OJT以外の方法で教育訓練をおこなう場合、基本的に人事が研修の場を設けます。具体的には、研修環境を準備したり、講師を依頼したり、カリキュラムを作成したりする手間がかかります。

一方、OJTであれば、改めて研修の場を設けることなく教育訓練を実施できます。講師は職場の上司や先輩が務めるので、専門の講師を手配するためのコストもかかりません。そして、日々の業務の様子をみながら指導できるため、社員が成長しているか、実際の業務に役立てられているかしっかり確認できます。

時間の有効活用

OJTには、研修時間を削減し、時間を有効活用できる効果も期待できます。普段の職場以外で改めて研修をおこなうとなると、まとまった時間を確保する必要があります。また、社員の成長に役立つ内容を盛り込もうとすると、研修には長い時間が必要となります。その一方で、企業としては短期間で即戦力となる人材を育てたいという想いがあります。

そこで、OJTを取り入れることで、貴重な時間を有効に活用できます。研修のために職場を離れなくても、実際の業務に携わりながら仕事を覚えることができるのです。

実務へのコミット

OJTを取り入れた場合、より早いタイミングから新人が実務にたずさわる環境を作ることができます。指導を受ける社員は実際の業務に触れながら必要なことを学べるため、実践的な知識やノウハウを身につけやすくなります。もちろん、OJTとして新人に実務を任せれば、勝手が分からないうちは時間がかかったり、ミスをしたりすることもあります。とはいえ、人手が不足している職場では、少しでも新人に業務を任せたいというニーズもあるのではないでしょうか。OJTなら現場のニーズに合わせて新人にも業務を割り振りつつ、即戦力として育てることができます。

OJTのデメリット

OJTにはさまざまなメリットがある反面、デメリットもあります。ここでは、OJTのデメリットについて解説します。

現場の教育コスト

OJTは実際の職場の上司や先輩が新人の指導にあたるため、現場において教育コストがかかります。現場の社員が指導のための資料を用意したり、指導のために時間を割かなければならなくなったりします。指導者は自分自身の業務に加えて、OJTのために労力をかける必要があります。特にOJTトレーナーやOJTリーダーを設ける場合、指導にかかる負担が集中しやすくなります。

OJTを取り入れれば、人事にとっては研修を実施するための費用や手間がかからないというメリットがありますが、現場の負担が増えるという点に注意が必要です。すべての業務にOJTが適しているとは限らないため、効果や負担のバランスを考慮したうえで適切に取り入れる必要があります。

指導・育成効果のばらつき

OJTは、現場の社員に新人の教育や指導を一任する教育方法です。そのため、現場の上司や先輩の能力によっては、OJTの効果にばらつきが出る可能性もあります。仮に仕事ができる社員であっても、新人の教育が得意であるとは限りません。たとえば、新人がミスをした場合でも、正しい方法を教えずに指導者側でやり直したり、叱るだけで正しい方法を教えずにいたりするケースもあります。新人を育てるためには、様子を見守りながら少しずつ改善を促し、教育する必要があります。よって、OJTを成功させるためには、指導やアドバイスができる体制を構築する必要があります。

こういった点を考慮すれば、現場のOJTによる教育の成果を高めるには人事によるサポートも必要です。たとえば、指導者に対して研修を実施するのもひとつの手です。OJTの目的や効果的なやり方を伝えることで、指導者の意識も改善しやすくなります。さらに、可能であれば、OJTの成果を第三者が確認するフェーズも取り入れることでより効果的なOJTを実施することができます。OJTの成果を評価する仕組みがあれば、OJTの指導を受ける側だけでなく、指導をおこなう側も気を引き締めることができます。

OJTが上手くいかない理由・導入の課題

社内でOJTを導入しても、実際にはなかなか上手くいかないケースもあります。たとえば、人事が部署にOJTの実施を依頼するだけでは、OJTが機能しない可能性が高いです。OJTに取り組むための体制が整備されていなかったり、現場の繁忙期とOJTの開始時期が重なっていた場合ではOJTがおろそかになったりすることもあります。部署の状況に応じて、OJT以外の指導も組み合わせる必要があります。

さらに、OJTの指導方法に問題がある場合もあります。たとえば、業務内容や取り組み方を一度しか教えないケースが挙げられます。いくら優秀な人材でも、一度ですべてを完璧に把握するのは簡単ではありません。OJTでは単に仕事の概要を教えるだけでなく、適宜フィードバックをおこなうことが大切です。そうすれば、理解できていない部分に対する指導を強化できるので、指導を受けた側も着実に対応できるようになります。

加えて、OJTには体系的に業務を把握しにくい側面もあります。OJTの場合、業務ごとに指導するので、それぞれの業務のつながりが分かりにくいです。よって、OJTにおいても、業務全体の流れや目的を伝える機会を設けることでより新人の業務理解を深めることができます。

OJTの指導体制構築のポイント

OJTの指導体制を構築するには、どのようなことを意識したらいいのでしょうか。ここでは、OJTの指導体制を構築する際のポイントについてご紹介します。

OJTに向いている業務の棚卸し

教育訓練としてOJTを取り入れる場合、まずはOJTに向いている業務をピックアップするところから始めましょう。なぜなら、業務によってはOJTのメリットを活かしきれない場合もあるからです。OJTに向いているのは、ある程度ルーティンが確立されており、突発的な案件が発生しにくい業務があげられます。このような業務であれば、指導者も普段の業務に取り組みながら説明やフィードバックをおこないやすいでしょう。OJTのためのマニュアルを用意すれば同じ業務に携わる社員全員が指導者になれるので、一部の人に負担が偏るリスクも防げます。

反対に、OJTに不向きな業務としては、プロジェクトごとに仕事の進め方が変わったり、突発的な案件がよく発生したりする業務が挙げられます。この場合、個々の業務によって対応方法が変わるため、OJTだけでは仕事を進めるために必要な知識やノウハウを伝えきれない場合があります。企業にもよりますが、企画・開発をおこなう部署では案件ごとに対応の仕方が変化することが多いです。そういった業務については、OJT以外の教育訓練も取り入れたほうが効果的だといえます。たとえば、OJTだけでなく、適宜Off-JTも取り入れるようにしましょう。

実務前のイメージのすり合わせ

OJTを取り入れる際は、事前に目的や指導方法についてイメージをすり合わせておく必要があります。なぜなら、人事と現場の指導者では、OJTに対して異なる認識をもっているケースもあるからです。その場合、単にOJTを取り入れるだけでは、人事が想定しているような結果が得られない可能性があります。現場の指導者の認識が甘い場合は、人事からOJTについて細かく説明する必要があります。その場合、注意点も確認しておき、OJTが正しく機能するようにサポートすることが大切です。しっかりとイメージをすり合わせることができれば、指導者としての自覚ももたせやすくなります

基本的には、人事とOJTの指導者の間でイメージのすり合わせをおこないますが、必要に応じて指導者の上司も交えるといいでしょう。たとえば、OJTに初めて取り組む場合や指導者の経験が少ない場合などは、打ち合わせに上司を交えたほうが指導者に対するフォローがしやすくなります。上司を巻き込むことができれば、OJTの成功率はより高まりやすくなります。

実務後のPDCAサイクルの構築

実際にOJTをおこなうためには、PDCAサイクルの構築が必要不可欠です。PDCAサイクルとは、目的を達成するために、「計画(Plan)」「実行(Do)」「評価(Check)」「行動(Action)」を繰り返すことを指します。OJTの指導は、基本的にPDCAサイクルの流れを意識して進めましょう。具体的には、それぞれの段階ごとにチェックポイントを設け、指導者が確認できるようにしておく必要があります。

1つ目の「計画(Plan)」では、OJTとして取り組む内容と目標を決めます。計画はOJTを進めるうえでの指針となるため、内容を分かりやすく明確に設定することがポイントとなります。たとえば、「ビジネスマナーを身につける」という内容に留めるのではなく、「職場にふさわしい言葉遣いができるようにし、お客様から好感を得られる態度をとる」といった内容まで落とし込む必要があるでしょう。

2つ目の「実行(Do)」においては、計画に基づき、新人が実際に行動を起こします。ただし、最初に指導者がやってみせた上で、ポイントや注意点をきちんと説明する必要があります。指導者の伝え方が不十分であると、新人は正しいやり方が分からないままになってしまうので要注意です。その場合、OJTの成果が出にくくなってしまいます。

3つ目の「評価(Check)」では、実行の様子や結果について反省します。まずは、「できたこと」と「できなかったこと」を分けて振り返りましょう。できたことについては、指導者がきちんと褒めることで新人のやる気もアップします。できなかったことについては、その理由とともに改善方法を考えます。基本的には新人に考えさせる必要がありますが、必要に応じて指導者も一緒に考えたり、ヒントを与えたりすることでより生産性の高い評価を行うことができます。

4つ目の「行動(Action)」では、評価の内容をふまえ、できなかったことをできるようにしていきます。反省によって見出した改善方法をもとに再チャレンジし、最初に立てた目標の達成を目指します。仮に、それでもうまくいかなかった場合は再び行動を見直し、できるまで繰り返すことが重要です。

まずは簡単な業務からPDCAサイクルを回し、達成状況に応じて少しずつ難易度の高い業務についても挑戦させていきましょう。スムーズにPDCAサイクルを回すためには、指導者が事前に業務のポイントを確認したり、よりよい指導方法について理解したりしておかなければなりません。新人を放置することがないようにし、指導者が常に見守る必要があります。

客観的な評価基準の設計

OJTに取り組む上では、客観的な評価基準も設計しておく必要があります。そのためには、人事がOJTの目的をしっかりと明示する必要があります。OJTの評価基準について項目を挙げ、OJTを実施する部署の社員がOJTの目的や評価基準について理解している状態が望ましいです。

OJTの終了後に指導者の上司にアンケートを取り、OJTの取り組み方や成果について評価させるのも効果的です。そうすれば、指導者の上司も、OJTに関わっているという意識を強くもつようになります。日頃からOJTの様子に注目するようになるので、指導者のサポートやフォローもしやすくなるでしょう。場合によっては、指導した側や指導を受けた側にもアンケートをおこなうと、OJTの目的の達成度をより詳しく把握できたり、問題点を明らかにできたりします。回収したアンケートをもとにし、各部署に評価をフィードバックすれば、その後のOJTや人材育成にも役立てられます

OJTで新人に即戦力を

必要な体制をきちんと構築できれば、業務に必要な知識やノウハウを新人へスムーズに伝えることができます。新人を即戦力として育て上げるためには、教育手法としてOJTを取り入れると効率的です。

株式会社TMJでは、現場での「経験学習」に着目した人材育成・研修サービスを提供しております。人材育成をご検討の際はぜひご相談ください!詳しくは、<こちら>。

執筆者紹介

業務改善ノート編集部

ビジネスのデザイン力で、事業の一翼を担うBPOパートナーのTMJ。将来にわたる経営環境に最適なビジネスプロセスを設計し、事業を代替することで、クライアント企業の継続的な事業成長を総合的にサポートしています。
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