実際にOJTをおこなうためには、PDCAサイクルの構築が必要不可欠です。PDCAサイクルとは、目的を達成するために、「計画(Plan)」「実行(Do)」「評価(Check)」「行動(Action)」を繰り返すことを指します。それぞれの段階ごとにチェックポイントを設けて計画書に明記し、指導者が確認できるようにしておきましょう。
1つ目の「計画(Plan)」では、OJTとして取り組む内容と目標を決めます。計画はOJTを進めるうえでの指針となるため、内容を分かりやすく明確に設定することがポイントとなります。たとえば、「ビジネスマナーを身につける」という内容に留めるのではなく、「職場にふさわしい言葉遣いができるようにし、お客様から好感を得られる態度をとる」といった内容まで落とし込みます。
2つ目の「実行(Do)」においては、計画に基づき、新人が実際に行動を起こします。ただし、最初に指導者がやってみせた上で、ポイントや注意点をきちんと説明する必要があります。指導者の伝え方が不十分であると、新人は正しいやり方が分からないままになり、成果につながりにくくなります。
3つ目の「評価(Check)」では、実行の様子や結果について反省します。まずは、「できたこと」と「できなかったこと」を分けて振り返りましょう。できたことについては、上司や先輩社員がきちんと褒めることで新人のやる気がアップします。できなかったことについては、その理由と改善方法を考えます。基本的には新人に考えさせますが、必要に応じて指導者がヒントを与えることで、より成果につながりやすい振り返りが実施できます。
4つ目の「行動(Action)」では、評価の内容をふまえ、できなかったことに対して改善方法を実行し、最初に立てた目標の達成を目指します。仮に、それでも達成できなかった場合は再び行動を見直し、できるまでこのサイクルを繰り返します。
まずは簡単な業務からPDCAサイクルを回し、達成状況に応じて少しずつ難易度の高い業務についても挑戦させていきます。スムーズにPDCAサイクルを回すためには、上司・先輩社員が事前に業務のポイントを確認したり、効果的な指導方法について理解したりしておかなければなりません。新人を放置することがないようにし、常に見守ることが重要です。