BPOの基礎知識
少子高齢化の影響で労働力不足が深刻化する中、生産性の向上に積極的に取り組む企業が増えています。今回は、生産性向上を妨げる課題は何か、課題の解決に向けて企業におすすめの6つの取り組みなどについて詳しく解説します。
生産性とは
企業は、ヒト、モノ、カネ、情報、時間、知的財産の大きく6つの経営資源を活用しながら企業活動を行っています。少子高齢化で労働力不足が問題視されている中で、「ヒトの活用」に注力している企業が増えています。限られた従業員数の中で、いかに生産性を向上させるかが大きな課題となっています。
生産性にはいくつか種類がありますが、労働生産性の視点から付加価値労働生産性をいかに高めるかが重要視されています。
付加価値労働生産性とは、企業全体ではなく、従業員一人あたりがどれだけ付加価値の創出に貢献したかを測る指標です。付加価値は、企業の利益向上にもつながる重要な要素となります。
生産性の向上に向けた課題
生産性の向上に向けて、どんな課題を抱える企業が多いのでしょうか。ここでは、大きく2つご紹介します。
業務の属人化
業務の属人化とは、特定の従業員しか業務を実施できないことを指します。この場合、特定の従業員に業務負荷がかかったり、担当者が不在の時に業務が実施できない状態になったりしてしまい、生産性が落ちるデメリットがあります。
コア業務に集中できない環境
コア業務とは、企業の利益に直結する業務を指します。
たとえば営業担当者の場合、「コア業務」として商談や営業活動があります。コア業務以外の「ノンコア業務」には、見積書の作成、資料作成、社内の申請手続きなど営業活動を行う上で必要な事務業務があります。
従業員がノンコア業務も抱え込み、コア業務に集中できない環境は生産性の低下にもつながります。逆に、コア業務に集中できる環境が整えば、生産性を高め企業の収益向上にもつながる可能性が高いといえます。
生産性向上につながる6つの取り組み
生産性向上の課題解決に向けて、具体的にどんな取り組みがあるのでしょうか。ここでは、企業におすすめの6つの取り組みについて説明します。
業務の棚卸し(たなおろし)
生産性の向上のために業務の棚卸しは必要不可欠です。
業務の棚卸しでは、従業員一人ひとりの業務内容、業務量、業務の難易度を洗い出すことで業務を可視化します。業務が属人化していないか、特定の従業員に業務が集中していないかなど現状を把握することができます。現状を把握することで、業務の優先順位をつけることができます。生産性向上のためには、すべての業務を今までと同じやり方で行うわけにはいきません。非効率的な業務は業務改善できる余地がないか見直すことで生産性を高めることができます。
また、業務を可視化することで、担当者がどんな業務を行っているか把握でき、協力体制を強化し、チームワークを高めることもできます。
業務の標準化
業務の棚卸しを行うと、従業員がそれぞれ独自の方法で業務に対応していることが見つかるケースがあります。そこで、業務フローの独自性をなくし、効率的な業務手順に揃えることで生産性の向上につなげることができます。
業務標準化を進める上で、業務マニュアルを作成することにより業務フローを徹底することができます。
業務の自動化やシステムの導入
AIやロボットを活用した業務の自動化は、生産性の向上に大きく貢献します。
たとえば、RPA(※)と呼ばれる自動化技術では、パソコンを使った定型化された繰り返し作業をロボットが代行して対応することが可能です。また、大量のテキストデータの分類もAIを活用することで業務量を大幅に削減することができます。
自動化では人為的なミスをなくし、正確性を保ちながら短時間で対応できるメリットがあります。従業員の業務量を削減することで、コア業務に集中できる環境に近づけることができます。
※RPA:Robotic Process Automationの略称。
また、業務に合ったシステムを導入し、業務を簡易化し、従業員の業務負担を軽減することで生産性を高めることができます。
タイムマネジメント
従業員のタイムマネジメントに取り組むことも生産性向上に役立ちます。
時間をいかに有効活用するかという視点で、コア業務に優先的に取り組むスケジュールを立て、いつまでにどの業務を完了させるか目標を掲げながら業務を実施します。時間を意識して業務に取り組むことで業務効率がアップし、生産性の向上にもつながります。
従業員のスケジュールを関係者がいつでも確認できる状態にすることで、業務の対応漏れも防ぐことができます。
スキルアップ
生産性向上のためには、従業員の能力を最大限に発揮できる環境を作ることが大切です。
そのためには、チームとして関係者間の協力体制を強化しながら、従業員一人ひとりの能力を高めることも忘れてはいけません。
従業員がそれぞれ目標をもってスキルアップを目指すことで、会社全体として大きな付加価値を生み出すことができます。たとえば、資格の取得にかかる費用をサポートしたり、社内研修の機会を設けたりと企業が従業員のスキルアップを後押しすることで、従業員の生産性をより高められる可能性があります。
アウトソーシング・BPOの活用
生産性を向上する上で、一部業務を外部へ委託し、アウトソーシングやBPOを活用する方法もあります。特定の業務を効率的に実施することに専門性をもつため、委託することで場合によっては業務品質を高めながら効率的に業務を実施することができます。BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)では、業務の実施だけでなく、企業の課題解決も視野に業務改善を行うため、継続的に業務委託を検討している場合に最適です。
アウトソーシングやBPOを活用することで、従業員がノンコア業務から解放されコア業務に集中できる環境を作ることができます。
生産性向上を測る指標
生産性向上に向けて、指標をもって取り組むことでより効果を高めることができます。生産性向上施策を実施する中で、指標として意識したいのが「労働分配率」です。
労働分配率は、投入した人件費÷付加価値で計算することができます。
冒頭でご紹介した「付加価値労働生産性」で、従業員一人あたりの視点から生産性を見ながら、「労働分配率」で人件費と付加価値も見ることで生産性を測ることができます。
従業員一人ひとりの生産性を向上させて企業価値を高めるために
従業員一人ひとりの生産性を向上させることができれば、企業全体の生産性にも貢献します。自社の課題を振り返り、従業員が能力を発揮できる環境をいかに作るかがポイントとなります。
株式会社TMJでは、生産性向上に向けて現状の業務状況を分析する業務量調査・分析パッケージや自動化を業務に取り入れるRPAサービスやAIを活用したテキスト分類サービスなど、企業の課題に合わせて生産性向上を支援するためのサービスを幅広く提供しています。生産性向上に取り組みたい方は、ぜひご相談ください!お問い合わせは、<こちら>。
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